フィットネス業界に見るサブスクリプションとシェアリングエコノミーの補完関係(前編)

シバタ: 今日は私の楽天時代の同期の柿花さんに来て頂いて、ちょっと大きいテーマなんですけど、サブスクリプションとシェアリングエコノミーの補完関係みたいな話をしたいなと思います。柿花さん、まず簡単に自己紹介と、今どんなことをされているのかをお話頂けますか?

柿花: はい。こんにちは。よろしくお願いします。シバタくんと楽天の同期になります、柿花と申します。06年に楽天に入社して、その後コンテンツマーケティングのベンチャーに行き、そのあとGREEに転職して、子会社の立ち上げでメディア事業をしていました。今は1分15円でジムに通えるシェアリングアプリ、Nupp1 を運営しています。

シバタ: GREEのときはLIMIA(リミア)をされていたんですよね。LIMIA(リミア)はすごい伸びたと思うんですけど、どんな感じでした?楽しかったですか?

柿花: そうですね。LIMIA(リミア)をやっていました。楽しかったですね。ちょうどいろんなSEOの問題があって、僕たちはアプリに切り替えました。アプリに切り替えてから、大体、月間億を超えるくらいのPVのメディアに育ったので、ウェブのSEOからアプリに目まぐるしく指標が変わりましたが、ウェブではなかなか無かったKPIを見られたので、面白かったです。

シバタ: すごいですね。今は自分で会社を立ち上げられたんですよね?

柿花: はい。同期も起業家たくさんいるので、負けじと・・・すこし遅くはなりましたが、35歳で起業しました。


サブスクリプションが常識のフィットネス業界で従量課金型のアプリを開始

シバタ: 一応、僕も少しだけ出資をさせていただいています。今、Nupp1 Fitではどんなことをしているんですか?さっき1分単位でジムに行けるという話があったと思うんですけど。

柿花: はい。1分単位で15円からジムに行けるサービスです。

15円からジムに通える Nupp1 Fit

シバタ: 15円?60分行くと900円ということですか?

柿花: 900円ですね。大体それで月に4回くらい通っても3,600円くらい。

シバタ: 月額の固定費はないんですか?ゼロ?

柿花: そうなんです。月額費用は0円なのですが、付け加えると、入会金も継続縛りもないです。

シバタ: 今、ジムのネットワークは店舗数でいくとどれくらいあるんですか?

柿花: 5月22日にリリースしまして、今28店舗です。

シバタ: おお。28店舗のジムはどこに行っても固定費ゼロで従量課金。

柿花: そうです。なかなかすごいでしょ。画期的だと思うんです。

シバタ: すごい。それでは今日は、柿花さんの会社のことはもちろんなのですが、この従量課金というか、シェアリングエコノミーとサブスクリプションという、ある意味、対立するとも言える概念が今後どうなっていくのか、というのを聞いていきたいなと思っています。

柿花: はい。


なぜ無かった?月額固定費無料、従量課金のフィットネスジム

シバタ: ということで、フィットネスジムは月額課金のモデルって今でもあるじゃないですか。そこになんでわざわざ、使った分だけ払うという従量課金のモデルで分けて入ろうと思ったんですか?

柿花: 今、サブスクリプションサービスは「使うか・使わないか」になっていると思うんですよね。その真ん中で、「ちょっと試してみたい」とか、「サブスクリプションをやめたけども、もう1度入りたい」という入り口もない。ここに参入したいなと。

シバタ: なるほど。今の話は面白いので掘り下げると、サブスクリプションの課題として、月額会員費を払っている人以外は、「月額会員費を払う」か「何もしないか」っていう、その二択になっちゃうと。

柿花: はい。そうなんです。

シバタ: 今、都内のジムって月額いくらくらいするんですか?

柿花: データでは都内のジムが今、平均1万1,200円と出ていますね。

シバタ: 月額1万円も払うの?アメリカだと多分、5,000円とかだと思う。

柿花: データでいうとアメリカは5,600円ですね。2分の1くらい。

シバタ: 東京の月額会員費は高いというのがまずあると。1万円払ってかつ、1万円払うからには当然、月に何回か行くという前提だと思うので、それだけのこのお金と自分の時間をかけるってすごく大きなコミットメントで、その大きなコミットメントをできない人は解約しちゃう、という話だと思うんですよね。でも、そこまでコミット出来ない人でも都度課金のニーズはありますよね。僕みたいにたまに東京に来て、必ずジムかプール付きのホテルに泊まる人もいる。この場合、月額会員になることはありえないので、完全に都度課金ユーザーになります。

ホテルなら単発の利用はよくありますけど、一般的にトレーニングジムでは、サブスクリプションモデルにしている限り、月額会費を払わないと、ユーザーも店舗側も何も得られないと。その「単品の部分がない」というのが結構多いのかなと思っていて、そこをなんとかしたいと思って、やったということですよね。

僕のnoteはあえてそうならないように、月額課金の部分と単品でも買えるようにしているんですけど。

柿花: そうですね。シバタさんのnoteと同じ概念ですね(笑)

シバタ: いつリリースしたんですか?

