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Q. 米国の著名VCは2024年の生成AI・web3をどう見ているのか?

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A. 米国著名VCの2024年における生成AI・web3の見解は以下の通り。
【生成AI】
・本格的にエンタープライズ企業のワークフローに導入され始める
・生成AIを活用したSaaSの急成長が見込まれる

【web3】
・規制当局と法律家がweb3の法規制に折り合いをつける
・2024年以降、AI領域でのChatGPTのように、ブロックチェーンにおける優れたアプリケーションが登場する
・ビットコインETF

本日は、米国の著名VC(Venture Capital)の「2024年の生成AI・web3の見解」をご紹介します。

VCは将来有望なスタートアップに投資し、投資先が成長することで大きなリターンを得ています。そのため、VCは時代の先を正確に読んで投資することが求められます。

また、読者の皆様もご存知の通り、2023年に特に注目を集めたのは生成AIとweb3でしょう。特に、OpenAIのChatGPTは世界的に有名になり、生成AIが一気に身近な存在になった年だったのではないでしょうか。

この記事では、そんな注目の生成AIとweb3について、米国の著名VCによる2024年のトレンドををご紹介します。


参考にした米国著名VC

今回、2024年の生成AI・web3のトレンド解析にあたり、見解を参考にしたVC・投資家は以下の通りです。

●Tomasz Tunguz氏(Redpoint Ventures)
1999年にカリフォルニア州で創業された米国の著名VC「Redpoint Ventures」の元パートナーで、現在はTheory Venturesで活躍しています。

●Nikhil Basu Trivedi氏(Footwork)
2021年に創業されたFootworkというVCの共同創業者

●Fred Wilson氏(Union Square Ventures)
2003年に創業されたニューヨークの老舗VCであるUnion Square Venturesの共同創業者

それでは、(1)IPOマーケット、(2)AI、(3)生成AI、(4)LLMの法的整理、(5)web3について、上記3名による2024年のトレンド予測を見ていきましょう。


IPOマーケットは徐々に開き始める

まずは、2024年の「IPO市場」について見てみましょう。

1. The IPO market remains closed through the first 6 months of the year. But a few mega issuances, especially Stripe & Databricks in the summer or fall, re-open it for others. The Fed cuts rates, which helps.

引用:X(Tomasz Tunguz)

Tomasz氏は、2024年前半はIPO市場は引き続き低調であるが、夏〜秋を目処に、FinTech企業のストライプや、AIのデータブリックスを筆頭とする数社の大型IPOが行われ、IPO市場が活況となると予想しています。

また、米国の中央銀行制度であるFed(Federal Reserve System)が利下げを行うと予想しています。

The next big thing in 2024 will be the reappearance of small (sub $1b market cap) IPOs. While most of the attention will be on Stripe and SHEIN behemoths, we'll start to see some small cap listings of tech companies that are profitable/near profitable and looking for liquidity options outside of M&A or secondary sales.

引用:The next big thing in 2024 will be...

Nikhil氏は、「小規模IPO(時価総額10億ドル以下)の再登場」を挙げています。

具体的には、前述したストライプや中国の大人気格安ネット通販を展開するSHEINといった巨大企業に注目が集まりつつも、収益性が高く、株式の流動性を高めるオプションを検討中のハイテク企業の小額上場も見られると予想しています。


AIのアプリケーションの時代

続いて、2024年の「AI」について見てみましょう。

With the AI stack well developed and supported, we are moving into the application era of AI, much like the browser brought us the application era of the web and the iPhone brought us the application era of the mobile device.

引用:What Will Happen In 2024


Fred氏は、iPhoneがモバイルデバイスのアプリケーション時代をもたらしたように、2024年以降はAIのアプリケーション時代に移行する、と予想しています。

The next big thing in 2024 will be "Prototype to Production." In 2023 everyone was experimenting with AI. But there were lots of questions that limited the roll out of these experiments. What would they cost? Are they secure? What are the compliance risks? In 2024 a lot of these questions will be answered, and we'll see AI applications moving from experiments / prototypes / internal apps to large scale customer facing deployments.

引用:The next big thing in 2024 will be...

また、Nikhil氏は、これまでAIアプリケーションの課題であったコストや安全性、コンプライアンスといった問題は2024年に解消され、今後は実験やプロトタイプ・社内アプリケーションという立ち位置から、顧客向けの大規模な展開へと移行していくと考察しています。


生成AIの企業内活用の本格化

次に、2024年の「生成AI」について見ていきましょう。

The next big thing in 2024 will be large traditional enterprises actually realizing the benefits in productivity of generative AI as they find ways to get comfortable adopting this technology at scale within their organizations.

〜〜

The next big thing in 2024 will be the sustained rise of software tools that truly incorporate generative AI into enterprise workflows. 2023 saw a surge of add-on features, rapid experimentation, and sky-high expectations. 2024 will reveal how these tools perform when assessed on their ROI, adoption rates, ease of implementation, and security.

引用:The next big thing in 2024 will be...


Nikhil氏は、これまで生成AIの活用はあくまでも試験的という側面が多かった中で、2024年には生成AIが本格的にエンタープライズ企業のワークフローに導入され始め、生成AIを活用したSaaSの急成長が見込まれると予想しています。

8. Companies & startups in particular begin to report meaningful improvements in productivity from AI, reducing their headcount growth, butn growing revenue just as much as projected. ARR per employee increases 10%, twice the decade long average.

