Q. QRコード決済の普及を阻む、日本のシステムの壁とは?
(現在、クイズ形式の記事を試しています。以前公開した記事と似た内容ですが、是非ご一読いただき、フィードバックいただけると嬉しく思います。)
Q. QRコード決済の普及を阻む、日本の壁とは?
A. アメリカのような安価な銀行間送金システムが存在しないこと。日本の「全銀システム」が銀行間送金に負荷している入出金コストは高額で、これによりユーザー側・店舗側ともに、高い決済コストが課せられているとも言えます。
今日の記事では、「QRコード決済を流行らせるために国ができること」という観点で、個々のプレイヤーがどのような施策を取るべきかという観点ではなく、あくまで日本という国として、QRコード決済を流行らせるにはどのようにすべきか?という観点で、政策的な提言をしたいと思います。
QRコード決済の分野においては、「100億円還元キャンペーン」での20%キャッシュバックが話題になったPayPayをはじめ、LINE、楽天、ドコモ、メルカリやOrigami、Pring、PayIDなど多くのベンチャー企業も参入し、市場の拡大に取り組んでいます。
今回はなぜ、それらの企業の比較や施策に対する考えではなく、敢えて国の政策という大きな枠組みで提言するかというと、QRコードなどのキャッシュレス決済を普及させるためには、既存のある大きなシステムの壁を乗り越える必要があると考えたからです。
そのシステムの壁とは、A. で述べた通り、「全銀システム(全国銀行データ通信システム)」の銀行間送金手数料です。現状、これが最終的にユーザと店舗が負担している高すぎる決済コストに反映してしまっていると思います。
今回は、QRコード決済周辺の日本の現状と、このままでは各企業がいくら頑張ってもQRコード決済が普及しない、又は持続しないと思う理由、そして、普及させるために国として何が出来るのかを解説します。
まずはQRコード決済周辺の日本の現状を見てみましょう。
QRコード決済は本当に便利なのか?
はじめに、QRコード決済というのは既存の決済手段と比べて、何がいったいどのように便利なのか?ということを簡単に整理しておきたいと思います。
QRコード決済は、店頭で表示されたQRコードをユーザーのスマホで読み取るか、ユーザーのスマホのQRコード決済のアプリを開いて表示することで決済が完了します。実施に利用するユーザーの「使い勝手」という点では、既に存在するSuicaなどの非接触ICカードとほぼ同じように利用できると考えてよいでしょう。
大きく違うのは店舗から見た場合の手数料だと考えます。
レジに「Suica」を導入する費用はいくらかかるの?調べてみた!(EARLY TECHS)
Airペイを使えば、月額費無料で「Suica」を導入することが可能です。導入にかかる費用は、決済端末代金の¥19,800のみです。あとはiPadを用意することと、決済ごとに3.24%の手数料を支払うのみです。
Suicaなどの非接触ICカードの端末を導入すると、初期費用がかかるだけではなく、決済ごとに3.24%というクレジットカード並みの手数料を店舗が負担することになります。
導入時に必要な端末費用は、プラットフォーム側が実施するキャンペーンなどで、プラットフォームが負担して無料もしくは上の例のように安価に提供される場合もあるかもしれませんが、店舗側から見ればこの手数料が小さくならない限り、積極的に現金決済を減らすモチベーションにはならないのではないでしょうか?
従って、「国全体としてQRコード決済を普及をさせる」という観点で見れば、決済手数料をいかに小さくできるか、という点に最終的には行き着くのだと思います。
「QRコード決済戦争、僕ならこうする!(100億円をこう使う!)」という記事で、店舗側の普及策についての案を掲載していますので、ご興味のある方はぜひお読みください。
「QRコード決済戦争、僕ならこうする!(100億円をこう使う!)」
日本は実は既に電子マネー大国?
もう一つ忘れてはいけない事実は、日本は既に電子マネー大国である、という点です。
【2018年版】鉄道系ICカード発行枚数ランキング(鉄道ファンのクレジットカードのりば)
[3]
http://rail-card.com/railc2018/
この表にあるように、Suicaだけで累計発行枚数は7,000万枚を超えており、1年間で790万枚も発行されているという事実からも、日本は既に巨大な電子マネー大国であるとも言えます。
このように、QRコード決済は明らかに便利で、さらに日本は既に巨大な電子マネー大国であるにも関わらず、日本での普及を阻む障壁があると考える理由について、以下で詳しく解説します。
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・最大の障壁: 全く「なめらか」でない日本の電子マネー
・アメリカでVenmoが流行る理由
・日本で銀行間送金の仕組みとQRコード決済の普及に向けてのボトルネック
・QRコード決済を流行らせるために金融庁がすべきたった一つのこと
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