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「最近の若いのは何を考えてるか分からん」というおじさん・おばさんへ

今日のnoteは本の紹介をします。

紹介する本は「モチベーション革命 稼ぐために働きたくない世代の解体書」。先輩の尾原さんが書いたベストセラーです。


世代間の価値観の違い

よく飲み屋にいくと、こんな風に愚痴っている人を見かけますよね。

「最近の若いのは何を考えてるか分からん」
「うちの上司はモウレツ系で本当にツライ」

個々人の問題の場合もありますが、それ以上に、世代が大きく離れていると仕事に対する価値観が大きくずれている場合が多いんだと思います。

本書は、その「世代間の価値観の違い」というものを超具体的に解説してある本です。

「あの人達とは分かり合えない」と嘆く前に、是非読んでみてください。この本を読み終われば、自分と違う人達とも分かり合えて、一緒に仕事ができるような気がしてきますよ。価値観の違いというのは、本当に見えにくいもので、顕在化したときには取り返しがつかない問題になっているケースもあるので、そうなる前に相手がどう考えてるのかを知るのが一番いいですよね。

今日のnoteでは、「モチベーション革命」の本文のうち、4章前半を無償公開します。ベストセラー本の本文の一部がタダで読めますよ!


----------- ここから転載 -----------

第4章 個人の働き方

さて、本書もいよいよ最終章となりました。この章では、個人としての僕自身の働き方や生き方を通して、変化の時代における新しい働き方のヒントを提供できればと思います。会社員として働く人も独立している人も、自分の内側から溢れるモチベーションをエンジンにした働き方の参考にしていただければ嬉しい限りです。


月に100時間しか働かない

僕は1ヶ月単位でおおまかなスケジュールを決めて行動しています。そのうち、2週間弱はベースとなるシンガポールやバリ島にある自宅で過ごし、オンラインを通じて仕事をしつつ、なるべく妻と娘とじっくり時間を過ごすようにしています。

さらに1週間は東京へ行き、イベントのボランティアをしたり、取材を受けたり、刺激的な出会いを求めてあちこち出向いたり、交流したりしています。

残りの1週間は、アムステルダムやクアラルンプールなど、世界各国をなるべく家族と一緒に回っています。幸い、娘の通う学校は休みが多いので、そのぶん世界中のさまざまな景色や出会いを家族で味わえるようにしているのです。

これは一見、家庭にも僕の仕事やビジネススタイルを持ち込んでいるようにも見えるかもしれません。ただ、僕は単なる公私混同をしているのではなく、人生そのものをひとつのプロジェクトと捉え、そのなかに仕事と家庭があり、教育があり、さまざまな工夫や調整をしている、というイメージを持っています。もちろん優先するものはあらゆる局面で変化していきますが、今の僕は、僕の出張先が家族との冒険につながるように、娘の成長につながる発見やイベントを得るために、できるだけスケジュールを決めるようにしています。

さて、こう書くと僕が月に何時間働いているか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか? 僕の勤務時間はだいたい270時間です。しかし、そのなかでお金をもらっている時間は100時間。主に企業や個人のコンサルティングを行い、そこで報酬を得ています。つまり、残りの170時間は、本当に好きなことだけをしている時間です。


「ご縁(人に人を紹介し、つなぐこと)」はお金に換えない

僕は人と人の縁をつなぐことが得意で、「生きがい」です。

そんな僕がここ最近、「ライフワーク」として取り組んでいるのは、3年後にAI技術に追い抜かれそうな市場に先回りし、一足先に、AI技術に特化したエンジニアと、市場の技術者をつなげることです。

例えば、僕は今、素材工学に大きなポテンシャルがあると感じています。
みなさんも一度は使ったことのある接着剤。実は、どういう原理で接着しているのか、厳密には分かっていないのです。

このように、原理が分からないもの、理屈で説明しきれていないものは、今までは職人の勘で探り当てられた偶然性によって生み出される技術でした。しかし、これらの作業は今後、AIとロボットに置き換わる。すると、日本の素材工学における市場そのものが、あっというまにAIとロボットに追い抜かれる可能性があるのです。

