完全保存版【國光さん聞く】web3とメタバース 対談書き起こし(後編)
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前編をまだ読んでいない人は、そちらを先に読んでください。
シバタの「アメリカは国家戦略でweb3に重点フォーカスしている」発言がズレていると思う理由とは?
シバタ:では、そろそろ場が温まってきたので、この肝心な議題にいきますか。皆さん、今からプロレスが始まるかもしれません…。(笑)僕がFacebookでこういう投稿をしたんですよ。これがどう違うかというのを今から少しお話いただこうと思います。一応、見ていない人もいるかもしれないので、少しだけお話します。
僕は割とアメリカ側から見ているというのはあります。アメリカから見ると、Web3はかなり戦略的に行っているなと思っていて。要はGAFAがある意味いろいろな国に浸食したわけですが、それをもう1回別のかたちで行おうというのをするつもりではないかなと思っています。
結構、特に先進国ではなく後進国のところで法規制が緩いところに、Web3という看板を持って、アメリカの会社やVCが投資したWeb3系のプロジェクトがガガガッと侵入していって思いきり搾取しているようにも見えるんですよね、アメリカ側から見ると。アメリカうまいなと思ったりもするんですよ。
一方で、日本のスタートアップがWeb3は法規制の問題でできないから海外に逃げてしまうということを言うんですけれども、僕はそんなことはないのかなと思ったりもしています。國光さんがやられているように、日本の投資マネーをいかにWeb3に入れるか、こちらの方が大事ではないかと思いました、というのが僕の投稿だったんですよ。
シバタ:それに対して、「反論ありまくりなので…」ということで今日に至るんですけれども…。
國光:(笑)
シバタ:どの辺がずれていますか。
國光:まず、アメリカはまったく戦略的にできていないという感じが大きいです。最初に言ったようにアメリカは今回の戦いに出遅れたんですね。引き続き、世界で一番大きい取引所はBINANCEなんですよね。
シバタ:そうですね。
國光:その次に大きいのはFTXですが、これは両方とも別にアメリカベースではないんですね。コインベースはそこそこ大きいけれども、やはりどう考えても遅れを取っていますし。そもそもファンドも、a16zはまあまあ早かったですが、a16z以外のSequoiaやほかの大きなファンドはここに来てようやく必死に頑張り始めましたという印象です。ただただ全体的に出遅れていたというのがシリコンバレーで、必死にそれを巻き返そうとしているという見方が正しいと思っています。
マーク・アンドリーセンの発言の中ですごく面白かったのが、「なぜわれわれは出遅れたんだろう」というのを何かで話していたんですね。その理由は大きく2つあって、1つはやはり国とドルに対する信頼が厚かったという先ほどのところ、つまり、ニーズというところです。もう1つは、最初にビットコインが出てきましたよね。ビットコインの価値は変わらないことが価値なんですね。デジタルゴールドとして、ただそこにある。一方、シリコンバレーは、とにかく動く、改善、改善…というのがイノベーションの中心です。だから、だから、「変わらないものが価値がある」ということを完全に理解するのに非常に時間がかかりました。だから、シリコンバレーが気付き始めたのはイーサリアムからなんですね。
シバタ:そうですね。
國光:イーサリアムは少し違って、変わっていくというところの価値なんですね。
シバタ:そうですね。
國光:でも、結局、a16zはイーサリアムには乗り遅れたし、イーサのCTOだったギャビンがつくったポルカドットにも出遅れました。今、面白いのが、パブリックチェーンの戦いにおいて一番強いのが引き続きイーサです。これがイーサリアム2.0というPoSへの進化が遅れているから、そこに対してライバルチェーンとして出てきているものの筆頭格がポルカドットとソラナだったと思うんですね。
