新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として 厚生労働省 首相官邸 のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
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コロナウイルスの「自粛」はいつまで続くの?


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前回のコロナウイルスの記事の評判がとても良かったので、今回もコロナウイルスについて最新情報を踏まえて、私が個人的に考えてることを書いてみたいと思います。

前回の記事にも書きましたが、私はこの分野の専門家ではないので、一部表現が不正確だったり間違えている記述があるかもしれません。そういった場合は是非コメント欄で教えていただければ幸いです。

今日の記事は、少し「中長期的に見た場合のコロナウイルスの影響」について書いてみたいと思います。


日本はコロナウイルスの当面の抑え込みには成功したが...

はじめに、前回の記事で書いた通り、日本はコロナウイルスの当面の押さえ込み関しては、非常に成功していると言えるのではないかと考えています。

コロナウイルス拡散を食い止めるために一番有効な打ち手とは?

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このグラフからもわかる通り、欧米諸国のような感染拡大が進行していないことだけは事実ですし、少なくとも今の時点では他国と比較して死亡者数が特出していることもありません。亡くなられている方もいらっしゃるので対策が万全だったとは言えませんが、「感染による人的被害を最小化する」という目的に対しては結果が出せていると言えるでしょう。

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このグラフを見ると、未だに毎日コロナウイルスの新規感染が報告されているので、まだまだ気が許せない状況だと言えるでしょう。

新型コロナウイルス国内感染の状況(東洋経済ONLINE:日々情報更新中)

新型コロナウイルス感染 世界マップ(日本経済新聞:日々情報更新中)


ウイルス感染が本当に抑え込まれるという意味

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一方で、この図をご覧ください。こちらは新型コロナの流行当初に官邸から発表された図です。流行の初期においては、「とにかく集団発生を防ぎ、患者の増加スピードを抑える」と書かれています。

それをしている間に医療体制を強化して、後半では重症化した患者を患者を救っていく。という戦略でコロナウイルスに対応していくと書かれています。

つまり、日本の皆さんが今おこなっている様々な自粛や、学校を休校にする対策というのは、本質的には時間を稼いでいるだけに過ぎず、何もしなければあっという間に拡散してしまうウイルスの感染スピードを抑えているだけであって、トータルの感染者数を減らす対策には必ずしもなっていないということです。

政府が2月25日に様々な自粛要請を出してから、イベント中止、テレワーク推奨、休校措置など、長い期間、様々な自粛をしてきたと思います。このような状況で、いったいこの自粛をいつまで続ければ良いのか?というのは合理的な質問になるかと思います。

参照 日本政府の対応:

特に事業を経営されている方にとっては、今のような自粛が続いていると経済的なダメージが非常に大きいと思われますので、先の見通しを知りたくなるというのは当然です。

では、一般的に「ウイルスの感染症が本当の意味で押さえ込まれる」というのは、どういったケースなのかということを考えてみたいと思います。


「集団免疫」という考え方

インフルエンザやコロナウイルスのように拡散力の強いウイルスの場合、一人が感染すると一人以上に感染させてしまうので、指数関数的に感染が広がります。

その一方で、感染した人が高熱など重篤化する場合もありますが、多くの方は感染しても特に症状が出ないか、軽度の症状で治り、体内で免疫を獲得することに成功します。そして免疫を獲得すると、再度同じウイルスに感染した場合は症状が発症しにくくなります。

例えば学校の教室の中を思い浮かべて欲しいのですが、教室にいる生徒が全員すでに免疫を獲得していれば、インフルエンザに感染して発症している生徒が教室に入ってきたとしても、誰にも影響しないことになります。

このように、集団の中である一定以上の割合の人が免疫を獲得すると、ウイルス感染のスピードが徐々に遅くなっていき、あるタイミングで感染者数が0に収束するということになります。

この概念を「集団免疫」と呼びます。つまり集団の中で多くの人が免疫を獲得すればするほど、感染スピードが抑えられるという考え方です。


感染モデル4つの例

では、少しシミュレーションの世界に入ってみたいと思います。ワシントンポストの3月14日の記事、「なぜコロナウイルスは指数関数的に拡大しているのか?そしていかに流行のカーブをなだらかにするか?」に大変素晴らしいシュミレーションが載っていたので、こちらを見ながらお話ししたいと思います。