すでに、米半導体メーカー「NVIDIA Corporation」が、ディープラーニングの技術によってロボットの行動学習を自動で行うシステムを開発しました。何が起こるかというと、これまでロボットに実験をさせるためには、一定の作業をロボットに覚えさせる必要があった。そこで、「NVIDIA Corporation」はロボット自体をバーチャル化させることによって、仮想空間のなかで何万回もの行動学習を、一瞬のうちに繰り返しできるようにしたのです。さらに、一定の作業行程を覚えたロボットは、今度は現実空間で何万種もの実験を24時間休まずに、AIで学習しながら、実験し続けることができます。

すると、これまでは職人の試行錯誤によって偶然生み出されたような技術を、ロボットが作り出せるようになる。ラーメン職人にしか作れない秘伝のスープも、何万パターンとロボットに実験させて、見つけ出すことができるようになるのです。

そうなると、日本人が最も得意とする職人技の大部分が、ロボットに追い抜かれてしまうかもしれない。そこで僕は、3年後にAI技術によって追い抜かれそうな化学会社へ行き、〝ナンパ〟をするのです。僕はすでにIT関連会社の社長やエンジニアとのつながりがあるので、彼らと化学会社の社長さんらを集めて〝合コン〟をするのです。すると、例えば化学実験をシミュレーションさせる技術を持ったエンジニアと、接着剤の技術を持った研究者が出逢うことによって、いち早くAI技術によって自社で技術の最先端をつかむことができるのです。

僕が人と人をつなげるのが好きなのは、つなげた人同士がピタッとうまく噛み合うことでイノベーションを生む「着想」が起きるからです。サッカーでたとえるなら、ありえないパスを出したとき、ありえないダッシュでボールを拾ってくれて、シュートを決める瞬間の気持ちよさ。この瞬間が、僕はたまらなく好きなのです。

もちろん、彼らを紹介するとき、仲介料や株などは一切いただきません。僕がなぜ「ご縁」でお金をもらわないのか? 簡単にいうと、〝濁る〟からです。僕自身が人と人をつないだり、そこで着想を得たりするときの純粋で楽しい気持ちに、利益という視点を加えることによって、それは本当に新しいものではなく、〝僕が儲かるための新しいもの〟に濁ってしまうリスクがあるのです。

例えば、以前僕が執行役員を務めていたインターネットマーケティング会社「Fringe81」では、一定のお給料をいただいているぶん、株は持たないようにしていました。株を所有してしまうと、どうしても僕の性格上、コミットし続けていかなければいけないと決めてしまうからです。

例えば僕が好きなクリエイターが、インターネットマーケティングについて詳しい人を探しているとき、彼とより相性のいい人が他にいたとしても、必ず「Fringe81」を紹介しなければならないような義務感を持ってしまいます。すると、僕にとっての人と人をつなげる楽しさや、好きでやっているからこそ保てる純度に、ノイズが入ってしまう。

僕は、人と人をつなげることによってお金を得ないかわりに、そこで生まれる新しい「ご縁」を得ています。実は、一見タダ働きに見える170時間こそが、自分への最大の投資になっているのです。

例えば、僕がコンサルをしている企業(クライアント)に、超売れっ子クリエイターを紹介するとします。人気クリエイターはスケジュールが埋まっているぶん、なかなか仕事を受けてくれません。しかし、僕が普段から「ご縁」をつなぐときにお金をもらわず、純粋に楽しんでやっていることで「尾原からきた案件は、嘘がないから信用できる。だって、人と人の縁をつなぐことに関しては本当にピュアにやっているもんね」と言って信じて引き受けてくれるのです。

つまり、「ライフワーク」として楽しんでやっていることが、仕事の場面での信用につながります。

僕は自分が最も得意な「着想」と「縁つなぎ」を「ライフワーク」としてやり続けることで貯めたものを、クライアントワークのなかで活かしているのです。


強みを磨き続け、自分にしかできないことを仕事にする

僕は子どものころから、インターネットや最新の電子機器類が大好きです。大人になってIT業界で働くようになってからも、「ライフワーク」として世界各国を周りながら、最先端のIT技術や動向を常に拾いまくっています。

