【web3】Q. 日本のweb3戦略が急速に動き始めたその背景とは?
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日本はweb3後進国で、web3でアジアで起業するならシンガポール、また世界ではドバイ、スイスと言われていました。しかし、ここにきて国レベルで変革の意思があると思われる取り組みが増えてきました。
今日は、web3で「Japan as No.1」が再度実現できるかに大きく関わる国の動きをまとめて解説します。
日本発のweb3プロジェクトは少ない
前述の通り、日本に本社を置くweb3のスタートアップや起業家は少ないと言われています。
その最も大きな要因は、税制です。自社で発行したトークンが活発に取引されている市場が存在するとみなされた場合、法人税法上の期末時評価課税の対象となり、現金収入を得ていないにもかかわらず、期末時の時価評価で納税義務が発生してしまいます。
一方、アメリカではトークンは税制上プロパティという扱いで、保有している間は納税義務は発生しません。
詳しくは以下の記事で解説しているので、ご興味がある方はご覧ください。
また他にも、海外ではライセンスなしで営むことができる暗号資産に関する事業も、日本ではライセンス取得が必要なものもあります。例えば暗号資産の保管・管理等を行うカストディサービスを提供するには、暗号資産交換業者のライセンスが必要です。
ライセンス取得にはあらゆる体制整備はもちろん、長い時間を要するため、スタートアップがこれらのライセンスが必要な事業に着手するのは、相当な資金的・時間的な余裕がない限り現実的ではありません。
岸田首相がweb3を国家戦略に掲げた
しかし、直近で上記のようなweb3環境の見直しにも動きが出ています。
そのきっかけとなったのは、2022年3月にアメリカのバイデン大統領が「デジタル資産の技術革新を促す大統領令」に署名し、web3へ前向きな姿勢を示したことでした。このままではweb2.0に続いてweb3でもアメリカに覇権を奪われる、という危機感が芽生えたのでしょう。
実際に、自民党の塩崎議員は衆議院の財務金融委員会にて、次のような言葉を残しています。
2022年3月に日本ではNFT政策検討PTのメンバーが岸田首相にweb3について説明し、日本の成長戦略の柱に据えることを提言しています。NFT政策検討PTとは、自民党デジタル社会推進本部(本部長:平井卓也衆院議員)の下で活動するプロジェクトで、平将明衆院議員が座長を務めています。
web3を「インターネットやデジタル経済の構造を根底から覆す新たな技術革新の波」と表現し、経済圏をけん引していくための社会基盤やルールを早急に整備するべきと提言しました。
それを受けて、自民党は2022年4月に発表した「デジタル・ニッポン 2022~デジタルによる新しい資本主義への挑戦~」の別添1として、「NFTホワイトペーパー」を公開しました。
内容は以下のようなものです。
2022年6月にはデジタル戦略など国家の方針に関する「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太方針2022)」を閣議決定しました。その中では、web3の環境整備が明記されています。また、岸田首相や小泉進次郎前環境相の顔写真つきのトークンの話題も出ました。
2022年7月には経産省に「大臣官房Web3.0政策推進室」が設置され、デジタル庁の「Web3.0研究会」の開催発表と続き、着実に検討が進んでいます。
このような流れにより、web3を日本の国家戦略とすることが明確となりました。
Web3.JPによる活動
株式会社ホットリンク代表取締役グループCEOの内山幸樹氏が代表世話人を務める団体「Web3.JP」による活動も大きな役割を担っています。
メンバーは内山氏の他に、渡辺創太氏(⽇本発のパブリックブロックチェーンAstar Networkを開発するStake Technologies Pte Ltd CEO)を含む7名と、アドバイザーとして増島雅史氏(森・濱田松本法律事務所パートナー弁護士)が参画しています。
2022年9月に、前述の「NFTホワイトペーパー」への追加的提言をまとめています。提言内容は以下のようなものでした。
これらに対して具体的な施策の提言がなされ、ウェブメディアで大きくニュースとして取り上げられました。
最も大きい暗号資産の税制見直しの動き
日本の税制が日本におけるWeb3事業を展開する上でネックとなっていることは、前述の通りです。ただ、そのような最大の課題となっている税制にも希望の光が見えてきました。
具体的には、2023年税制改正に向けて、金融庁と経済産業省が法人税の課税方法について議論する、と2022年8月に発表しました。まだ結論は出ていませんが、NFTホワイトペーパーにも含まれていた内容が具体的に動き始めました。
2022年10月には新経済連盟も政府に対して、暗号資産の時価評価課税への見直しを提言しており、他の主要経済団体も同様の提言をしています。
引き続き、どのように進展するか目が離せないテーマです。
暗号資産の上場審査についても見直しが始まる
さらに、2022年10月に大きなニュースが飛び込んできました。
Bloombergの報道によると、暗号資産の自主規制団体である日本暗号資産取引業協会が、2022年12月中に日本で暗号資産の上場前審査を一部撤廃することを決定しました。一定の要件を満たせば事前審査は不要で、上場後にモニタリングを行う体制が導入されます。
これによって、企業は暗号資産による資金調達が時間的にも工数的にも容易になります。完全な性悪説では新しいイノベーションを受け入れることが難しいため、適切な対応だと思われます。
今回の事前審査の撤廃は、資金調達を目的とするイニシャル・コイン・オファリング(ICO)やイニシャル・エクスチェンジング・オファリング(IEO)が対象となります。
Web3.JPのメンバーでもある渡辺氏は以下のようなツイートをしています。
実際に上場までの期間短縮を実現できるかがポイントとなり、今後の動向に注目です。
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
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