このソラナにa16zは異常なほど張りまくっているんですね。この理由は僕の中でシンプルで、彼らがイーサやポルカドットに乗り遅れたからなんですよ。だから、自分たちでこのシリコンバレー全勢力をあげてソラナに張ってなんとか巻き返そうとしているという感じに見えます。
そういった意味でいくと、まず、シリコンバレーは出遅れましたと。ただ、そこから凄まじい勢いで今巻き返していますというところです。ですので、戦略なんてあったものではなかったというのが1点目です。
シバタ:なるほど。
國光:2点目は規制の話です。今、世界のCrypto業界は大きく4つ…、4つというよりかは、大きく3つ+1に分かれていると思っていいです。1つがアメリカ、1つが中国、1つが日本、それと、その他の国という感じなんですね。
まず、中国は完全に規制されていて何もできないんですね。今、中国国内でWeb3系をしていると逮捕されるリスクすらあると言われてるんですね。
シバタ:おおー。(笑)
國光:ほんと、ほんと。
シバタ:怖いですね。
國光:そう。もう無理なんですよ、完全にWeb3は中国は消えたという感じです。
シバタ:すごい。
國光:一方、日本は凄まじく厳しい規制がある。でも、逆に言うと日本だけきちんとしたルールがあると言ってもいいんですね。その他の国は、結局、ルールが緩いのではなくて、まだ規制がないんですよ。定まっていない。だから、みんな好き勝手にしています。ただ、ひょっとしたら明日からいきなりだめというリスクはあるんですね。
世界の中で規制があるのは日本と中国だけ、それ以外のところはルールがありません。そして、今どうなっているかでいくと、アメリカも同じくルールがまだないんですね。今、アメリカでしたっけ?
シバタ:アメリカです。
國光:普通にトークンを買うときでもIPで弾かれているものも多いでしょう?
シバタ:アメリカの国内のサービスだったら買えますけれども。
國光:でも、それはコインベースにリスティングしているトークンですよね。
シバタ:そうです。
國光:そういう感じだったり、初期のIDOやIEOなど、そういう感じのプロジェクトのほとんどは、基本的にアメリカの在住者が買えないようになっているはずなんですね。
シバタ:今でも、アメリカ拠点のWeb3のサービスなのですが、アメリカ人にはサービスを提供していない、アメリカ人はブロックしているサービスは確かにたくさんあります。
國光:たくさんありますよね。
シバタ:はい、あります。
國光:トークンを買うときでも、アメリカ居住者を弾いているケースはものすごく多いんですね。この理由は、結局、世界中の国で例えば明日から規制となった場合、ほとんどの国は明日からやめればいいんですよ。ただ、アメリカの場合、SECは、リップルの例もそうですが過去に遡って刺しにくるんですね。それが世界中どこにいても刺しにきますので、世界中の多くのプロジェクトがアメリカ人に対して売っていると、どこで刺されるか分からない状況です。そのため、アメリカに対しては思いきり弾いているんですよ。
また、アメリカのファンドも、ほとんどみんなケイマンなどオフショアにつくっているんですね。アメリカの国内のファンドからの出資は受け付けないプロジェクトも多いです。結局、アメリカの規制当局が全然動かないから、a16zがかなりロビー活動で動いて、それで少し前にバイデン大統領が大統領令を出して「年内におまえらまとめろ」というのを出したというのが現状です。
だから、僕の感覚で言うと、アメリカはVCもスタートアップもまずは出遅れていました。国自体も、やはり規制当局も非常に出遅れていました。ただ、そこを凄まじい勢いで巻き返してきて、彼らの必死のロビー活動でようやくアメリカ政府も重い腰を上げてきたというのが現状ですので、国家戦略でできているというレベルどころか、逆に、どう見ても出遅れているなという印象ですね。
