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Q. ゲーセンで創業5年400億円超の売上創出、新規上場GENDAの成長戦略とは?

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A. GENDAはM&Aによる非連続的な成長を経営戦略として掲げ、積極的なM&Aを展開している。そのため、創業から5年間で売上が115倍と驚異的な成長を遂げた。

2023年6月28日に、アミューズメント事業を展開する株式会社GENDA(ジェンダ/以下GENDA)が、東証グロース市場に上場承認されました。上場予定日は7月28日です。

GENDAは、セガサミーホールディングスの子会社だった「セガエンタテインメント(現GENDA GiGO Entertainment)」をグループ傘下に持つ会社で、SEGAブランドで運営しているゲームセンターの店舗名が「GiGO(ギーゴ)」に変わったことなどで大きな話題となりました。

参考:SEGAのゲームセンター店名がすべて“GiGO”に変更へ。運営会社名も変わり、店舗からSEGAの表記が消える

本日は、そんなGENDAについて、事業内容や決算情報を整理し、急成長を遂げる成長戦略について紹介します。

この記事は無料で公開していますので、ぜひ最後までご覧ください。


GENDAの新規上場

GENDAは2018年5月に設立されました。グループ傘下の企業の経営支援などを行う純粋持株会社で、今回の上場による想定時価総額は591.1億円です。

グループ傘下の企業は、主にアミューズメント施設やオンラインクレーンゲームの運営、アミューズメントマシンレンタル等といった、「アミューズメント事業」を国内外で展開しています。

また、GENDAの共同創業者である申真衣氏は、東京大学を卒業後、ゴールドマン・サックス証券に入社し、最年少でマネージングディレクターに就任するなど華々しいキャリアであり、女性ファッション誌「VERY」の専属モデルとしても活躍しています。


5年で115xの驚異的な売上成長

GENDAの売上は、2019年1月期の創業から2023年1月期までの5年間で4億円→461億円と、115倍の急成長を遂げています。

GENDAの年間売上461億円という規模感ですが、JPX(日本取引所グループ)によると、2022年に東証グロース市場でIPOを果たした企業の年間売上の中央値は19億円であるため、それと比べるとかなり大規模です。

参考:新規上場基本情報

次に、2023年1月期の売上総利益率と営業利益率は以下の通りです。

売上総利益率: 23.6%
営業利益率: 9.2%

詳細は後述しますが、コストが一定程度発生するアミューズメント施設運営事業の売上が全体の90%超を占めるため、アミューズメント事業を展開する他社と比較して利益率は低いです。

・カプコン:40.3%(2023年3月期)
・セガサミーホールディングス:12.0%(2023年3月期)
・コナミグループ:14.7%(2023年3月期)


GENDAの事業

GENDAはアミューズメント事業を展開する会社を複数グループ傘下としており、2023年1月期の売上構成比はアミューズメント施設運営事業が93.4%と、大半を占めています。

ただ、GENDAの2023年1月期の売上は461億円のため、全体の3.5%を占めるオンラインクレーンゲーム運営事業の売上は約16億円(=461億円×3.5%)と、10億円を超える規模に達しています。

ご存知の方も多いかもしれませんが、オンラインクレーンゲームは、顧客がスマートフォンやPCから遠隔でクレーンゲームを操作し、獲得した景品が顧客の自宅に届くサービスです。

GENDAは上図の通り、オンラインクレーンゲームサービスを複数運営しており、景品や料金体系を多様化することで、幅広い層の顧客獲得を目指しています。

最近のIPO案件でも、いわゆる小型と言われる案件の中には年間売上が10億円前後の企業があることを考えると、オンラインクレーンゲーム運営事業単体で年間売上16.1億円を創出しているのはかなり驚異的と言えるでしょう。

また、オンラインクレーンゲームはアミューズメント施設とは異なり、倉庫で運営ができるなど、相対的に地代家賃や光熱費等を抑えられることが特徴です。そのため、今後オンラインクレーンゲーム運営事業が大きく成長すれば、全社の利益率の改善が期待できます。


