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Q. アライドアーキテクツの海外SaaSがARR40億円視野に急成長、3つの注目ポイントとは?

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A. 注目ポイントは以下の3つ
・人手がかかるモデルにも関わらず高い売上総利益率を維持している
・海外SaaSのARRが急成長しており、2024年末にはARR40億円を目標に掲げている
・高い成長率に加えて、既に営業利益率20%超の高収益体質を維持している
*ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益=毎年継続して発生する売上)

この記事はゆべしさんとの共同制作です。

本日は、SaaS事業やデジタルマーケティング専門人材を活用したソリューション事業等を展開するアライドアーキテクツ株式会社の海外SaaS事業の注目ポイントについて解説します。

2022年8月に発表された、2022年2Q(4月-6月)の決算では、特にアライドアーキテクツの海外SaaS事業が前年同期比で約2.2倍と、驚異的な成長を遂げており、2024年末にはARR40億円を目指していることが発表されました。

本日は、このアライドアーキテクツの海外SaaS事業の注目ポイントを3つに絞って解説していますので、特にSaaSビジネスに従事する方はぜひ最後までご覧ください。


アライドアーキテクツとは?

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アライドアーキテクツは2005年に設立された会社で、SaaS事業とデジタルマーケティングの専門人材によるソリューション事業等を提供するマーケティングDX支援企業です。

アライドアーキテクツは、「モニプラ ファンブログ」という無料モニターやサンプル情報をはじめとした日本最大級のレビューサイトを祖業としており、2013年に東証マザーズに上場後から、SaaS事業やSNS等のマーケティングDXを支援するソリューション事業など、多くの事業を手掛けています。


SaaS売上が2/3以上を占める規模に成長

2022年12月期 第2四半期決算説明資料(2022年4月-6月)

平成29年12月期決算補足説明資料(2017年1月-12月)

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次に、アライドアーキテクツの業績を見てみましょう。2022年2Qの全体売上は11.1億円で、事業セグメントは、以下の4つに分類されています。

(1)中国進出支援事業
(2)ソリューション事業
(3)海外SaaS事業
(4)国内SaaS事業

上図の通り、アライドアーキテクツの事業別の四半期売上推移を見ると、海外SaaS事業及び国内SaaS事業といったSaaS事業が7.5億円と、全体売上の3分の2を占めています。

中でも、海外SaaS事業は平均単価やストック売上比率が大幅に増加したことで、前年同期比で約2倍以上の驚異的な成長を遂げており、SaaS事業がアライドアーキテクツの柱となっていることが分かります。


アライドアーキテクツのSaaS事業

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ここで、アライドアーキテクツの国内SaaS事業及び海外SaaS事業について、具体的にどのような製品を提供しているのか、簡単に整理しましょう。

国内SaaS事業では、企業のマーケティング活動をSNS等のソーシャルテクノロジーを活用して支援するSaaS型プロダクトを複数展開しています。具体的には、ユーザーがInstagramに投稿した写真や動画をWebサイトや広告に活用できる「Letro(レトロ)」や、動画制作企業を支援する動画制作サービス「LetroStudio(レトロスタジオ)」等を提供しています。

海外SaaS事業は、シンガポールを拠点とするCreadits(クレディッツ)という子会社が、デジタル広告を出稿する世界中の広告主に対して、独自のクリエイターネットワークと人工知能を活用することで、広告効果の高いクリエイティブを提供するプラットフォーム「Craft(クラフト)」やプロジェクト管理ツール「Huddle(ハドル)」、動画編集ツール「Tune(チューン)」を運営しています。

前述の通り、アライドアーキテクツの祖業はモニプラ ファンブログですが、その後はSNSマーケティングを中心としたコンサルティング・広告運用等も手掛けており、これらの事業を通して得た知見をSaaS型プロダクトに活用することで、他社との差別化を図っています。


2017年から本格化したSaaSとソリューションの掛け合わせ戦略

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*上図中の「ReFUEL4」は2021年にサービス名を「Craft(クラフト)」に変更。

このように、複数のSaaS型プロダクトや事業を展開するアライドアーキテクツですが、どのような棲み分けが行われているのか、同社の販売戦略を見てみましょう。

上図は、アライドアーキテクツの2017年の決算説明資料で、前述した複数のSaaSとソリューション事業を掛け合わせることで、企業のSNSマーケティングに関する様々な課題を解決する戦略を掲げています。

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具体的には、比較的広告予算のある大手企業には、SaaSを中心にソリューション事業を組み合わせ、より深い総合提案を実施することで顧客単価の向上を目指し、広告予算の限られている中小企業に対しては、SaaSの提供で顧客数の拡大を目指す、ターゲットごとに売り方を変える販売戦略です。

ここまで、アライドアーキテクツの事業内容やSaaS事業、販売戦略について整理してきましたが、次章からは急成長を遂げている海外SaaS事業にフォーカスして、3つの注目ポイントを解説します。

アライドアーキテクツの海外SaaS事業の3つの注目ポイント
・人手がかかるモデルにも関わらず高い売上総利益率を維持している
・海外SaaSのARRが急成長しており、2024年末にはARR40億円を目標に掲げている
・高い成長率に加えて、既に営業利益率20%超の高収益体質を維持している