シバタ:なるほど。ありがとうございます。これはおそらくどちら側から見るかで違うと思います。僕の印象は、ほかの国に比べるともちろん出遅れたと思います。その出遅れたのを取り戻すためにいろいろ必死にしているなというのがどうしても強く見えてしまって、こういう書き方になったんですね。
おそらく國光さんが見えている世界は、もっとすごく進んでいる世界を先に見られていて、そういう世界から見ると全然遅れているよと、まだまだ全然追いついてないよという話だと思うんですよ。
すごい勉強になりますね。ありがとうございます。
國光:そして、もう1つ、僕らスタートアップにとってチャンス的な話をすると、昔よく言われていたのが、結局、日本国籍の法人にはアメリカのVCは投資しないよ、やはりアメリカに会社をつくらないと、という話でしたが、今は気にしていないんですよね。どこの国にあるとか、どこに何があるとか、気にしていません。「ヘッドクォーターはどこ?」という質問すらほとんどなくなってきている気がしています。
そういった意味でいくと、先ほどのアクシー・インフィニティはフィリピンの会社だったり、The Sandboxはアルゼンチンの会社だったり、結局、世界中どこにいてもVCは気にせずに投資するようになってきています。それでいくと、日本のAstarも、今、2,700億円ぐらいまでいっているかな。世界のトップティアVCから資金を集めています。
今までは日本の会社だとなかなか海外のVCは投資してくれないということがあったのが、プロジェクトさえよければ、世界中の投資家からガンガン集められるので、結構、Web3はいい環境だなというのはすごく感じますね。
シバタ:そうですね。エクイティの部分は多少厳しいかもしれませんが、トークンを買うのなら別にどこの会社でも関係ないですもんね。
國光:関係ないです。
シバタ:なるほど。それは面白いですね。確かにそう考えると、これからトークンだけに投資するというのもアイデアとしては面白そうですね。すごい。ありがとうございます。
質問#3: メタバースとweb3はどのように交差していく?
シバタ:では、もう少し時間がありそうですので質問を拾っていきましょうか。先ほど質問にも来ていましたが、「メタバースとWeb3が交差する世界」というのは、僕も國光さんの本を拝読するまでは若干イメージしづらかった部分がありましたので、ここを語っていただくのが、もしかすると今日来ている方には一番面白いのかなと思います。いかがでしょうか。
國光:ここは、最終的につくっていきたいところはすごくシンプルで、「レディ・プレイヤー1」という映画のオアシスは、10億人、20億人が生活する完全なるメタバース、仮想世界です。その仮想世界の中では、みんな、ゲームするだけではなくて、友達と集まったり、ショッピングに行ったり、映画に行ったり、それだけではなくて、仕事に行ったり、学校に行ったりする。そんなオアシスのような世界をどのようにしてつくっていくかというのが1つ登るべき山だと思っています。
それを実現するために重要なのがVRメタバース、そしてここに経済圏というところを加えていくという意味でブロックチェーンやNFTが必要になると思っています。
シバタ:なるほど。
國光:まずはVRMMORPGで「ソードアート・オンライン」のような大ヒットゲームをつくるという戦いなんですよね、そしてブロックチェーンを進化させていき、これが5年10年ぐらいして重なっていくと「レディプレイヤー1」のオアシスのような世界ができてくるというイメージです。
これを見ている方はぜひ、スピルバーグ監督の「レディプレイヤー1」という映画を見てみてください。ただ、これは「レディプレイヤー1」の原作小説になっている『ゲームウォーズ』というSF小説の方が、より内容が深くて面白いですね。これを見ていただくと、最終的に「メタバースとWeb3が交差した世界」というのがイメージ湧きやすいと思います。
シバタ:なるほど。
國光さん著「メタバースとweb3」は既に重版3刷が決定
國光:この辺の話のところを語り始めると3時間ぐらいになってしまうので、その部分は結構、本の中にも書いているので、ぜひ読んでいただければと思います。
