未だにYoY+20%以上の成長を続けるGoogle・Amazonの多角化戦略
既に決算報道でご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカではGoogleやAmazonといった巨大企業が、YoY+20%以上の成長を続けています。
GoogleやAmazonと言った規模になると、既に売上規模が相当大きいため、2桁成長でさえも大変なレベルかと思います。そんな中でもYoY+20%以上の成長を続けるこの2社は、特別にすごいと言わざるを得ません。
今回のnoteでは、Google・Amazonの多角化戦略と、それらの成長率に与えるインパクトを考察してみたいと思います。
Googleの決算
はじめにGoogleの親会社であるAlphabetの2017年1月〜3月期の決算を見てみます。
売上は$24.8B(約2兆4750億円)、YoY +22%です。営業利益が$6.6B(約6,600億円)、YoY+27%という内容でした。
売上の内訳を見てみると、既存事業であるGoogleの広告ビジネスが伸びているのはもちろんですが、最も高い伸び率を示しているのが「Google other revenues」です。
こちらはGoogleの広告以外のビジネスが含まれていますが、YoY+49.4%、$3.1B(約3,100億円)という規模の売り上げになっています。
この$3.1B(約3,100億円)という売上は、全体の約13%を占める規模にまでなっており、成長率の高さからしても、Googleが検索以外のビジネスで多角化に非常に成功しつつある、ということが十分理解できると思います。
「Google other revenues」に含まれるのは、クラウド、Google Playのコンテンツ、(自社開発のスマホ)Pixelなどです。
Amazonの決算
次にAmazonの2017年1月〜3月期の決算を見てみます。
売り上げが$35.7B(約3兆5,700億円)、YoY+23%という決算になっています。
Amazonの過去12か月間の売上の内訳を見ると、北米での EC事業が全体の59%を占め、北米以外のECが32%、クラウド事業(AWS)は9%という構成になっています。
クラウド事業の成長を見ると、売上が$3.7B(約3,700億円)でYoY+43%、営業利益が$890M(約890億円)でYoY+48%という結果でした。
現時点での共通する成長ドライバー=クラウド事業
以上を見れば明らかなように、現時点では、2社に共通する成長ドライバーはクラウド事業といってもいいのではないかと思います。
参考までにクラウド事業の市場シェアですが、
・AWS 40%
・Microsoft Azure 11%
・Google Cloud 6%
というのが現状です。
クラウド事業上位3社の各社の売上に占めるクラウド関連事業の割合を前にしたのはこちらです。
図を見れば分かる通り、これらの3社にとって、クラウド事業が既に無視できないサイズになっています。今後もクラウド化の流れが止まることは短期的にはあり得ないため、少なくても短期的には、非常に大きな成長ドライバーになることは間違いでしょう。
Google, Amazonの中長期的な成長ドライバー
短期的には、クラウド事業が成長を牽引していくことはほぼ間違いないと思われますが、中長期的には、どういった戦略で多角化を成功させていくのでしょうか。遠い将来のことなので現時点でも多くの不確定要素がありますが、少なくても現時点で目に見えているものをあげてみたいと思います。
Googleの中長期的な成長ドライバーの一つは、恐らくはWaymoによる自動運転になるでしょう。
既に、自動運転をテストで行っている姿が多数目撃されています。これからもスピードを緩めることなく、積極的な投資を行っていくものと思われます。
Amazonの方は、音声アシスタントAmazon Echoが次の成長ドライバーになると思われます。
これまでAmazon Echoといえば、ディスプレイがついていない音声アシスタント端末でしたが、先日ディスプレイ付きのAmazon Echo Showという新しいバージョンが発表されました。これにより、ビデオ電話と言ったアプリケーションもAmazon Echo上で行えるようになるため、一昔前の家庭に一台必ずあった「黒電話」のような存在になるのではないかという人もいます。
音声アシスタント市場におけるAmazonの現時点での市場シェアは圧倒的であり、また音声アシスタントを一度でも使ったことがある人が病みつきになっている、という調査結果もありますので、この市場はクラウドと同じようにAmazonがリードしていくのではないかと思われます。
以上、Google や Amazonの規模であっても、多角化戦略を正しく実行すれば、まだまだ新しいビジネスが作れる、というお話でした。
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