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Q. コロナ禍にも関わらずLINEのディスプレイ広告売上が1.5倍にもなったのはなぜ?

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A. ディスプレイ広告の売上がYoY +52.38%
インプレッション数がYoY +73.72%
広告単価がYoY -12.28%
つまり、インプレッション数の成長が(コロナの影響による)広告単価の減少を補う成長を見せたため。

この記事では、LINEの2020年7月から9月期の決算を見ていきたいと思います。

今回の決算で一番特徴的だったのは、コロナ禍であるにも関わらず、広告ビジネスが急成長している点です。

少し前に以下のような記事を出し、スナップチャットが特異点だと思っていましたが、スナップチャットだけではなくLINEも、コロナ禍においても広告ビジネスが前年同期比で伸びているという、同じようなケースになります。

LINE株式会社 2020年12月期第3四半期 決算補足説明資料

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全体の売上ですが、四半期あたり629億円で、YoY+12.4%となっています。

このグラフの中に三つの事業が記載されていますが、一目で分かる通り、広告事業が最も伸びているのが読み取れると思います。

右側のグラフにある通り、月間アクティブユーザー数は日本で8,600万人となり、DAUとMAUの比率が85%を超えるという、ほとんどのユーザーが毎日利用する、エンゲージメントが高いアプリになっている事がご理解頂けると思います。


広告売上をユニットエコノミクスに因数分解

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続いて広告事業の中身を詳しく見てみましょう。

広告事業全体での売上収益は、356億円で、YoY+16.3%の成長になっています。

内訳としてはタイトルにも書いたとおり、ディスプレイ広告がYoY+53%、アカウント広告がYoY△4%となっており、ディスプレイ広告が大きく伸びていることが読み取れます。

では何故、LINEは、コロナ禍であるにも関わらずディスプレイ広告を前年同期比1.5倍にも伸ばすことができたのでしょうか。

ユニットエコノミクスに分解して詳しく見ていきましょう。

広告売上 = 広告インプレッション数 x 広告単価

昔からの読者の方であれば当たり前過ぎるかもしれませんが、広告売上は、広告インプレッション数×広告単価、と因数分解できます。

それぞれのKPIがどのように推移しているのか、ひとつずつ見ていきましょう。

KPIその1: 広告インプレッション数

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広告インプレッション数は、四半期あたり768億インプレッションとなっており、前年同期比で見ると、 +73.7%で成長しています。

一方で前四半期と比べると減少しており、△4.7%の減少です。


KPIその2: 広告単価

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ディスプレイ広告売上と広告インプレッション数から広告単価を計算すると、1,000インプレッションあたり250円という計算になります。

この広告単価は1年前と比べると△12.28%で減少しており、前の四半期と比べると+22.79%と成長しています。


LINEの広告ビジネスのKPIのトレンド

ディスプレイ広告売上、広告インプレッション数と広告単価の推移を簡単に整理すると、この表のようになります。

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ディスプレイ広告売上はYoY+52.38%、QoQ +17.07%と、どちらも伸びています。

一方で広告インプレッション数に関しては1年前と比べると +73.72%と大きく伸びていますが、前の四半期と比べると △4.66%と減少しています。

広告単価に関しては、1年前と比べると △12.28%ですが、前の四半期と比べると22.79%増えています。

これらを簡単に整理すると、以下のようなことが言えるのではないでしょうか。

広告インプレッション数に関しては、コロナが直撃していた2020年4月から6月期の方が、7月から9月期よりも多くなっていますが、1年前と比べると急成長しており、LINEのコミュニケーションツールとしての重要性がコロナ禍で大きく増したと言えるのではないでしょうか。

一方で、7月から9月期にかけては、前四半期に比べると外出などの制限が減っていることもあり、LINEの利用頻度が少し落ちているのかもしれません。

広告単価に関しては、1年前の水準にはまだ戻っていませんが、前四半期と比べると相当回復してきていると言えると思います。


売上成長の牽引役は「Talk Head View」

決算発表のスクリプトの中におもしろい記載があったので、少し紹介したいと思います。

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こちらにある通り、動画広告である Talk HEAD VIEWの需要が非常に好調だと書かれています。Talk HEAD VIEWというのはどのような広告メニューなのでしょうか。

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皆さんもご覧になったことがあるかもしれませんが、トークリストの一番上に表示される広告で、「一日一社限定、1日あたり5,000万人以上のユニークユーザーが見ることができる広告」と紹介されています。

デスクトップ時代のヤフーの、プレミアム広告に相当するものだと理解して頂ければ良いのではないでしょうか。

1日5,000万ユーザーにリーチできるというリーチ力に加えて、動画での広告配信も可能ということで、特に若者にリーチしたい広告主にとっては非常に魅力的な広告だと言えるでしょう。

以上、今回はLINEの決算から、コロナ禍でなぜ同社のディスプレイ広告ビジネスが前年比1.5倍という驚異的なスピードで成長しているのか、その具体的な内容を、因数分解して詳しく見てみました。

また、前年比だけではなく、前四半期との比較を通じて、コロナ禍における広告ビジネスのトレンドを読み取ることもしてみました。

まだまだコロナの影響がどこまで続くのかがはっきり読めない部分もありますので、今後もLINE、そして広告ビジネスを展開する各社の決算に注目していきたいと思います。


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