【web3】Q. web3に投資するVCが増える一方で、web3は分散化できるのか?
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web3の冬の時代と言われる中で、世界最大級の暗号資産取引所を運営していたFTXが破産申立てを行うという非常に大きなニュースが飛び込んできました。
一般投資家の暗号資産への投資がさらに冷え込むのではないかと思われる中、VC(ベンチャーキャピタル)はweb3の将来を信じて投資を続けています。
そもそもweb3は非中央集権的で分散化された仕組みを前提としているものがほとんどですが、このようにVCのweb3への投資が増える中で、web3の分散化という思想は実現できるのでしょうか。
冬の時代でもVCは積極的
Galaxy Digitalのレポートによると、2022年Q3のVCによるweb3スタートアップへの投資額は$5.5B(約5,500億円)となりました。四半期ベースで見ると2022年Q1、Q2よりは少ないものの、上図の推移を見ると依然高い水準です。
一時的には下がっているものの、長期トレンドで見ると右肩上がりで、web3への期待は引き続き高いと考えられます。また暗号資産の価格が安くなっているからこそ、VCが注目しているとも言えます。
日々ニュースで確認できるように、web3に投資するVC自体のファンドレイズは好調なため、ドライパウダー(投資資金)は潤沢です。当面はweb3への資金流入が続くでしょう。
web3の資金調達の変化
web3の資金調達というと、主に2パターンに分けられます。
1つは、既存の株式会社でweb3事業を運営しており、株式を発行して資金調達を行うケースです。もう1つは、web3プロジェクトでトークンを発行して資金調達を行うケースです。
ここでは後者のトークンを発行して行われる資金調達について言及します。
web3の思想としては、そもそもコミュニティトークン(ユーザーのプロジェクトへの貢献に応じて支払われるもの)の比率が高いことが理想とされています。
少数の資本家やプロジェクトの創設者による所有を搾取と捉え、コミュニティに貢献している人が多くのトークンを分散所有し、みんなでコミュニティを統治している状態をよしとすることがそもそものweb3の根底思想にあるからです。
2021年10月の記事ですが、Redpoint VenturesのパートナーであるTomasz Tunguzは、web3の資金調達の慣例とその変化について、以下のように語っていました。
web3の黎明期には、トークンの分配は、コミュニティ:インサイダー = 80:20という慣例がありました。ここでいうインサイダーとはプロジェクトの創設者や従業員、投資家などを指します。
ちなみに、web3ではなく、一般的なスタートアップのIPO時の株式配分は、比率が反対になりインサイダーが80%を所有しています。
しかし、VCのweb3への投資が増えていることが意味することは、「web3のトークン配分が、一般的なスタートアップの株式配分と同じような位置づけになってきているのではないか」ということです。
人気Podcastを運営するScott Gallowayは自身のブログで以下のように書いています。
最近のweb3プロジェクトは、インサイダーへ30〜40%のトークン配分で立ち上げられ、一部はIPO時のハイテク企業の典型的なインサイダーと一般の比率80%に近づいてきているというものです。
このように、インサイダーが増えると、元来のweb3の思想からは離れてしまうのではないでしょうか。
web3の資金調達とVCは共存するのか?
インサイダーの比率が高まっていることに対して、Twitter創業者のジャック・ドーシーは大きく批判しています。web3はVCとLP(VCファンドへの投資家)が所有していると批判しています。
また、イーロン・マスクが「誰か、web3を見た?見つからない」とツイートした際にも、ジャック・ドーシーは「aとzの間」とweb3に積極的に投資しているAndreesen Horowitz(a16z)を連想させるツイートをして話題となりました。
VCからの投資を受け入れることで、web3プロジェクトが本来ディスラプトしようとしている旧体制が逆に活発化しているように見え、その構図を危惧する人も多いことの現れです。
しかし、事業を成長させたい場合に、VCからの資金調達という選択肢は非常に合理的でもあります。
実際にコミュニティから大金を集めることは冬の時代と言われる今は非常に大変ですし、コミュニティトークン比率を増やそうとしても、クジラ(大口投資家を表す言葉)に偏ってしまうという問題も多く起きています。
いずれにもメリットとデメリットが存在しています。
web3の始まりの思想は「完全な分散所有」でしたが、今後進化の過程で、「分散所有との大口所有の並存」がweb3の現実的な思想となる可能性もあるでしょう。
長期的にどのように変化していくかに注目です。
今回の記事はいかがでしたでしょうか。
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