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Q.楽天銀行上場に至った、楽天グループの現在のお金事情とは?

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ヒント:楽天モバイルは多額の投資を進めており、楽天グループは継続的にキャッシュの調達を進めています。実際のデータはぜひ本文をご覧ください!

この記事は沼幹太さんとの共同制作です。

楽天銀行が2023年4月21日に東証プライム市場に上場予定です。

楽天銀行は国内最大級のネット銀行であり、国内トップを争うライバル、住信SBIネット銀行の2023年3月29日の上場に続く形での上場となりました。

このニュースは、ネット銀行のほぼ同時期での上場ということで2社の比較の観点で多くの方が関心を持たれており、また楽天グループがモバイル事業に苦心する中での上場という点でも非常に注目を集めています。

そのため今回の記事では、前半で楽天銀行と住信SBIネット銀行の業績・KPIの比較、後半では楽天グループの現状を分析しつつ楽天銀行の上場背景の考察、また最後には楽天モバイル黒字化へのシナリオを考察します。


楽天銀行がついに新規上場

※スライドの数値はFY21Q4時点のものです。

楽天銀行は2001年に設立された「イーバンク銀行」を2009年に楽天が連結子会社化することで生まれたネット銀行です。

楽天グループ最大の強みは、ポイント還元等のインセンティブを目当てにユーザーが複数サービスを横断的に利用する楽天経済圏です。この経済圏により、会員あたりのLTV最大化、顧客獲得コスト最小化といったシナジーを生みます。

楽天銀行は楽天経済圏の中でも楽天金融経済圏の一翼を担っており、楽天カードや楽天Payといった入り口となるサービスの引き落とし口座を楽天銀行で作ることで、ユーザー側はSPU(スーパーポイントアッププログラム)の恩恵を受けることができます。


楽天銀行の業績/KPIを住信SBIと比較

まずは2022年4月〜12月における国内の主要銀行(MUFG、みずほ、SMBC)、主要ネット銀行(住信SBIネット銀行、楽天銀行、PayPay銀行)の経常収益、経常利益率の比較をしてみましょう。

主要銀行と主要ネット銀行では、主要銀行3社が経常収益において数百倍の差をつけている一方で、経常利益率は主要ネット銀行2社(※PayPay銀行は公開なし)が30%を超え大きくリードしています。

ネット銀行3社の中では、楽天銀行は経常収益(891億円)、経常利益率(32%)。両指標とも2位の住信SBIネット銀行に僅かながら差をつけ首位となっています。

次に、楽天銀行と住信SBIネット銀行のKPIを比較してみましょう。

まずは預金残高の比較です。預金残高とは顧客が銀行に預けている金額の総額を指します。

楽天銀行の預金残高は住信SBIネット銀行を上回るスピードで成長しており、FY22には楽天銀行が住信SBIネット銀行を逆転しています。

またFY22の9ヶ月後である2022年12月末時点の預金残高は8.8兆円まで増加しており、同時期7.9兆円だった住信SBIネット銀行に対してさらに差を広げています。

次に口座数を見てみましょう。

これは楽天銀行がFY18以降2倍以上の差をつけており、さらに差を広げていることがわかります。

一方で預金残高がほぼ同規模であるのに対し、口座数は楽天銀行が2倍程度あるということで、1口座あたりの預金残高は住信SBIネット銀行の方が大きくなります。

この背景については以前住信SBIネット銀行が上場した際のnoteに詳しく解説しています。よければ合わせてご覧ください。

楽天銀行は顧客の口座利用を促すため「メイン口座数」と「メイン口座率」の両KPIを重要視しています。この背景には先ほど触れた「1口座あたりの預金残高」を増加させようという意図があるでしょう。

メイン口座とは、楽天銀行によって「給与・賞与振込口座、又は口座振替を利用されている口座」と定義されています。

メイン口座数率は狙い通り右肩上がりで成長しており、FY22時点では29.3%にまで増加しています。

このようにメイン口座率が引き続き増加で推移すれば、今後も更なる預金残高増加が見込めるでしょう。

ここまで楽天銀行上場の概要や住信SBIネット銀行との比較を通じて、楽天銀行の現在地への理解を進めました。

後半では楽天銀行上場に至った背景を、楽天グループ全体の業績や財務状況についてのデータを見ながら考察していきます。

この記事は、楽天グループの現状に関心がある方に最適な内容になっています。


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・Q.楽天銀行上場に至った、楽天グループの現在のお金事情とは?の答え
・楽天グループの現在のお金事情とは?
・楽天モバイルの単独黒字化はあとどのくらい契約が必要?
・コスト削減余地はあるか?
・売上の増加余地はあるか?
・まとめ


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