M&Aによる「連続的な非連続的な成長」

前述の通り、GENDAの売上が5年で115倍と、驚異的な成長を実現した背景には、「M&Aによる非連続的な成長」があります。

当社グループでは成長戦略の柱として、M&Aを通じた「連続的な非連続な成長」を定めています。世界一のエン ターテイメント企業を目指す当社グループにおいて、M&Aは、経営資源の獲得や事業成長、新規事業参入を早急に実現することができるため、非常に有効な手段として位置付けております。そしてその推進体制として、エンタ ーテイメント企業経営、ファイナンス及びM&A、テクノロジーの3領域における経験豊富なチームを編成することで、M&Aの円滑かつ効果的な実行を実現してまいります。また、M&A後の統合プロセスであるPMI(Post Merger Integration)についても、3領域のチームのナレッジや過去のM&A等の実績から蓄積されたノウハウを活用することで、グループ内でのシナジーを創出し、グループ全体の事業成長を加速させていきます。

引用:新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部) 株式会社GENDA

GENDAはM&Aを成長戦略の柱として位置づけており、そのためのチーム体制を構築しています。

具体的には、2018年の創業から2022年10月までの約5年間で、アミューズメント施設運営を中心とした数多くのM&Aを展開しています(5年間で11件のため年に2回以上のペース)。

特に、全国展開するアミューズメント施設「SEGA」を運営するセガエンタテインメント(現GENDA GiGO Entertainment)や、同じく全国のアミューズメント施設を運営する宝島などはご存知の方も多いのではないでしょうか。

GENDAのように、積極的なM&Aを展開して上場に至った企業はかなり珍しいでしょう。


セガエンタテインメントを1年で黒字化

ただ、一般的に日本企業のM&Aの成功確率は約2〜3割と言われており、M&A後に想定よりも事業が成長しなかった・改善できなかった等を理由に投資回収に失敗し、減損処理を行う事例も珍しくありません。

一方、2020年12月にGENDAがM&AしたGENDA GiGO Entertainmentの電子公告を見ると、コロナの影響を大きく受けた2021年3月期には営業赤字となりますが、2022年3月期は黒字に転換し、2023年3月期には過去最高売上を更新しています。

補足:2021年3月期に、GENDA GiGO Entertainmentは主にアミューズメント施設機器に関する固定資産134.6億円の減損損失を計上しました。これにより、2022年3月期以降の減価償却費が大きく削減できたことも黒字の要因の1つと言えるでしょう。

また、譲渡元であるセガサミーホールディングスは当時構造改革を進めており、この株式譲渡によって約200億円の特別損失を計上し、その結果、株式譲渡によるセガサミーホールディングスの利益は0円でした。

セガサミーホールディングスにとって、このM&Aはグループ利益を優先した結果と想定されており、株価が底値と思われるタイミングでのM&Aを実施したGENDAはさすがと言えるでしょう。

参考:有価証券報告書 セガサミーホールディングス株式会社

このように、M&Aをきちんと成功に導くことができるケイパビリティこそ、GENDAの強みと言えるでしょう。


まとめ

ここまで、GENDAの事業内容や決算情報、成長戦略について紹介しました。

・GENDAの売上は、2019年1月期の創業から2023年1月期までの5年間で4億円→461億円と、115倍の急成長を遂げた

・2023年1月期の売上構成比はアミューズメント施設運営事業が93.4%と大半を占める。ただ、全体の3.5%を占めるオンラインクレーンゲーム運営事業だけで約16億円の年間売上を誇っており、オンラインクレーンゲーム運営事業単体で上場できるくらいの大きな売上規模である

・GENDAの成長戦略の柱となるのは、M&Aによる連続的な「非連続的な成長」で、直近5年間で年間2件以上とハイペースでのM&Aを成功させている

GENDAは、市場の成長率自体はあまり高くはないが、工夫の余地があり、他社があまり力を入れていない業界において、M&Aと事業改革により一気に巨大なビジネスを創る、という投資銀行のようなビジネスを展開しています(GENDAは投資ファンドであるミダスキャピタルの傘下)。

今後、他業界でも同じようなモデルを展開する企業が現れてくるのか、GENDAの今後の成長と併せて引き続き注目していきたいと思います。

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