シバタ:そうですね。ぜひ。この本は本当にすごくお勧めです。別に今日お時間いただいているからお世辞で言うわけではなくて、尾原さんが「本を書いたら?」とおっしゃった理由もよく分かりますし、今もう、重版3刷が決まっているのですか。
國光:そうですね。
シバタ:すごいですね。まだ買っていない方は、ぜひ買っていただければなと思います。「買いました」というコメント、ありがとうございます。
國光:ありがとうございます。(拍手)
シバタ:僕の本ではありませんが、すごい! 素晴らしい!(拍手)
今日お話を聞いていただいた方はみんな分かると思いますが、やはり僕がアメリカで見ている世界よりも、おそらくはるかに深いところの現場を全部見られていて、概要が本にしっかりと入っている感じです。
「買いました。サインください」という人がいますね。サインについては僕は分からないので、本人に聞いてください。(笑)
國光:(笑)
シバタ:本当に、買いたいという方はぜひ買っていただいても損はないかなと思います。あまり難しい専門用語ばかりの本でもなくて、今日のお話の通り、スーッと頭に入ってくる本です。ぜひ買っていただければなと思います。
Amazonで売り切れが続出しているという説がありますが、在庫は大丈夫ですか。
國光:在庫については出版社の方に言っています。出版社側が、「まさかこんな専門的な本が売れるとは!?」というような感じで甘く見ていたようですね。(笑)
シバタ:「キンドルお願いします」とのコメントです。キンドルありますよね。
國光:キンドルはあります。
シバタ:はい。キンドルもあるはずです。
「Audibleの出版もお願いします」とのコメントです。Audibleは出版社のパワー次第なんですけれども。おそらくオーディブルにするのは結構大変なんですよね。聞いてみてください。
日々の仕事に使えるVRデバイスはOculus Quest2の一択
國光:質問で面白いのありますかね。
シバタ:質問で面白いのはあります。
「Web3的アプリもこれまでのアプリと同様に、中国やロシア的国家に住むユーザーにとっては、国にBanされたら終わり、という意味では同じなのでしょうか」という質問です。
國光:それは一緒ですね。結局、ブロックチェーン上だけで完結する部分と、アプリケーション部分のところと、分かれてくると思っています。多くのプロジェクトはなんだかんだで例えばゲームやサービス系のものを含めていくと思いますが、やはりこのアプリケーション部分のところは普通のWeb2サービスと一緒なんですね。
この辺が全部ディセントラライズドでブロックチェーン上で動くようになるには少なくとも5年では絶対無理だと思います。そうすると、やはりインターフェースのところをBanされるとほとんどのサービスが終わってしまいますよね。
シバタ:そうかもしれないですね。
國光:ただ、この辺が怖い人でも、ビットコインやほかの仮想通貨を買っておいて自分のコールドウォレットに入れておけば、政府に発見されることはないですね。
シバタ:なるほど。今の質問に似た質問がおそらく前半にもありました。國光さんがいらっしゃる前に来た内容ですが、今もしVRを体験するとしたら、今もしデバイスを買うとしたら、やはりOculus Questが一番いいですか。
國光:Quest2一択ですね。
シバタ:Quest2一択、分かりました。僕もQuest2、Questの1から持っていて2も買いました。ゲームはあまりやらないんですけれども、夜、マッサージチェアに座りながらYouTubeを見るという、謎の使い方をしているんですけれども。
國光:そんな使い方。(笑)なるほど。
シバタ:はい。DMMは見ていませんよ。(笑)普通にYouTubeのゴルフの番組を見たりしています。1度どこかの対談で、Horizon Workroomsというアプリで本当に隣に座っているような感じで対談をしたことがあって、もうかなりいけますよね。
國光:いけます、いけます!