最新技術に詳しいことによって、僕は、企業が新しいプロジェクトを立ち上げたとき、将来起こり得るリスクを他の方よりも早く想像することができるようになりました。

例えば、初めて新規事業を立ち上げる人には、一方向からしか見えない課題やリスクも、僕からは20方向くらいから見える。よって、企業に対し「その新規サービスは素晴らしいですが、今後、こういう最新技術によってすぐに追い抜かれます。また、その仕組みだとこんな問題が起こり得るでしょう」というように、先回りした指摘をすることができるようになりました。

新規事業にトラブルはつきものですし、特に斬新なアイデアであるほど、避けて通れない問題も出てきます。そのため、僕はこれまで何度も何度も、トラブルの対処を繰り返してきました。しだいにこれが僕の得意技になり、気づけばあらゆる企業から、〝プロジェクトが炎上したときの消防士的役割〟が回ってくるようになりました。

人は一生で一度新規事業プロジェクトに出逢えるかどうかです。ましてや、そこで起こるプロジェクトのトラブルはめったに出逢えません。でも、僕は消防士の方がたくさんの火を消しているように、新規プロジェクトに日常的に関わっている。そうすることでさらに僕はそれが得意になって、より声がかかりやすくなる。珍しいことだからこそ、代わりが生まれにくい。

この役割はなかなか人とかぶらない、より特化した僕の強みです。

つまり、僕は自分が好きなことや得意とすることを、有償無償をうまく分けながら際限なく突き詰め、僕自身が楽しいと思える純度を保ち続けることでよどまない、いい循環を生み出しました。その結果、自分が得意とする仕事ばかりをどんどんやれるようになったのです。そして、その得意なこともまた、日々進化しています。

その積み重ねが、バリ島やシンガポールでフラフラしているにもかかわらず、時には経産省から対外経済政策委員を任せていただいたり、世界中を仕事で周りながらも、家族と冒険できたりすることにつながっているのです。


キャリアの始まりは議事録係

「好き」、「強み」を軸に生きている僕の働き方は特殊に思えるかもしれません。しかし、僕もみなさんと同じように、最初は何も持っていませんでした。

ではそんな僕が、いつ・どこで・どうやって自分の得意の〝タネ〟を見つけたのか。
話はもう一度、阪神淡路大震災での出来事に遡ります。

今思えば、当時のボランティア経験は〝今の僕自身にしかない強み〟を認識する機会をたくさん与えてくれました。例えば、あの混乱の最中でも避難所に素早くかけつけることができたのは、僕がバイクに乗れたからです。現地でのさまざまな情報整理の作業を手伝えたのは、僕がネットオタクのパソコンオタクで、サーバーの設定まで全て一人でできたからです。しかも、当時はITに詳しい人が少なかったこともあり、僕はしだいに現地での自分の価値を認めてもらえるようになりました。信頼され、任される仕事の範囲もしだいに広がっていったのです。

そのなかで、僕が最も価値を見出されたのは、会議などでの会話をリアルタイムでパソコンに打ち込み、議事録にする能力でした。今となっては珍しくもないことですが、当時はまだリアルタイムで議事録をとれる人が少なかったのです。会議終了と同時に議事録をみんなに渡すと「え! こんなにすぐに議事録が出来上がるの?」と重宝されるようになりました。実はこれが、僕が初めて「マリオのスターを獲得した瞬間」だったのです。
僕はこの経験を活かして、社会人になってからも会議や食事会のたびに進んで議事録をとるようになりました。すると、色んな人から「尾原を会議のメンバーに入れておくと議事録がすぐに出来上がる」と、会議や食事会に呼ばれるようになっていくことができたのです。

不思議なことに毎日のように会議に出て議事録をとっていると、次第に、議論が飛んでしまったり、会話が煮詰まったりする原因が見えてくるようになりました。そこで「今、議論が別方向にいってしまっているので、いったん話題を元に戻してはどうでしょうか」と言うことができるようになっていきました。こうして僕は少しずつ、会議の方向性をアドバイスしたり話題をまとめたりする力を身につけていき、だんだんとファシリテーター(会議において議事進行をしたり、プロジェクトそのものを中立的な立場から支援する役)へと成長することができたのです。
つまり、単に自分が好きだったり得意だったりすることで、他の人にはできないことをひたすらやり続けていたら、次第に活動範囲が広がったり、自分の「好きなこと」自体がバージョンアップして、価値がどんどん上がっていったのです。

