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【web3】Q. 世界最大のDAO 「Uniswap」に見る DAOの課題とは?

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A. 大口投資家である「クジラ」による支配が起こり得ること。

web3における新たなイノベーションとして、ブロックチェーン技術による分散化、デジタル資産の所有権の証明(NFT)などが挙げられます。

これらと並んで、DAO(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織)も大きな発明といえます。

そんなDAOの価値を問う顕著な問題が、直近Uniswapで起こっています。今日はUniswapで起こった問題について、解説します。


改めて「DAO」とは?

DAOは、分散型自律組織と訳され、特定の管理者が不在で事業を推進する組織のことです。仕組みはそれぞれのDAOによって異なりますが、上図が仕組みのイメージです。

参加者間で合意したスマートコントラクト(ブロックチェーン上で契約を自動的に実行する仕組み)に基づいて、意思決定の投票をはじめとする運営全般を行います。

株式会社の場合は株主、取締役などの一部の意思決定者の意向が反映されますが、DAOは参加者の意向で運営する民主的な組織といえます。


市場規模と主要なDAOとは?

DeepDAOによると、DAO全体の市場規模は$13.4B(約1.34兆円)となっています。

上図は上位10のDAO一覧です。これら10のDAOの合計市場規模が$9.5B(約9,500億円)となっており、DAO全体の市場規模の約70%を占めていることがわかります。

この中でも資金数が1位で、最大DAOであるUniswapが今日のテーマです。Uniswapは、イーサリアム上の分散型取引所(DEX)を運営するDAOです。37万ものトークン所有者が存在しています。


最大DAO「Uniswap」で起きたクジラ問題

皆さんは「クジラ」という言葉が指す意味をご存知でしょうか。

クジラとは、「金融市場における大口投資家」のことを指し、株式市場の投資家に対しても使われる言葉です。

このクジラにまつわる問題が、コミュニティで民主的な意思決定を基本とするDAOでも起きました。

Uniswapにおいて、BNBチェーンへの資産移動に使用するアプリケーションに関する事前投票が行われました。

BNBチェーンとは、暗号資産取引所のBinanceが立ち上げたブロックチェーンエコシステムです。BNBチェーンへの展開をすることで、Uniswapに$1B(約1,000億円)のTVL(Total Value Locked : 暗号資産の価値)が増加し、取引量に応じた手数料収入が増加するというメリットをもたらすと考えられています。

その際に使用するアプリケーションとして、Wormholeというトークンブリッジを採用するという方針で投票を行ったところ、当初は賛成の流れで進んでいました。

しかし、4.15%ものトークンを保有する「クジラ」であるVCのアンドリーセン・ホロウィッツが反対票を投じ、一時は反対票が66.9%を占める状況となりました。

この理由としては、アンドリーセン・ホロウィッツはWormholeの競合にあたるLayerZeroに投資をしており、トークンブリッジとしてLayerZeroがが採用されなかったために反対したのではないかと言われています。

いかなる理由であったとしても、Uniswapには37万ものトークン所有者が存在するにもかかわらず、結局のところ、株式会社の運営と同じように大手VCに集権化してしまっているのではないか、という問題提起が話題となりました。

BinanceのCEOチャンポン・ジャオは、上記のように「Uniswapはアンドリーセン・ホロウィッツに支配されている?」というツイートをしています。

2023/2/10まで行われた投票の結果は、可決となりましたが、上図からもアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)の影響力の大きさは良くわかります。


ロビイング問題も存在

今回の事前投票に伴い、もう一つの問題がありました。それは、大口投資家に対して、ロビー活動が行われていたということです。

Uniswapの投資家であるBlockchain at Michiganは、WormholeとLayerZero、その他のステイクホルダーからもアプローチを受けていたと公表しています。

これがDAOのあるべき姿なのでしょうか。


ガバナンスと分散化は実現できるのか?

上図は10の有名DAOにおいて90%の議決権を何パーセントのトークン保有者が持っているかを示しています。図から分かるように、これらのDAOでは、1%未満のトークン保有者が9割以上の議決権を持っている状況です。

トークンの分配がDAOが本来目指している分散型ガバナンスの構成に至っておらず、現状において、今回のような課題が出ることは当然ではないでしょうか。

短期的には、クジラ対策で投票権に上限を設けるなどの工夫が行われるかもしれません。完全分散というガバナンスが今後どのように成立するのか、もしくは別の形に発展するのかを長期的に注視していきたいと思います。

今回の記事はいかがでしたでしょうか。

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