シバタ:Workrooms、いけますよね。
國光:巷のビデオチャットとは違う実在感というか、本当にそこにいる感じがありますよね。
シバタ:あります。
國光:だから、僕らも海外チームとの打ち合わせでも、特にブレストっぽいのが必要なときは、結構、VRを使っていますね。
シバタ:本当ですか。もう使っているんですか。
國光:はい。ほら、これは結構便利なんですよ、Zoomで5~6人なってくると、誰がどこにいるかが分からなくて。でも、これがWorkroomsになると、右を見て左を見てという感じで距離感も分かるんですよね。
シバタ:自分が右を向いたら、右にいる人は自分の方を向かれているというのが分かったりしますよね。
國光:そうなんですよ。音声も距離によって変えていたりして臨場感があるから。結構、Zoomでのブレストは難しいと思うんですよね。
シバタ:難しいですね。顔が平面ですもんね。
國光:そうなんですよ。だから、多人数にはあまり向いていないと思っています。これがVR会議のような感じだと多人数でもすごく向いていると思います。
シバタ:分かります。Workroomsはすごくよかったですね。では、もっと使いますかね。
國光:ぜひぜひ。
シバタ:はい。
國光:お勧めのVRゲームは、取りあえず買ったばかりだったら、ベタですが、Beat Saberという音ゲーム。もしグロテスクなのが嫌いでなかったらThe Walking Dead、これはすごくよくできていますね。それから、今年の夏にALTAIR BREAKERという僕らのゲームが出るので、ぜひプレイしていただきたいです。
シバタ:はい、楽しみにしています。
國光さんがオススメする「今からweb3を体験する方法」
國光:せっかく聞いていただいている人がいるから、例えば、メタバース領域をするなら、まずはQuestを買って、やはり売れているゲームを上位から順番にしていくというのが一番お勧めかなというところです。
Web3領域についても、もしやっておきたい場合は、これはメタバース以上にWeb3の方が面白いところですが、投資をする、トークンを買うということで参加ができます。
Web3の特徴の1つは、オーナーシップです。サービスやオープンソース、ネットワークのオーナーシップの一部を持てる、そのプロジェクトが本当に流行ってくると、トークンの価格も上がって自分にもメリットがある、こういうところがすごく大きな部分です。
そういった意味で、Web3系を知りたいなら、例えばコインマーケットキャップの時価総額ランキングトップ100、少し勇気を出して200ぐらいまで下げてもいいのですが、その中から10個か20個ぐらい、自分の興味がありそうなところ、直観に任せてもいいですけれども、余裕の範囲内で少額取りあえず買ってみるといいと思います。そこの10個か20個ぐらいの価格の動きを見ておくと、すごく上がったり、すごく下がったりしますので、なぜ上がったんだろう、なぜ下がったんだろうというのを調べるようになってくると思うんですよね。
シバタ:はい、そうですね。
國光:そうなってくるとね、やはり。
シバタ:少額でも、実際に自分のお金を入れると見ますからね。
國光:そうそう。
シバタ:分かります。
國光:そこでやはり自分事という感じになってくるというのが結構大きいのかなと思います。
それから、この本だけではなくて、FiNANCiE上で國光DAOというのも運営しています。國光DAO自体は、メタバース、Web3を理解していこうという人たちがお互いに学び合ったりできるような場所にしていきたいなと思っています。本も書き終わったので、ここからより積極的に活動していこうと思うので、ぜひFiNANCiE上の國光DAOも見ていただきたいです。
シバタ:國光DAO、いいですね。僕もいつかDAOをつくってみたいので、また相談に乗ってください。
國光:ぜひぜひ。サロンに来てください。
シバタ:ありがとうございます。
國光さんがこれから注目するweb3の事業領域とは?
國光:次に僕が見ている領域、1号ファンドで僕が見ていた領域は3つです。1つ目はDeFi、CeFiと、2つ目はNFTを含めたところと、3つ目はレイヤー1、レイヤー2のソリューションのところが特に力を入れて見てきたというのが1号ファンドです。
2号ファンドは、1号ファンドの領域も引き続きという感じですが、そこに加えて特に見ているのが、1つ目はやはりDAO周辺です。インターネットが始まったときに、多くの人がホームページを持ち、ブログになって、TwitterやSNSになったというのはあるから、かたち自体は変えていくと思いますが、将来的に世界中の多くの人が自分のDAOを持つようになるような未来、これが新しい時代のブログと言ってもいいし、SNSと言ってもいいという時代が来るかなと予想しています。ですので、DAO周りには非常に力を入れています。
2つ目は、これはシバタさん、面白いのが、アイデンティティの概念がWeb2とWeb3で大きく変わるんですね。よく言われているのが、Web1のアイデンティティはEメールとパスワードなんですよ。Web2のアイデンティティがFacebookログインやTwitterやGoogleログインなんですね。Web3のアイデンティティがWalletなんですよ。
シバタ:僕、おそらくそのスライドを準備しています。
國光:本当に?