誰だって、最初にできることは、ほんの小さなことです。しかし、それを夢中になって続けていれば、誰もが求める価値を持つことができるようになるのです。


非日常で仕事をする

「好き」を仕事にするということは、オンもオフもないということでもあります。これまでの時代は、ほとんどの人が仕方なく仕事(オン)と私生活(オフ)を替えてきました。しかし僕は、働きながら非日常のなかにいる状態を意識的に作っています。ここでいう〝非日常〟は、訪れた土地がもたらすものだったり、新たな出逢いが作るものだったり、仲間と共謀して何かを巻き起こすことだったり、さまざまです。僕がバリで生活し、働いていることもそう。だから、もはやオフなんてなくて、永遠に非日常のなかでオン状態なのです。

先に説明していますが、これからは仕事と私生活が分離した「ワークライフバランス」ではなく、生きがいをお金に換えていく「ライフワークバランス」の時代です。

本当に自分が好きなことや、得意なことであれば、いくら働いても不思議とエネルギーが湧いて、どんどん楽しくなってしまう。僕の働き方は、ともすればブラック企業かというほど働いているようにも見られますが、そもそも、それがやりたいことで満足できているのなら、仕事にブラックもホワイトもないと思うのです。稼ぐために働いているのではなく、生きがいのために働いているのですから。生きがいのために働くことは、本人にとっては遊んでいるようなものなのです。


勇気を出して引きこもるのもアリ

では、あくまで稼ぐために働いていて、好きなことは特にないという人はこの先どうすればいいでしょうか。もしあなたが、今(2017年)の時点で55歳以上なのであれば、貯金さえあれば、これから変化の時代が来ても逃げ切れると思います。あくまで保証のない、僕なりの分析ですが。

それより若い人たちに言えるのは、「思い切って引きこもって、ひたすら好きなことをやり続けるのもアリ」ということ。といっても、いきなりニートになれと言っているわけではありません。これまで「稼ぐこと」のために特に好きでも得意でもない仕事をしてきた人は、働くことの「生きがい」としての価値は0に等しい状態なのではないでしょうか? そういう方は、一刻も早く、「生きがい」を見つけるための投資をしたほうがいいかもしれません。

なぜなら、一説によれば、今この本を読まれている若い方々の寿命は100歳を超えるだろうと言われており、もしそうなれば昨年生まれた人は平均寿命が107歳にもなります。そうすると60歳まで会社に尽くして、余生をのんびり暮らすというのは限界があります。与えられたことをこなすのではなく、「自分の好き」を見つけることこそが求められるのです。

そのためには、やりたくない仕事を続けるくらいならば、いっそ引きこもって〝自分の好き〟と向き合ったほうが良いのです。
例えば、最近CMでもひっぱりだこな高校生ラッパー、「ぼくのりりっくのぼうよみ」さんは、15歳くらいのころ、一時期家に引きこもり、そのときに抱いていた違和感や感情をライムにして、ラップを作っています。さらに曲を動画サイトに投稿して、共感してくれる人がだんだん集まり、ファンができていきました。
引きこもっていた時期の彼は、一見〝みんなと同じ生き方を諦めて引きこもった人〟に見えるかもしれない。しかし彼は、無理をしてまで周囲に自分を合わせず、一度引きこもることによって、唯一無二となる自分の価値を見つけることができたのです。そして音楽とインターネットを通じて、リアルでは出逢えなかったたくさんの人とつながることができたのだと思います。僕も彼のラップの大ファンですが、その独特なライムは、新鮮でいて不思議と深く共感させられるものがあります。

今はインターネットの時代ですから、オンライン上でいくらでも同じ趣味や嗜好を持つ仲間とつながることができるし、一緒に切磋琢磨していけます。そして、人と違うエッジを持つ人は、「アイツは何やら面白い」と見出され、支持されていくのです。

(第4章前半終わり  第四章後半は11初週 別のブログにて公開が予定されています)

----------- ここまで転載 -----------

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尾原さんと10分対談しました!

今回の本文転載に際して、著者である尾原さんと10分対談しました。

「どしてこの本書こうと思ったんですか?」など、本の裏側の話もツッコミ入れまくりで、楽しかったので是非ご覧ください。


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