Why outbreaks like coronavirus spread exponentially, and how to “flatten the curve”(The Washington Post 2020/3/14)

以下ではシミュレーションの最終型の静止画だけを掲載しますが、この記事は動画で非常にわかりやすくシュミレーションが掲載されていますので、是非動画部分だけでも見てみてください。それでは、この記事で紹介されている四つのシュミレーションを順番に解説します。

図に記載されている点の色は、緑=健康な人、茶色=感染発症した人、ピンク=免疫を獲得して回復した人を表しています。


A: 何もしない(Free for All)

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一番目のシュミレーションは、各個人に何の制約も与えず自由に行き来をさせるパターンです。自由に行き来をさせると、この図にあるように早いタイミングでほぼ全員が感染して、最終的にはほぼ全員が免疫を獲得するということになります。


B: 隔離(Attempted Quarantine)

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二つ目のシュミレーションは、隔離をした場合です。元の記事の動画では、最初は図の左側に感染者が複数いる状態で、左側と右側を塞ぐ壁を設置し、その壁が徐々に開いていくという様子が描かれています。

これらは、まさに中国がコロナウイルスを抑え込むために取った戦略そのものです。完全に壁で隔離されたため感染者の増加スピードは緩やかになり、最終的には多くの人が免疫を獲得するというモデルになっています。


C: 自粛(適度に距離を置く)(Moderate Social Distancing)

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三つ目のシュミレーションは、アメリカで頻繁に口にされるようになった「ソーシャルリスニング」と呼ばれるモデルです。ここでは私の意訳で「自粛」と書いてあります。

このモデルでは、全体の1/4の人だけが動き回ることを許されており、残りの3/4の人は一切動かずその場で止まっています。

結果としてみると、A(何もしない)やB(隔離)のモデルに比べると、茶色の感染者数のピークは非常に小さくなりますが、免疫を獲得したピンクの人も少なく、約半数の人が健康ではあるため、まだ免疫を獲得していないという状態になります。


D: 激しく自粛(より距離を置く)(Extensive Social Distancing)

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四つ目のシュミレーションは、自粛をさらに強め、全体の1/8の人のみが動き回ることができるというモデルです。C(自粛)モデルと比べても感染スピードはさらに緩やかになりますが、免疫を獲得していない人の割合が非常に多くなります。感染の先延ばしという意味では非常に大きな効果がありますが、集団免疫を獲得するという意味においては最も効率が悪いモデルになっています。


感染スピード抑制と集団免疫獲得のトレードオフ

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左から順番にA(何もしない)、B(隔離)、C(自粛)D(激しく自粛) の順です。横軸は時間軸を表しています。繰り返しになりますが、緑=健康な人、茶色=感染した人、ピンク=感染後に免疫を獲得した人です。

こうしてみるとA(何もしない)は、感染者のピークが最も高くなり、医療崩壊などを招きかねない反面、一番早く集団免疫が獲得できるというメリットもあります。

二つ目のB(隔離)は、集団免疫も最終的には獲得しつつも、ピークの山の高さを抑えるという効果があります。

C(自粛)とD(厳しく自粛)は、感染を遅らせるという点では非常に有効ですが、集団免疫の獲得そのものも遅らせてしまうので、本当に感染が収束するまでのタイミングを遅らせてしまうことになります。

こうしてみていただければ分かると思いますが、「感染スピードの抑制」と「集団免疫獲得スピード」の間にはトレードオフの関係があります。

以下では、日本、アメリカ、イギリスの三つの国の戦略を簡単に分析してみたいと思います。


日本の戦略

日本の戦略というのは、緩やかなB(隔離)とC(自粛)を組み合わせたような戦略であると思います。

・B: 隔離(Attempted Quarantine)
・C: 自粛(適度に距離を置く)(Moderate Social Distancing)

海外からの入国を一部制限しつつも、国民に対しては極力人との接触を避けるように自粛をお願いする形で、押さえ込みがうまくいってるのではないかと思います。


アメリカの戦略

日本に比べて感染開始が遅れたアメリカですが、先週ようやく大統領から非常事態宣言が出され、国を挙げてかなり厳格にB(隔離)、そしてD(激しい自粛)が行われているように思います。