柿花: 今年の5月22日です。

シバタ: リリースした後、ユーザーからの反応はどんな感じでしたか?

柿花: ユーザーからの反応は、結構Twitterでコメントつくことが多くて。「なんでこんなサービス今までになかったのか」とか。ポジティブなお声をいただく一方で、
まだ店舗数が少ないので「もっと店舗数を増やしてください」「全国に広がるのはいつですか?」というお声は頂いています。

シバタ: なるほど。それはその通りだと思うんですけど、逆に今フィットネスジムいっぱいあるじゃないですか。その人たちはなんで自分たちで従量課金のモデルをやらないのでしょうね。

柿花: ここには幽霊会員が逃げる、というポイントがあると思っています。都度会員がメインになってしまうと、儲かっているポイントが逃げていくというのを、恐れているのかなと思います。。

シバタ: 確かに。ジムのかなりの多くの会員の人が実は幽霊会員で、お金は払っているけど使っていないということですね?それが実はジムからすると収益としてはすごくおいしくて。自分たちで従量課金を始めると、そこに大きくダメージがあるんじゃないか、という懸念があるということですね。

柿花: はい。その通りだと思います。月額会員を増やすための体験入会などはありますが、これは安く利用はできるのですが、大抵1回しか体験できず、月額会員になってもらうための顧客接点の入り口として設けられています。

シバタ: なるほど。それは確かにそうですね。面白いですね。だから、柿花さんのところのようなサードパーティが入る余地があると。


フィットネスジムにおけるユーザーペインの解消: サブスクリプションとシェアリングエコノミーの境目

シバタ: 今話したようにサブスクリプションはハードルが高いと。毎月毎月、お金と時間をコミットしなきゃいけないから、ハードルが高くて、「そこまでじゃないけどもうちょっと軽く使ってみたい」という人にサービスが提供できない、という話はあったと思うんですけど。

柿花: そうですね。そこがサービスの本質なんです。

シバタ: シェアリングエコノミーってそういう意味ではすごくいいかなと思っていて、使いたいときだけ使って、使った分だけを払う、という感じのサービスは最近増えているじゃないですか。Uberとかスペースレンタルとか。使った分だけ払うという払い方にどんどん向かって行っているとは思うんですけど。ジムの業界では、どんなユーザーペインがあるんでしょうか??

柿花: 退会理由としてこういうデータが出ています。

退会理由:
・時間が合わない
・環境の変化
・会費が高い
・割高
・面倒くさくなって辞める

ターゲットでいくと、大きく4つあると思っています。

まずはライトユーザー。とにかく敷居が低くなってライトユーザーが通える。
2つ目が、通勤利用者。千葉に住んでいて東京に通勤している場合、”千葉と東京、どっちで入ろうかな?”と迷っている人たちが、”千葉でも東京でもどっちでも行けるよ”、となれば、対象になっていきます。
3つ目は、すでにフィットネスジムの月額会員で通っている(ヘビーユーザー)が、多様なメニューに挑戦したい人たち。僕たちは、ジャンルも幅広く揃えていこうと思っていまして、今だったらトランポリンとかボルダリングとかあるので、そういった運動をたまにやってみたいと思ったり、多様なメニューに挑戦したい人たちに提供できるかなと。
最後に退会者。
僕もそうなんですけど、一度月額会員を辞めちゃうと、次に”もう1回やろうかな”という気に、なりづらいですよね。そのときにもう1回行くきっかけづくりみたいなところであると思うので、そういうユーザーもターゲットにしています。

ターゲット:
・ライトユーザー
・勤務先と自宅近くの両方を利用したい人
・気軽に他のメニューをやってみたい人
・退会後の人

シバタ: 今の話すごい面白いと思っていて。頻度が本当に高くてバンバン使っている人は月額ユーザーになっているはずだし、多分そこは変わらないだろうと。一方で、頻度がそこまで高くない、少し試してみたい、けど月額会員にコミットするまでではないという人が実は膨大にいて、そこのマーケットが非常に大きいんじゃないかという話ですよね?

柿花: はい、そうですね。そこに大きな潜在ニーズがあると思っています。

シバタ: すごい面白いですね。ちなみに、ジム側というか店舗側から見た場合は、いろんな見方があると思うんですよね。例えば、一つ目はジムは常に満員なわけじゃないので、満員じゃない時間に都度課金でも来てくれる人がいるのはうれしいという話。これがジム側のメリットの一つ目で、ユーザーペインの解消によって都度課金ユーザーが手に入る。一方で店舗としては、どうしても月額会員のモデルを売りたいはずなので、月額会員、あるいは幽霊会員が減ってしまうんじゃないかという恐怖もあると思います。その辺はどういう反応なのかを、詳しく教えて下さい。


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ユーザー視点で見ると、都度課金のジムにメリットがあることが分かりましたが、次回はジム側の視点で、シェアリングエコノミーのネットワークに参加するインセンティブをお話いただきます。

Disclaimer: シバタはLlotheo株式会社の株主で利害関係者です。
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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方になるべく分かりやすく書きます。
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