國光:このWalletがアイデンティティになってくることの1つ分かりやすい点は、結局、Walletさえあれば簡単にお金を送り合えるんですよね。そのため、今までのように広告を介在しなくても、直接、価値のやり取りができるという部分があります。
ただ、そこだけにとどまらなくて、今のWalletってすごくプリミティブな感じで、結局、すべてのものが1つのWalletに入っている状態、これ自体がオンチェーン上にあるから全部のものが見れてしまうんですね。また、複数のWalletを持ったときに管理が難しかったり、見せたいところと見せたくないところがあるところをどうするか、あとはWalletを活用したマーケティングの手法だったり、結構いろいろあります。そのため、このアイデンティティとWallet2.0のところは特に注力して見ています。
3つ目は、引き続きゲーム自体のところです。今このゲームNFT領域は非常に進化してきているんですね。そのため、この次世代のブロックチェーンゲームやNFT領域のところはとても興味があります。
4つ目、ここから僕が確信を持って思っているのが、やはり1つのチェーンが圧勝する未来はないと思っています。
シバタ:そうでしょうね。
國光:将来はやはり用途に合ったかたちのマルチチェーン、これをそれぞれがメタバースと呼ばれるようになってくると思っています。そうなると、やはりクロスチェーンソリューションというところは大変重要です。
要するに、Unityが分かりやすいですよね、ここでやったものがここという、このマルチチェーン時代のところと、マルチチェーンをするところのクロスチェーンソリューションというのは見ています。
5つ目、結構、多くの人と僕は逆張りという感じのところもあります。と言いますのも、Web3はDay1からグローバルというのが世界でもすごく多いんですね。でも、ここからの2~3年間は僕は逆に振れると思っています。世界中で日本のような規制の時代がやってくると思うんですね。
結局、先ほど言いましたように、今は日本と中国は結構規制されていますが、それ以外の国は規制がなくて、今、アメリカは急速に規制を整えようとしているんですね。アメリカの規制が進んでくると、当然EUはEUで独自の規制になってくるでしょうし、インドはインドで独自の規制になるでしょうし。僕は、エリア毎の独自規制が厳しくなると思います。これはインターネットの規制以上にやはりお金が関わることですので、より厳しくなってくると思います。
そうなってくると、今のWeb3サービスは基本的にDay1からグローバルというのが中心です。これはFiNANCiEが今まさに行っているところですが、FiNANCiEの競合でスポーツだとSociosというところがあったり、あとは人という意味ではRallyというものがあったりして、やはり各国で彼らは規制など関係なくグローバルで展開しているんですね。
ただ、彼らは日本国内では違法なんですね。そこで、僕らはこれを今、日本の合法になるようなかたちに改造を行っています。ただ、これは最終的にはアメリカやほかの地域でも同じようなことになってくると僕は思っています。
シバタ:分かります。
國光:そういった意味では、僕はマルチリージョン、Uberで流行ったものがDiDiが出て、Grabが出てというような、そういう感じのマルチリージョンになってくるだろうなと思って、この辺の領域も注力しています。
シバタ:なるほど。面白いですね。でも、ファンドのサイズが6倍ぐらいになっているわけですよね。結構たくさん投資をされないといけないなという中で、これからもプロジェクトは出てくると思うので投資先に困ることはないと思いますが、楽しみですね。
國光:ぜひ面白い投資先があったら、シバタさんも皆さんも教えていただきたいです。
シバタ:はい。
國光:でも、今、例えばDAO領域のところでも、DAOで世界で流行っているのは、ダントツで多いのが投資DAOなんですね。その次に多いのがゲームDAOです。この2つで9割ぐらいのDAOで、残り1割がほかいろいろという感じです。
