【web3】Q. OpenSeaがロイヤリティ変更を実施。NFTはクリエイターエコノミーに貢献するのか?
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NFTの購入、販売、二次販売ができるNFTマーケットプレイスは、直近数年間で大きく成長しました。しかし、主要プレイヤーは移り変わっており、その要因はNFTのロイヤリティに関するルール設定が大きく関わっています。
今日は、プレイヤーが移り変わっている要因についての説明と、NFTのロイヤリティがどのようなもので、なぜこれが重要となるのかを解説します。
NFTのロイヤリティとは?
NFTマーケットプレイスは、web3の市場成長を牽引してきた存在といえます。
早くから世界的なアパレルブランドなどもNFT領域に積極的に取り組んでいることは先日お伝えしました。気になる方は以下の記事を参照してみてください。
NFTマーケットプレイスとして世界的に有名なものは複数あります。「OpenSea」や「Magic Eden」の名前は聞いたことがある人も多いと思います。これらのNFTマーケットプレイスではゲームのアイテムや、デジタルアート、会員権など様々なものが取引されています。
クリエイターは、これまでの世界では二次流通で高額売買されても1円もロイヤリティ(手数料)が還元されない仕組みとなっていました。
しかし、ブロックチェーン技術を用いることで、クリエイターにも還元され続ける仕組みが構築可能となり、NFTはクリエイターエコノミーの観点でも注目されてきました。
これは、2020年9月の「EIP(イーサリアム改善提案)2981」で提起された「ソーシャル・コンセプト(共通意識)」がきっかけとなっています。
重要なのは、NFTのスマートコントラクトそのものにはロイヤリティ還元に関する定めはなく、各NFTマーケットプレイスごとに設計されているという点です。
OpenSeaがロイヤリティを変更
上図はNFTマーケットプレイスの月次流通額の推移です。全体で見ると、2022年6月以降は激減しており、冬の時代と言われていることも納得です。
加えて、ネイビーのOpenSeaが市場を牽引し、グリーンのCryptoPunks、パープルのLooksRare Filteredも一時は現れていたものの、ピンクのX2Y2の存在感が大きくなっていることがわかります。
上図はNFTマーケットプレイスの月次流通額ベースのシェアを表したものです。主要プレイヤーが移り変わっていることがよくわかります。
一時は圧倒的ナンバーワンだったOpenSeaの取引流通額がどんどん減っている理由には、NFTのロイヤリティが関係しています。
当初、OpenSeaはロイヤリティ制度を導入していました。しかしロイヤリティを強制しないNFTマーケットプレイスが台頭し、特にX2Y2がロイヤリティを選択できる「フレキシブルロイヤリティ制」を導入後、流通額シェアを大きく伸ばしました。
「多くのNFT保有者は経済停滞を受けて、ロイヤリティを強制しないマーケットプレイスに出品する傾向が以前よりも高まっている」と、OpenSeaは上記のデータをもとに主張しています。
これを受けて、OpenSeaはロイヤリティをオンチェーンで執行するためのツールを発表しました。このツールを使用すると、クリエイターはロイヤリティの割合を自身で決められるようになり、購入者は設定されたロイヤリティの支払いをすることになります。
このツールを導入しない場合、OpenSeaで取引されてもクリエイターはロイヤリティを設定することができないという変更となります。
流通シェアを取り戻すためにロイヤリティをプラットフォームであるOpenSea自身が決めることも可能な中で、OpenSeaはクリエイターがロイヤリティをつけるか否か、つける場合はそのロイヤリティ率を決定すべきという方針をとったわけです。
他のマーケットプレイスの動き
ロイヤリティをとることが慣習であった中、クリエイターのロイヤリティ報酬を最初に0%にしたのは、NFTマーケットプレイスの「Sudoswap」でした。
Sudoswapが大きくシェアを伸ばしたのを見て、X2Y2が一点物のNFT以外はロイヤリティを選択することができるフレキシブルロイヤリティ制を導入しました。
また、MagicEdenはロイヤリティなしに変更し、Blurは初めからロイヤリティなしでした。
利益を出したいトレーダーにとっては手数料は低ければ低いほど望ましいものです。無料で取引できるプラットフォームがある中で、わざわざ手数料をかけて善意でクリエイターを支援する、という行動にはなかなか至りにくいでしょう。
OpenSeaの方針変更の影響
先ほど、OpenSeaのロイヤリティの方針変更について、「新たなNFTはオンチェーン上のツールを導入しない場合、OpenSeaで取引されてもロイヤリティを設定することができなくなる」と記載しました。
当初は発行済みのNFTについても対象とされましたが、あまりに影響度合いが大きく、さまざまな批判の声が上がりました。それを受けて、OpenSeaは方針を変更し、今後発行するコレクションのみを対象とすることとしました。
ちなみに、今回発表されたOpenSeaのロイヤリティの方針変更は、クリエイター自身がロイヤリティを設定するかも含めて決定できるというもので、OpenSeaは自身を「クリエイターのためのプラットフォーム」と位置付けたと捉えられます。
しかし、クリエイターたちは事実上、OpenSeaのプラットフォームに囲い込まれるとも捉えられます。web3の概念であるオープンさがなくなるという声もあがっています。
NFTの新たなトレンドも
最後に、NFTの新たなトレンドとして興味深い事例をご紹介します。
Goblintown(ゴブリンタウン)というNFTプロジェクトをご存知でしょうか。ロードマップも、Discordも無い変わったプロジェクトですが、非常に注目されています。
Goblintownは、当初、NFT発行は無料で行い、2次販売は一般平均よりも高い10%という高額なロイヤリティが設定されていました。その後、Goblin NFT専用のNFTマーケットプレイス(もはや専用取引所という表現が正しいかもしれません)をオープンし、そこではロイヤリティを5%としています。
これはコミュニティが盛り上がることで成立するモデルといえます。いわゆるトレーダーを惹きつけづらい設計になっています。このようにNFTのプロジェクト側の新たな工夫のトレンドも出ています。
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
各NFTマーケットプレイスの思想問題はあれど、競争戦略の結果が現状です。長期的にどのようなNFTマーケットプレイスがクリエイターやコレクターに支持されるのか注目です。
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