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【web3マガジン始めます】ゴルフ場で理解するweb3・NFT・DAO

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2022年も早1ヶ月が経過しますが、今年は少し新しいことにもトライしていきます。

最近、多くの読者の方から「web3」に関して質問を受ける機会が増えてきました。私自身もweb3に関して何でも知っているわけではなく、少しずつ勉強している最中です。

そこで「決算が読めるようになるノート」では、これから試験的にweb3についても取り上げていこうと思っています。

web3に既にどっぷり浸かっているエキスパート向けではなく、普通のビジネスパーソン向けにweb3のポイントを簡単に掴めるよう、なるべく平易に解説していきます。

web3が「理解しにくい」理由

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多くの読者の方から、「web3が一体何なのか全く理解できない」という声をよく聞きます。

2022年は、web3元年になると言われており、大きなトレンドになることがほぼ確定している一方、その分かりにくさはどこから来ているのでしょうか。

一つの要因には、全体像を理解するために覚えなければいけない専門用語が多すぎることが挙げられます。

例えば 、NFT・DAOと言った専門用語が一体何を具体的に意味しているのか、直感的に理解することは中々難しいでしょう。

そこで今回の記事では、具体的な事例を用いることで、皆さんがweb3をもっと身近に感じられるようにしたいと思います。

話は飛びますが…

ここで今回登場するのは、ゴルフです。

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コロナ禍で、ゴルフを新たに始めたり、再開された方も多いかと思います。そうでない方は、自分の身の回りでゴルフをしている方を思い浮かべながら、読み進めてみてください。

ゴルフに熱中していくと、自分がよく行くゴルフ場の会員権を買う人が出てきます。会員権を買うと、そのゴルフ場で優先的にプレイできる権利を得ることができます。

こうした従来型の会員権というのは、一般的には、誰かが作って管理しているゴルフ場を「利用」するための権利であり、非常にweb2的です。

では、web3的なゴルフ場の会員権とはどのようなものでしょうか。

ゴルフ場の経営に参画できるとしたら…

ゴルフ場の会員権を購入すると、そのゴルフ場でプレーできるだけではなく、ゴルフ場の経営に少しでも関われる権利があったとします。

自分のお財布を痛めない範囲で、その権利を手に入れられるとしたら、みなさん手に入れたいと思いますか(ゴルフをプレーされない方は何か別のものに置き換えて考えてみてください)。

web2的な「単に利用する」という関わり方を超えて、ゴルフ場管理会社の経営に少しでも携われるというのは、web3的な考え方です 。

実際に、このゴルフ場管理会社をDAOとしてプロジェクト化しているものが既に存在しています。

その名を「LinksDAO」と言います。

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このプロジェクトはどんなことをしているのかを簡単に説明します。

きっかけは、創業者2人が、誰か特定の人物や会社に依存しないゴルフ場経営組織を作りたいと考えたことにあります。

そこで、2人はLinksDAOというプロジェクトを組成し、9,090人限定でこのDAOに参加できる権利をNFTとして販売し始めました。

このNFTには、販売開始から48時間で、$10.4 million(約10億円)ものお金が集まったと発表されており、多くは初めて NFTを購入するユーザーでした。

さて、ここで、「DAO」「NFT」という専門用語が出てきました。それぞれがどのような意味を持っているのかを少し詳しく解説します。

DAOとは

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In theory, a DAO is a blockchain-based collective that isn't governed by one person or entity. Instead, its rules and governance are coded in smart contracts and cannot be changed unless voted upon by the DAO's members.