引用:X(Tomasz Tunguz)

Tomasz氏は、生成AIの活用によって、スタートアップを含む企業は従業員の増加を抑えつつも予定通りの成長を記録し、従業員あたりのARRは10%増加するだろうという見解を示しています。


LLMの権利の法的整理

ここで、「生成AIの学習データの法的整理」について見てみましょう。

前提として、生成AIは、LLM(大規模言語モデル)などの大規模な学習データを必要としていますが、その学習データの法的整理が課題となっています。

具体的な事例を挙げると、ChatGPTがNew York Timesの記事を許可なく学習データとして利用したことや、New York Timesの有料記事の一部を抜粋して生成すること等に対して、New York TimesがOpenAI及びマイクロソフトを提訴しています。

参考:N米紙ニューヨーク・タイムズがオープンAIとマイクロソフトを提訴 著作権侵害で

I believe it will take years of litigation and regulation before we understand what the appropriate business model and norms are for the AI economy.

引用:What Will Happen In 2024


Fred氏は、LLMの法的整理について言及しており、生成AI関連の訴訟や規制の整理には何年もかかると予想しています。

7. The discussion around AI regulation becomes a critical topic in the US during the election because machine-generated content exacerbates international meddling in US politics. But the overwhelming desire for the US to continue to lead the innovation wave it started creates safe harbors, the same provisions which enabled the web to flourish, are applied to AI.

引用:X(Tomasz Tunguz)

ただ、Fred氏に加えてTomasz氏のXでも、米国がイノベーションをリードしていきたいという願望から、生成AIの訴訟や規制の整理を待たずにイノベーションしていくことになるという見解を示しています。


web3もついに法規制の折り合いがつき花開くか?

最後に、2024年の「web3」について見ていきましょう。

2024 will be the year that regulators and lawmakers come to terms with web3.

But as important as regulatory clarity is to web3, it pales in importance with the need for a “ChatGPT moment” for blockchain-based technologies. AI developed for over forty years before its coming out party. I think it will take web3 less than half that time. Satoshi gave us the playbook to build a decentralized internet stack back in 2008 and I feel quite confident that we will have massive mainstream applications running on this decentralized stack well before 2028. I think we will see mainstream decentralized applications emerge in 2024 as we now have inexpensive and fast transactions and simpler user interfaces.

引用:What Will Happen In 2024

Fred氏は、「規制当局と法律家がweb3の法規制に折り合いをつける年になる」と予想しています。

ただ、規制の明確化がweb3にとって重要である一方で、「ブロックチェーン領域における”ChatGPT並み”の優れたアプリケーションの創出」のほうが遥かに重要だとしています。

AIはChatGPTを誕生させるまでに約40年かかりました。しかしブロックチェーンはその半分の20年と見立てており、2008年にビットコインが誕生したことから、2028年までには優れたアプリケーションが誕生し、それは2024年にも起こり得る、というものです。

5. The BTC ETF drives a resurgence in interest in web3 financing. The winter forced many companies to evolve from open-source projects to revenue-generating businesses. We see the first broadly successful tokens with dividends (likely outside the US). This innovation reinvigorates very early-stage IPOs. We also see more ARR-based web3 businesses achieving scale. Record inflows into tokens fuel all-time highs in Bitcoin, Solana, & higher performance L1s who offer better price/performance to market.

引用:X(Tomasz Tunguz)

Tomasz氏は、「ビットコインETFに加えて、ARRベースのweb3ビジネスへの拡大」を挙げています。

特に、2024年1月10日に米証券取引委員会(SEC)が、ビットコインETFを承認したことで、多数の投資家による購入が期待されるなど、非常に注目が集まっています。

参考:BlackRock expects spot Bitcoin ETF approval next Wednesday: Fox Business


まとめ

ここまで、米国著名VCの2024年のトレンドを整理してきました。

【IPOマーケット】
・2024年前半はIPO市場は引き続き低調であるが、夏〜秋を目処に、FinTech企業のストライプや、AIのデータブリックスを筆頭とする数社の大型IPOが行われ、活況となる
・小規模IPOの再登場

【AI】
・iPhoneがモバイルデバイスのアプリケーション時代をもたらしたように、2024年以降はAIのアプリケーション時代に移行する
・これまで課題であったコストや安全性、コンプライアンスといった問題は2024年に解消され、今後は実験やプロトタイプ・社内アプリケーションという立ち位置から、顧客向けの大規模な展開へと移行していく

【生成AI】
・本格的にエンタープライズ企業のワークフローに導入され始める
・生成AIを活用したSaaSの急成長が見込まれる

【LLMの法的整理】
・生成AI関連の訴訟や規制の整理には何年もかかる
・ただ、米国がイノベーションをリードしていきたいという願望から、生成AIの訴訟や規制の整理を待たずにイノベーションしていくことになる

【web3】
・規制当局と法律家がweb3の法規制に折り合いをつける
・2024年以降、AI領域でのChatGPTのように、ブロックチェーンにおける優れたアプリケーションが登場する
・ビットコインETFが承認される

特に、2023年に注目が集まった生成AIとweb3について、2024年も引き続き動向を注視していきたいと思います。

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