でも、結構、こういう投資DAOのようなところを日本でなんとか合法でというところもいろいろ考えていかないと、やはり日本が結構遅れていってしまうと思ったりするので、その辺のDAOのところでもシバタさんにいろいろ相談できるといいですね。
シバタ:ぜひぜひ。「決算を読みながら投資するDAO」というのをしたいですね。だめですかね。(笑)
國光:いいですね。絶対いいです。
シバタ:「真剣に決算を読んで投資するDAO」というのをみんなで試してみたいですね。
國光:今回のWeb3のところで僕らのファンドのパフォーマンスに実は一番影響が大きかったのは、ICOが規制されたことだと思っています。結局、ICOが流行っていたときは、世界中のVCも個人投資家も同じフィールドで投資する感じだったんですね。そのため、結局、ほとんどデューデリもできない。意思決定も翌日までかかっているものがたくさんありました。でも、世界中で規制される感じになってきて、結果、VCがまた儲かるようになってきたという感じです。
その中で思ったのが、やはり投資の世界はリスクリターンがありますよね。そこの個人の自己責任の概念がとても重要だと思っています。今回、Web3が多くの人にとってチャンスかなと思うのが、今までの株式の世界は結局VCの利権が激し過ぎて、多くの人が株を購入できるのは上場後なんですね。
シバタ:そうですね。
國光:AirbnbやUberは上場時8兆円ぐらいでしょう。そこから初めて一般の投資家が入れるという圧倒的に個人に不利というのが今までのところでした。ここが大きく変わってきていることもWeb3の1つ大きな特徴だなというのは結構思ったりしますね。
シバタ:分かります。そういう意味では、やはり早く入れるというか、その辺は大きいですよね。
ありがとうございます。皆さん、時間大丈夫ですか。当初の終了予定時間が過ぎていますよね。そろそろ締めても大丈夫ですか。
國光:そうですね。では、締めにいきますか。
シバタ:はい。皆さん、ありがとうございました。「第2回の日程だけ決めてもらっていいですか」というコメントがありますね。本当に?。(笑)
國光:(笑)
これからweb3の世界に詳しくなりたいビジネスパーソン向け「web3事例データベース」とは?
シバタ:國光さん、ありがとうございました。お忙しかったと思いますが、わざわざありがとうございます。
「決算が読めるようになるノート」のチームが、僕の知らないところでWeb3の事例データベースというのをつくり始めたんですよ。興味がある方はぜひ法人向けに買ってください。一応、$10M(約10億円)以上資金調達しているWeb3プロジェクトのデータベースをガンガンデータベース化して事例集をつくっています。
シバタ:また、Web3事例データベースを買ってくれた人には僕たちが皆さんの代わりに國光さんの本を買って届けますという謎の特典を付けています。
國光:ありがとうございます。(笑)
シバタ:これもアンケートに一部入っているので、欲しい方は、本を直接買っていただいてもいいですし、われわれのこの月額のサービスを買っていただけると、皆さんの本が届きます。
Web3、今日いろいろなお話があったと思いますが、國光さんがお話いただいたもの以外にも、毎週すごい数の資金調達が起こっていますよね。
國光:起こっています。すごいです。
シバタ:ですので、その辺をきれいにトラックしたい方は見ていただければなと思います。
シバタ:それから、このWeb3データベースをつくる運営チームのメンバーも募集していますので、もしこういう実際にデータベースをつくってみたいという人は、私のnoteにこの記事が出ていますので、採用の方もぜひ見てみてください。
皆さん、今日は時間が延びてしまったのですが、本当にありがとうございました。國光さんもありがとうございました。また機会があればお願いしたいと思います。
國光:ぜひぜひ。
シバタ:今後ともいろいろ教えてください。
國光:こちらこそ。ありがとうございます。
シバタ:それでは皆さん、ありがとうございました。
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