DAOはブロックチェーンを基盤とする集団であり、特定の人間や団体によって統治されているわけではない。その代わりに、各DAOのルールとガバナンスは、スマートコントラクトでコード化され、DAOのメンバーによって投票されない限り変更することができない。

出典:Web3 Breakdown: DAOs

こちらが一般的なDAOの概念ですが、まだ何のことか分かりにくいので、具体的に考えてみましょう。

DAOというのは「ゴルフ場経営を行う組織」だと思ってください。従来のゴルフ場経営会社との最大の違いは、特定の人物や特定の会社によって管理されないという点です。

DAOのメンバーがそれぞれ議決権を持っており、投票によって組織の意思決定や運営がなされていきます。

今回の例では、LinksDAOが実際に調達した約$10million(約10億円)のお金を使って、どこにゴルフ場を購入するか、どのようなゴルフ場を作るか、更にゴルフ場の会員権やメンバーシップをどのように設定するかといったことが、すべてDAOのメンバーの投票によって決められていくことになります。

LinksDAOのNFTを購入したユーザーは、おそらく私のようにゴルフが大好きな人でしょう。彼らが理想のゴルフコースを思い浮かべることで、LinksDAOが新しく作るゴルフ場には、色々なアイデアや意見が反映され、よりゴルファーにとって魅力的で、価値が上がるものになるかもしれません。

このように、従来のゴルフ場経営の発想とは全く異なり、ユーザー参加型で、ゴルファーにとって理想のゴルフ場を民主的に作っていく組織が、LinksDAOだと捉えることができます。

NFTとは

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次にNFTですが、今回のLinksDAOにおけるNFTは、ゴルフ場経営に参画できる権利ということになります。株式会社における「株式」とイメージとしては近いでしょう。

今回の場合、9,090個のNFTを販売して、得られた約$10million(約10億円)は、LinksDAOの運営やゴルフ場取得などに使われる予定です。

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今回のケースでは、2種類のNFTが発行されています。

左側の「Leisure Membership」は議決権が1つであるのに対し、右側の「Global Membership」は議決権が4倍あります。それ以外にも権利に違いがあるので、詳しくはLinksDAOのウェブサイトを見てみてください。

NFTが売買される仕組みとは

では、実際にどのようにNFTが販売されるのかと言うと、OpenSeaなどNFTのマーケットプレイスが既に存在しています。

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NFTの購入には、暗号資産の1つであるイーサリアムが利用される場合が多いです。

初回のNFT売り出しに関しては、販売金額が全てLinksDAOに入ります。株式会社に例えると、新規上場時に新しく発行する株式による資金調達に似ていると考えれば良いでしょう。

また、初回の売り出しでNFTを購入したユーザーは、OpenSea上で自分が持っているNFTを他のユーザーに販売することもできます。株式の売買に例えると、IPOで株を購入した投資家が後日その株を売却するというケースを想定すれば分かり易いのではないかと思います。

今回の場合は、セカンダリーでのNFTの売買が行われる度に、売買金額の7.5%がLinksDAOに入る形になっています。

執筆時点(2022年1月)で、NFTのフロアプライス(最低価格)は0.6 ETHとなっています。 1 ETH = 約40万円だとして、NFTを1つ購入するのに、約24万円必要ということになります。

つまり、約24万円を払うとゴルフ場を経営する組織のメンバーの一員として、議決権が持てるということになります。

一般的なゴルフ場を利用するだけの会員権と比べると高い金額なので、LinksDAOのメンバーになる人は、本当のゴルフ好きが多いのではないでしょうか。

さらに大きなポイントとして、ゴルフが大好きな人が設計する新しいゴルフ場が、人気になればなるほど、この NFT の価値が大きくなっていくという点も見逃せません(業績の良い会社の株価が上がることと全く同じ理屈です)。

まとめ・今後のweb3記事に関して

このようにDAOとは、ユーザー参加型で、民主的にお金を使い、労力をかけてプロジェクト運営を行う組織になります。その際、権利を売買するのにNFTが使われるケースが多いというのが典型的なweb3型プロジェクトの特徴です。

なるべく分かりやすいように、ゴルフ場経営の例で、web3を解説してみました。NFTやDAOといった専門用語を少しでも理解することができましたか。

もし分かりやすかったと思って頂けたら、いいねやSNSでの拡散などぜひご協力をお願いします。皆さんからの反響が大きければ、今後も定期的にweb3関連の記事を書いてみたいと思います。

続編記事

web3マガジンの続編記事が公開されました。みなさんも一度は耳にしたことがあるであろう「NFT」を事例ベースで分かりやすく解説しています。



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