注目ポイント#1 人手がかかるモデルにも関わらず高い売上総利益率

1つ目の注目ポイントは、「高い売上総利益率(粗利率)」です。

前述の通り、アライドアーキテクツの海外SaaSの主要プロダクトの「Craft」は、クリエイティブ制作をデザイナーネットワーク内で行うことから、制作コストが発生します。一般的に、この制作コストは売上原価に計上されるため、ソフトウェア提供のみの他のSaaSプロダクトと比較して、売上総利益率は相対的に低くなるはずです。

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しかし、他のSaaS企業と比較してみると、上図のように国内SaaS企業の中でもアライドアーキテクツの売上総利益率は76%と高い傾向にあることが分かります。

この76%の売上総利益率は、アライドアーキテクツの中では売上総利益率が低いソリューション事業も含めています。そのため、売上総利益率が高くなりやすいソフトウェア提供で完結する国内主要SaaS企業と比較しても高い収益率を誇っていることは、かなり驚異的と言えるでしょう。

このような高利益率を維持する秘訣について、以下のCreadits社がPayPalに提供したサービス事例から推察にすると、人件費が相対的に安い国のデザイナーをネットワーク化した上で、大量のデザインを作成することでコストを抑えていると考えられます。

参考:PayPal

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現在の「Craft」(海外SaaSの主要プロダクト)の収益構造(上図左)を見ると、制作費が現時点で売上の20%に抑制できています。しかも、2024年末(上図右)にはインハウス化・システム化を行うことで、制作費を15%にまで抑制し、限界利益の向上を目指しています。


注目ポイント#2 海外SaaSのARRが急成長、40億円も視野に

2つ目の注目ポイントは、「海外SaaSのARRの急成長」です。

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アライドアーキテクツのSaaS事業のARRは、2022年2Q時点で国内SaaS事業が7.9億円、海外SaaS事業が16.1億円、合計約24億円の規模感にまで成長しています。

中でも、海外SaaS事業のARRは前年同期比で3.5倍の成長を遂げており、NRR(Net Revenue Retention Rate:売上維持率)は225.2%と驚異的な数値を記録しています。
(注:ここまでNRRが高い理由は、顧客数が少なく大手かつ大口顧客の売上が増加した為)

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そのような急成長を踏まえて、アライドアーキテクツは1年半後の2024年末までに、「海外SaaS事業のみでARR40億円突破」という意欲的な目標を掲げています。

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海外SaaS事業のみでARR40億円突破という目標を顧客数に換算すると、世界Top300のゲーム会社のうち、Creadits(海外事業子会社)の顧客数を現在の24社から100社にまで拡大する目標となります。

1年半でここまで一気に拡大させるのは、営業やデザイナーのリソース的にもかなりハードルが高い目標と言えるでしょう。しかしながら、大々的に決算発表で目標として掲げており、2025年末から1年前倒ししていることから、目標達成への強い自信が感じられます。


注目ポイント#3 高い成長率に加えて既に営業利益率20%超え

3つ目の注目ポイントは、「高い成長率に加えて、既に営業利益率が20%超」ということです。

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前述の通り、海外SaaS事業の成長率は驚異的ですが、実はマネタイズにおいても既に営業利益率は21.9%まで高まっています。

一般的に、グロースフェーズ(成長段階)の事業は積極的な投資によって赤字になったり利益率が悪化するため、20%超の営業利益率を実現することはかなり驚異的です。

これがどれくらい驚異的なのかについて、SaaSの40%ルールに当てはめて考えてみると、以下のようになります。

売上成長率 + 営業利益率
= (431百万円/194百万円 - 1) + 21.9%
= 122.2% + 21.9%
= 144.1%

*SaaSの40%ルールとは、SaaS企業は高い売上成長率があれば営業利益率が多少低くても事業として健全。しかし、売上成長が停滞した場合は高い営業利益率を求められるというSaaS企業の健全性を見る指標です。

一般的に、40%を超過していることが健全であると言われている中で、アライドアーキテクツの海外SaaS事業は144.1%と超驚異的です。

これは、開発費や広告宣伝費に大きな費用をかけることなく、既存顧客の売上を大きく成長させることができたことが主な要因でしょう。

前述した高い目標達成を狙っていく上で、今後どのように営業利益率をコントロールし、投資をしていくのか、非常に楽しみですね。


まとめ

ここまで、アライドアーキテクツの会社概要や事業内容、海外SaaS事業の注目ポイントについて整理してきました。

アライドアーキテクツの海外SaaS事業の3つの注目ポイントは以下の3つ
・人手がかかるモデルにも関わらず高い売上総利益率を維持している
・海外SaaSのARRが急成長しており、2024年末にはARR40億円を目標に掲げている
・高い成長率に加えて、既に営業利益率20%超の高収益体質を維持している

かなり高い目標を掲げているアライドアーキテクツの海外SaaS事業がどのように成長していくのか、引き続き注目していきたいと思います。

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