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しばQ: マーケ系オススメサイト、AIで黒字化した事業、上場企業における株主からの圧力、新規事業では「タイミング」が重要か、オンラインビデオ業界で勝ち残るには、旅行ガイドマッチング

このnoteは「何でも質問できますコーナー = しばQ」への回答です。

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おかげさまで大変好評をいただいており、質問数が非常に多くなっています。

今回からは、必ずしも一つの質問に対して一つのnoteでお答えする、という形ではなくなる場合もありますので、ご了承いただければと思います


Q: マーケティング x 経営関連でオススメのサイトは?

『決算が読めるノート』のような、ビジネスモデルが絡む話が好きで購読させてもらっています。マーケティングやSEOに関する記事は個別最適の記事が多いですが、ビジネスモデルから語られているものが少ないと思っています。海外メディアで決算×マーケティング、ビジネスモデル×マーケティング、ビジネスモデル×SEOといった切り口で語られているようなサイトや記事があれば知りたいです。以前紹介されていたようなebayの商品カタログの強化のような記事です。

A: MOZのブログを読むと良いと思います。

経営者から見ると、マーケティングと言うのは企業経営の一つの分野ではありますが全てではないので、必ずしも決算や経営といったテーマと、マーケティングの専門性が高い話題が交差する領域、というのはあまり大きくないのかもしれません。

私自身、日本語のニュースは1日に一度ヤフーニュースをチェックするくらいであまり読んでいないので、日本語のサイトはわかりませんが、英語であればMOZ BLOGを読むのが良いと思います。EOの話題が中心ですが、それ以外にもマーケティングやたまにビジネスの話も出てきます。


Q: AI関連で黒字化している企業は?

現在AIがバズワードとなり、多くの企業がAI導入を発表しておりますが、決算書からみて、AI関連で、一般向け(B2B,B2C)に商品販売している企業で黒字化(部門として採算が取れている)している会社はありますでしょうか。また、そのマーケットの規模を見据えた上で、将来有望な企業はございますでしょうか。アメリカ企業、中国企業が先行しているかと思いますが、日系企業にもスポットを当てて紹介頂ければ幸いです。


A: AIは「単品料理」ではなく、既存ビジネスとの組み合わせで見るべし。

そもそも公開企業で、AI関連事業をセグメント別に公開している企業というのを見たことがありません。

これはどういうことかというと、AIと言うのはそれ単品でビジネスにするというよりも、既存事業と組み合わせて初めてビジネスになる場合が多いからです。

例えば、テスラが自動運転機能付きの車を販売する場合、車の販売額のうちいくらがAIによる売上かと言うのは公開しないでしょうし、そもそもそういった内訳を計算しようとすること自体が無意味だと考える人の方が多いでしょう。

AIを語る上では、大企業でありがちな部門別採算性といったような概念は、最もAIと相性が悪いと思いますので、そういった概念を捨てるところから始めるのが良いかと思います。

AI関連で一番ホットだと言われている分野は、自動運転、音声アシスタント辺りでしょう。


Q: 上場企業における株主からの圧力はどの程度か?

(上場企業の場合)株主からの圧力って、実際、どれくらいあるのでしょうか?背景:親会社が東証マザーズに上場してからというもの、毎期の数字に関して、非常にシビアになっています。「株主への説明責任がある。圧力もある。」ということらしいのですが、株主総会で問い詰められているのを見たこともありませんし、一部の有力な企業でなくても、”株主の圧力”というのは、あるものなのでしょうか。キャッシュは十分にあるので、株価が下がったところで、そんなに問題はないのかな、とも思ったりしてしまいます。

A: 日本の場合、株主からの圧力がかかる場合は少ないのでしょうか。

これはその企業の株主構成に依存すると思います。

例えば日本でよくある例としては、創業者が上場した後も過半数以上を保持している場合では、極論すると株主から何を言われても全く聞く必要がありません。自分1人の議決権で株主総会ですべてを決議できるからです。

株主には二種類いるとされており、一つはプロ投資家である機関投資家、もう一つは個人投資家です。前者の機関投資家は、時価総額が500億円以上くらいの会社にしか投資をしません。機関投資家は、場合によっては経営者に対してプレッシャーをかけることもあるでしょう。

一方で時価総額が500億円に満たない上場企業の場合は、基本的には外部の株主は個人投資家である場合が多いと思います。個人投資家にはいろいろな人がいますので、色々なことを言われるケースも多いかと思いますが、一人一人の議決権はそこまで大きくならないケースが多いので、どこまで真剣に株主の声を聞くのが良いかは経営者次第だと思います。

私の知っている範囲では、日本の方が、アメリカに比べて、上場企業の経営者に対する株主からのプレッシャーはとても小さく見えます。

一方で上場企業は、四半期毎に必ず決算を開示しなければならない義務がありますので、日本の公開企業の経営者が感じているプレッシャーと言うのは、もしかすると株主に対してのプレッシャーではなく、この四半期ごとの決算開示に対するプレッシャーなのかもしれません。


Q: 新規事業は「タイミング」が重要?