・B: 隔離(Attempted Quarantine)
・D: 激しく自粛(より距離を置く)(Extensive Social Distancing)

感染が進んでいる地域からの入国を徹底的に排除しつつ、自国民に対しては日本よりもはるかに厳しいトーンで自粛を要請しているのが現在のアメリカの状況です。


イギリスの戦略

そして驚いた方もいらっしゃるかと思いますが、イギリスはあえて何もしないという戦略を取りつつあります。

・A: 何もしない(Free for All)

イギリスの考え方は、いかに早いタイミングで集団免疫を獲得するかということが大事であり、そこに至るまでに多少の犠牲が出てもそれは仕方ないという考え方です。

当然、イギリス国民の中にはこの考え方を否定する人もたくさんいるかと思いますが、全体最適という考え方で見れば、わからなくはない考え方なのかもしれません。

特に経済活動との関連を見ると、自粛をさせないことで経済活動そのものは平常運転するわけですから、経済的な面では特に納得感がある施策かもしれません。


今後、待ち望まれるのはアレ

日本やアメリカのように、「自粛をベースにして時間を稼ぐ」という作戦は今のタイミングではもちろん十分効果があることは証明されています。しかし中長期的に見ると、自粛を続けない限り感染を抑えることができないことになります。

経済活動を考えると、何ヶ月、何年もの間、自粛を続けるというのは全く合理的ではありませんので、日本政府やアメリカ政府はどこかのタイミングで集団免疫を獲得する戦略を立てて、実行する必要が必ず出てきます。

既存の季節性のインフルエンザはワクチンという強力な武器を使って、短期間の間にあっという間に集団免疫を人工的に形成することができ、病状を改善する薬も開発されています。そのことから既存の季節性のインフルエンザはコロナのような世界的な脅威とは考えられていません。コロナウイルスに関してもの人工的に集団免疫を獲得することができるようになる「ワクチンの開発」がもっとも待ち望まれていると言えるのではないでしょうか。

繰り返しになりますが、今の日本の自粛をベースにした押さえ込み策は短期的には非常にうまくいっているかと思いますが、持続性がある戦略ではありません。

今後は感染者数を押さえ込みつつも、経済活動を元通りに復活させていくために、どのように集団免疫を獲得していくのか?という戦略をきちんと立案して、国民に説明していく必要があるのではないかと思います。

以上が2020年3月17日時点の情報で、私が「中長期的に見た場合のコロナウイルスの影響」について考えていることでした。
各国それぞれの対応を取っていますが、世界中の方が少しでも早く通常の生活に戻れることを願っています。


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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方になるべく分かりやすく書きます。
コメント (3)
臨床開発(新しい医療機器や医薬品を開発する仕事)という世界で働いていた経験から、一般社会においてCOVID-19の新規治療に対する期待度が非現実的に高いと感じています。
 長年研究されてきたインフルエンザの現状で、ワクチンで完全な感染防御は得られず、重症化の予防、抗ウイルス薬で発熱期間を1-2日短縮できる程度です。コロナの特異的治療の開発は進められていますが、革新的とはいっても患者の重症化を多少防ぐ程度が現実的に達成可能なゴールと感じます。
 コロナ感染後に意味のある免疫が誘導されるという想定(一度コロナに感染すると二度目の感染は成立しないか重症化しない)で、コロナ騒動は集団免疫 (人口の70%ぐらいが感染)が達成されるまで続き夏に少し落ち着きながら、収束するまで少なくとも数年はかかると予測します。
 コロナ感染後に意味のある免疫が誘導されない場合(多くの風邪のウイルスは何度でもかかります)は、収束はかなり長期になると危惧しています(多少なり免疫が誘導され、感染後に生き残る遺伝的素因のある人が生き残るのでいつかは収束)。
 字数制限でこのあたりで。。
>アメリカの戦略
に付いてですが
★根本的に優秀な人材での移民政策の限界でしょうね
だから新たな移民政策が必要で既存の必要で無い移民を減らす必要が生じたのでしょう
現場の医師および研究者です。「新型コロナ感染症ー偏見と差別をなくす」を投稿しています。ご一読下されば幸いです。
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