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【書評】フードテック革命

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今日の記事では久しぶりに書評を書いてみたいと思います。個人的に読んで勉強になった本の紹介で、PRを依頼された書評ではありません。

対象となる本は、『フードテック革命〜世界700兆円の新産業「食」の進化と再定義〜』という本です。この本にはフードテックの本質と最先端の技術が整理されています。

「フードテック」とは、最新のテクノロジーを駆使することで、今までの料理や食材調達とは全く異なるプロセスで食品を開発したり、今までにない調理プロセスや自動化を模索するビジネスです。歴史が長い産業ではありませんが、近年目覚ましい進歩を遂げている分野の一つでもあります。

今日の記事では、なるべく書籍のネタバレをしない範囲で、私が個人的に気になった三つのテーマについて簡単に感じたところを書いてみたいと思います。


代替肉(プロテイン)が必要なのはなぜか?

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一つ目は、「代替プロテイン」に関してです。

いわゆる「人工肉」と呼ばれる製品ですが、なぜここ数年の間に人工肉の需要がここまで高まったのかと言うと、現状の世界的な人口増加ペースのままだと、世界中の人々が食べる量の肉を生産することが、現実的に不可能だという背景があります。

そんな背景の中、どのように人工肉が作られて、どのように進化しているのかという説明が、個人的にはとても勉強になりました。

一口に人工肉と言っても、植物性のベジタリアンやヴィーガンの人にも食べられる物から、より栄養を考慮した昆虫食まで様々な種類があり、その市場規模は実際にどんどん拡大している状況なので、詳しくは本書で読んでみてください。


キッチンOS

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二つ目は、「キッチンOS」という考え方です。本書に何度も出てくる考え方で、キッチンを一つのプラットフォームとして捉えて、そのプラットフォーム全体を司るオペレーティングシステムが今後必要になってくるのではないか?という前提に基づいています。

これまでキッチンで行われてきたことのほぼ全てはアナログでデータを取得するのが困難だったのですが、キッチンOSが浸透すると、キッチンにおける色々なデータが取得できるようになります。

例えば、

「ある料理が特定の曜日に頻繁に料理される傾向にある」
「どのお酒が家でいつ消費されているのか?」

といったようなデータが取得できるようになり、利用者にとっての見える化だけではなく、事業者にとって生産や出荷タイミングなどの最適化のデータにもなるのではないかと思います。

日本的に言うとDX文脈(デジタルトランスフォーメーション:ITの浸透で暮らしのあらゆる場面を良い方向にする)になるのかもしれませんが、これまでアナログかつ個体差が大きい(家庭毎に好みが大きく異なる)情報がデジタルに変換されるという点で、大きな進化が期待できる分野の一つであると言えるでしょう。

本書には具体的な事例がたくさん掲載されていますので、気になる方は本書をお読みください。


「冷凍食品の罪悪感」との戦い

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三つ目は、「料理を自動化・省力化することでの人間の感情的な罪悪感」に関してです。

こちらも本書の中に繰り返し出てくるテーマの一つです。

例えば、冷凍食品というのは人類全体でみると非常に効率的な料理の仕方だと私は思っています。

冷凍食品を仕組みとして考えると、セントラルキッチンで料理のほぼ最終工程まで調理を行い、冷凍して各家庭に届けられて、家庭では温めるだけで美味しいご飯が食べられるということは、生産は効率的でロスが少なく、クオリティの高いプロダクトをいつでも使える利便性に富んだ仕組みではないでしょうか。

社会全体としてみれば、冷凍食品は素晴らしい仕組みだと思えるのですが、料理をする人からすると、効率的・便利である=手抜きという風に罪悪感を感じてしまう人も少なくないようです。

日本でも冷凍餃子は「手抜き」料理なのか、「手間抜き」料理なのかという論争が起こっていたようですが、いずれにせよ料理をプロダクトとして突き詰めると、材料と手順を全く同じにすれば最終的なアウトプットは同じになるはずであり、そういった意味では、料理は再現性が高く自動化可能なプロセスだと思います。

一方で人間の感情として、「想いを込めて料理を作る」という部分も料理の大事な要素であり、今後人間の感情論が、サービスの進化にどの程度相まみえていくのかが個人的にとても関心があるので、これからも追いかけたいテーマの一つです。

フードテックはこれから間違いなく伸びていく産業であり、我々の生活の中に深く入り込んでくる分野であると思います。少しだけこの分野の情報を先取りしてみたいという方はぜひ本書をご一読いただければと思います。

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