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【web3マガジン】事例#8: 通信ネットワーク拡張を手伝うことでトークンを稼げるHelium

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web3スタートアップへの投資は、シリコンバレーのVCを中心に毎日のように盛んに行われており、その全てを把握することが難しいほど増えてきています。

このマガジンでは、$10MM(約10億円)以上の資金調達を発表したweb3スタートアップを中心に、気になる企業を独断と偏見で取り上げます。

最新事例を手っ取り早く皆さんが理解できるように、今回もなるべく分かりやすく簡潔に解説したいと思います。

今回は、ユーザーが通信ネットワーク拡張を手伝うことでトークンを稼げるようになるHelium(ヘリウム)を紹介します。

Helium has raised a $200 million Series D at a $1.2 billion valuation, according to Axios.

Heliumは、今回シリーズDで、$1.2 billion(約1,200億円)のバリュエーションで、$200 million(約200億円)も調達しました。投資家にはTiger GlobalやFTX Venturesなどが含まれます。

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Helium


Heliumとは?

Heliumの仕組みはこのようなものです。

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まず初めに、ネットワーク拡張に参加するユーザーがこのようなデバイスを受け取り、自宅の電源とネットワークに接続します。

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このデバイスがたくさん設置されればされるほど、ネットワークが自然に拡張されていき、ネットワークの中のさまざまな役割に応じてトークンが報酬として得られる仕組みになっています。

Companies like scooter startup Lime and mousetrap company Victor use these devices to connect their products.

実際には、IoTなどデバイス系のデータを収集するのに良く利用されています。

シェア電動スクーターのスタートアップであるLimeや、ネズミ捕りのVictorなどが、Heliumのネットワークを利用してデータを収集しています。

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こちらを見れば分かる通り、既にかなりのネットワークカバレッジが実現されています。

単なるコンセプトではなく多くの参加者がすでに巨大なネットワークを作り上げているといえるでしょう。


Heliumのトークンとは?ユーザーがトークンを得るには?

では、実際にネットワーク拡張に貢献しているユーザーは、どのようにトークンを獲得しているのでしょうか。

Helium uses a "burn-and-mint equilibrium" token model, with two units of exchange: HNT and Data Credits (DC). Users wanting to use the network to transfer data use DC, which is set at a fixed rate of $0.00001 per 24 bytes of data. When DC is acquired, HNT is burned — reducing the supply of HNT.

Heliumは、HNTとData Credits(DC)と呼ばれる二つのトークンを活用します。

ネットワーク拡張に貢献するユーザーはHNTを得ることができ、逆にネットワークやデータを利用する側のユーザーはDCを購入する必要があります。

ここでのポイントは、DCの量が増えれば増えるほどHNTが減る仕組みが、最初からビルドインされているという点です。

つまり、データ量が増えれば増えるほど、HNTの供給が減っていくため、HNTのトークンとしての価値が上がっていくというビットコインと同じような思想で作られています。


ユーザーが作る5G携帯ネットワーク

Heliumがさらに面白いのは、IoT用のネットワークだけではなく、携帯の5Gネットワークの拡張にも参画している点です。

Heliumは、米国の通信会社DISHと提携して5Gネットワークの拡張にも参加することになりました。

In October, DISH, a U.S. direct-broadcast satellite provider, announced a partnership with Helium. The company was the first major carrier to use the Helium Network’s blockchain-based model with customers deploying their own 5G hotspots.

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仕組みとしては、この写真にあるような、FreedomFiと呼ばれるデバイスをユーザーが設置すると、そのデバイスがパートナーであるDISHの5Gネットワークを拡張します。

データの利用量に応じてDISHからユーザーにトークンが支払われるという仕組みです。


Heliumの強みと今後

At the current pace of growth, the network is adding 80,000 new hotspots monthly, according to Frank Mong, Helium’s chief operating officer.

この5Gのネットワーク拡張ですが、現在月に8万もの新しいホットスポットが新設されているとのことです。

このやり方が非常に効率的なのは、人口密度が高い地域ほど多くのホットスポットが設置されやすくなるため、特に都心部での5Gカバー率を短期間で上げることができるという点です。

He compares Helium with T-Mobile, which currently has the largest existing 5G network and a market capitalization north of $150 billion. Helium currently has a market cap of $2.9 billion.

2022年2月時点で、世界で最大の5Gネットワークを展開している T Mobileの時価総額は$150 billion(約15兆円)ですが、Heliumは現在$2.9 billion(約2,900億円)となっています。

このままのペースでいけば、既存の携帯キャリア会社並みに大きなネットワークカバレッジを構築することができるかもしれません。

その意味では、Heliumが他の携帯キャリア会社並みの時価総額になる日もそう遠くないのかもしれません。

個人的には、とてもユニークな発想で、ユーザーへのインセンティブやトークンの価値の毀損防止など様々な点でよく考えられた仕組みだと思いますので、今後も注目していきたいと思います。


今回の記事はいかがでしたでしょうか。

他にも、こんなweb3スタートアップを紹介してほしい、などのご要望も、是非Twitterでコメントいただければ嬉しく思います。


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