取り組むべき事業を決める際に、「市場選択」と「タイミング」が重要という話を起業家や起業経験のあるエンジェル投資家の方の記事で見たことがあります。もし柴田さんも「タイミング」は重要だと思う場合、思いつくできれば最新の具体的な事例で教えてもらえると助かります。

A: 「タイミング」よりも自分が解決したい問題を解決する方が良いと思っています。

タイミングが重要だと言うのはもちろんそういったケースもあるかと思いますが、個人的にはタイミングというのは選べない場合が多いのではないかと思います。例えばスマートフォンの様な、マーケット全体を大きくひっくり返す様なものが出てきたタイミングであれば、そのタイミングで波に乗ると言うのは重要なのかもしれませんが、そう言ったタイミングは10年に一度ぐらいなのではないでしょうか。

タイミングが大事だと考えていると、そういった大きな波が来ない限りは新しい事業をやらない方が良いと言うことになりかねません。或いは大きな波を待つあまり、目の前の、本来乗れるはずだった小さな波を見逃してしまうこともあるでしょう。従って、あくまでも私の個人的な意見ですが、タイミングはあまり意識しすぎずに、自分がやりたいことやる、自分が解決したい問題を解決するのが、一番良いのではないでしょうか。

タイミングが重要な例を挙げて欲しい、と言うご質問でしたが、例えばスマートフォンの波に大きく乗ったサービスというのは、もちろんタイミングが重要だったと言えるでしょう。例えばLINE、Uberなどは、スマートフォンがなければ成立し得ないサービスであることは間違いありませんので、スマートフォンが出た直後にサービスを開始していたという、「タイミングで勝負がついている」と言うのもある意味事実でもあります。

一方で例えばAirbnbの様なサービスは、もしかしたらあまり外部のタイミングは関係なく成功しているサービスなのかもしれません。


Q: オンラインビデオ業界で勝ち残るには?

Time WarnerがSnapchatとコンテンツ提携を発表しました。今後Twitter やFacebook、はたまたAmazonビデオでも同様に独自コンテンツの流れが生まれていますが、勝ち残る要因は何になるでしょうか?

A: 「独自コンテンツ」と「顧客獲得コスト」の2つしか差別化要因にならないと思います。

オンラインの動画業界においては、勝ち残る要素は2つしかないように見えます。1つはご指摘のように、魅力的な独自コンテンツをどれだけたくさん保有できるか、という点です。Netflixの様なサービスは、コンテンツの大半を既存のコンテンツプロバイダーから買い付けているわけですが、コンテンツプロバイダーは同じコンテンツをNetflixの競合会社にも当然提供します。従ってNetflixは、独自コンテンツを自社で制作しない限り、コンテンツという面で競争優位性がなくなってしまうわけです。

もう1つの競争優位性は、顧客獲得コストになるでしょう。一人の有料ユーザーを競合よりもより安いコストで獲得することができれば、その分コンテンツに投資をすることができるため、大きく差別化できることになります。LINEがLINEミュージックを始めたりしている背景には、LINEプラットフォーム上での顧客獲得コストが、他のサービスに比べて低く抑えられるという思いがあるはずです。


Q: 旅行ガイドと旅行者とのマッチングサービスの市場規模と成長性について

Airbnbも実施している、現地の人々をガイドとして来訪客と結びつけるサービスがありますが、市場規模や成長性についてアドバイスをいただければ幸いです。宜しくお願いします。その他類似サービスは以下のようなものがあります。
http://travee.co/
http://meetrip.to/
https://www.peek.com/
https://huber-japan.com/listings/1058

A: どちらかと言うとあまり将来が明るくないように見えます。

現地の人々を旅行ガイドとして旅行客にマッチングさせるサービスに関してですが、個人的には旅行に行って旅行ガイドを雇った経験がないので感覚値としてはよく分かりません。

市場規模に関しては、これらの旅行ガイドと呼ばれる仕事の境界線が非常に曖昧であるため、あまり正確な数値が出ていないと思われます。

成長性に関しては、今後は今まで人間の旅行ガイドがやっていたことが、どんどん機械や人工知能に置き換えられていく気がします。例えばあるところに旅行に行って、その土地の名所を回りたいと思った場合、海外であればTripAdvisorなどのアプリを見ればすぐに情報は得られますし、目的地まで到達するには Google mapとUberがあれば自分一人で行けてしまいます。

最後に残る可能性があるのは通訳ですが、近い将来通訳もスマホ上で機械翻訳が完璧に近くなる気がしますので、単に旅行するということではなく、本当の意味で現地の人の生活に溶け込みたい、という様なニッチなニーズ以外では、旅行ガイドという仕事はどんどん減っていくのではないか、と言うのが個人的な感想です。


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