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【web3】web3は排除すべきもの?成長産業?国ごとのweb3への取り組み

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日本でも自民党が「岸田総理トークン」と呼ばれるNFTを発行するなど、web3に向けた取り組みが積極的になってきています。

今回の記事では、様々な国において、政府から見た場合にweb3や暗号資産をどのように扱う戦略なのかという点を少し詳しく見てみたいと思います。

暗号資産といえばICOなどがたくさん出ていた時期には、危なっかしいものや詐欺まがいのものという見方もあり、政府としてはあまり積極的に受け入れがたいものだと認識していた国が多かったような気がします。

しかし、現在では、

Scale that has become impossible to ignore

とあるように、規模感からして無視するには大きくなりすぎているというのが現状です。

今回はアメリカとイギリスが、どのようにweb3や暗号資産に取り組んでいるのかを詳しく見ていきましょう


アメリカがweb3・暗号資産に本気になっている証拠 = 大統領令

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はじめに、アメリカです。

The first major announcement came out of the USA. In March, the Biden Administration announced the “Executive Order for the Responsible Development of Digital Assets”.

アメリカでは、22年3月にバイデン大統領が大統領令を発行し、web3や暗号資産を国家の成長戦略として本気で取り組んでいくという強い意思表明がなされました。

アメリカは、大統領と議会が協力しない限り政策が実行できない仕組みになっています。その中で大統領令というのは、大統領が自分の意志で発令できる行政命令です。

いかにバイデン政権にはweb3や暗号資産に強い思い入れがあるかがよく読み取れると思います。

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こちらに実際に発行された大統領令のリンクを貼っておくので、興味がある方は原文をご参照ください。

いくつか抜粋してみます。

must reinforce the United States’ leadership in the global financial system and in technological and economic competitiveness

アメリカは、国家としてweb3や暗号資産で世界的なリーダーシップをとっていくべきだと強く宣言しています。

the responsible development of payment innovations and digital assets.

中でも、ペイメントつまり決済領域、さらに資産運用部分に関しても、積極的にリーダーシップを発揮すべきだと書いてあります。

それを受けて、米共和党の国会議員の考察ツイートがこちらになります。

彼の分析によると、全体としては、暗号資産・web3に関しては非常にポジティブな発言をしているバイデン政権ですが、web3の特徴であるDecentralization(非中央集権)に関しては全く言及されていないという指摘もしています。

バイデン政権としては、国として通貨や貨幣が管理できなくなってしまうのは困るため、あえてDecentralizationという言葉に言及しなかったのではないかと考えられます。

このあたりは、先進国において今後多くの課題になると考えられます。

既存の法定通貨と暗号資産の間での折り合いをどのようにつけていくのかという表面的な話だけではなく、「中央集権的に管理をしたい国家」と「自律分散的に発展させたいweb3的な思想」はどのように融合していくのかは、今後大きな課題があると言えるのではないでしょうか。

The newly renamed Crypto Assets and Cyber Unit (formerly known as the Cyber Unit) in the Division of Enforcement will grow to 50 dedicated positions.

さらには、アメリカの証券取引委員会に相当するSECが、暗号資産関連のチームを20人動員しはじめ、合計50人まで動員するという発表をしています。

大統領令を受けて、SECとしても今後暗号通貨関連の規制やルール作りをしっかりしていくという強い意思表示が読み取れます。


UK(イギリス)も乗り遅れないようにweb3・暗号資産へ積極的

次にヨーロッパの金融大国であるイギリスも見てみましょう。

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Not wanting to be left behind, the UK’s Treasury announced their intention to make the UK the ‘global crypto hub’.

イギリスは、アメリカと似たように、‘global crypto hub’になるという宣言を明確に出しています。

But the key element was a proposal to bring a particular element of digital tokens, stablecoins, within the scope of existing UK banking regulation. Stablecoins are widely considered to be at the safer end of the sector, where the notorious volatility of cryptocurrencies like bitcoin (BTC) is replaced with something more stable pricewise.

イギリスでは特にステーブルコインを既存の金融機関で扱えるようにするという点にフォーカスしているようにも見えます。

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Stablecoins may also have attracted the UK government because they offer fast transactions, at low cost and without borders. This allows users to make speedy global transactions with individuals and businesses, without the need to exchange currencies into a local tender.

ステーブルコインは他の暗号資産に比べて、トランザクションが早く、トランザクションコストが低い点が、政府から見た場合に扱いやすいと感じているのかもしれません。

Other appealing factors of stablecoins include their transparency, in that every single transaction is recorded and publicly visible. They are also (largely speaking) under centralized control, in the same way that traditional banks have control over customers’ accounts.

さらに、ステーブルコインとはいえ、すべてのトランザクションがブロックチェーン上に記録されて改ざんが難しいという点も、政府から見た場合は管理やモニタリングのしやすさという点で安心感があるのだと言えるでしょう。


web3・暗号資産は禁止すべきもの?それとも...

上で見てきたように、アメリカとイギリスという世界の2大金融大国においては、web3や暗号資産は禁止すべきものというよりは、積極的に活用して経済成長につなげていく起爆剤にしたいという意志が読み取れます。

Far from banning digital assets, many governments are now competing to be ‘the home’ of the businesses that use this technology.

実際に、この2つの国に関しては、web3や暗号資産において世界の中心でいたいという強い意志表明が既になされています。

明確には書かれていませんが、自国の経済だけではなくクロスボーダーの取引も暗号資産であれば簡単に行えてしまいますので、アメリカやイギリスから見た時のデジタル世界における「植民地開拓」という文脈で見るとより分かりやすいのかもしれません。

まだweb3が十分発展していない国のユーザーを、web3の世界で取り込んでしまうことで、これまでのweb2までの世界よりもずっと早く新しいユーザー獲得を迅速に行えるようになることは間違いありません。そして、それらのweb3のサービスの本拠地が自国にあれば自国が潤うという考え方です。


日本がweb3・暗号資産に乗り遅れないようにするには...

それでは最後に、日本はどのようにすべきなのでしょうか。

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最近は散々議論されてきていることと思いますが、日本もやはりweb3の波に乗るだけではなくweb3の世界的な中心地やハブになるように努力するべきだと考えるのが、経済大国として当然なのではないでしょうか。

海外でもこちらの記事にあるように岸田総理が、web3は日本の経済成長にとって起爆剤になるかもしれない大きなチャンスだと言及しています。

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さらに現在、日本で暗号資産やweb3サービスが発展しない最大の理由と言われている、暗号資産関連の税金や税法に関しても「見直していく余地がある」と岸田総理が言及している点も見逃せません。

まだまだ黎明期であるweb3ですが、日本も早く世界のハブになるような政策をどんどん打ち出して行って欲しいと個人的には期待しています。


今回の記事はいかがでしたでしょうか。

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