Q. 住信SBIネット銀行が新規上場、楽天銀行・PayPay銀行に大差をつける指標とは?
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この記事はゆべしさんとの共同制作です。
本日は、2023年3月29日に新規上場予定であるネット銀行の「住信SBIネット銀行株式会社(以下、住信SBIネット銀行)」をご紹介します。
ネット銀行はその名の通り、インターネットで口座が開設でき、メガバンク等と比較して預金時の金利の高さや振込手数料を含めた各種手数料の安さなどに魅力があります。
この記事では、主要ネット銀行(住信SBIネット銀行・楽天銀行・PayPay銀行)との比較を通して、住信SBIネット銀行が大差をつけている3つの指標をご紹介します。
ネット専業銀行初の新規上場を果たす住信SBIネット銀行の優れている指標とは何なのか?、予想しながら読み進めて頂ければと思います。
住信SBIネット銀行が新規上場承認
住信SBIネット銀行は、SBIホールディングスと三井住友信託銀行の共同出資により、2007年に設立されたネット銀行です。
実は、同社は2022年2月に上場承認を受けており、2022年3月にプライム市場(当時の東証一部)に上場する予定でしたが、ウクライナ情勢や市場動向を総合的に勘案した結果、上場を見送っていました。
同社は2022年10月に上場手続きを再開し、2023年3月29日に東証スタンダード市場への上場を予定しています。上場時の想定時価総額は1,900億円です。
住信SBIネット銀行の2つの事業
新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部) 住信SBIネット銀行株式会社
住信SBIネット銀行は、(1)デジタルバンク事業と、(2)BaaS(Banking as a Service)事業の2つを運営しており、それぞれの事業概要は以下の通りです。
(1)デジタルバンク事業
主にアプリ・インターネットを介した預金業務・貸出業務などの銀行業務・クレジッドカード業務などの金融サービスを展開しています。
(2)BaaS事業
BaaS(Banking as a Service)という名の通り、同社の銀行業務のプラットフォームを提携企業に提供する事業です。これにより、提携先企業は顧客に対して金融サービスを提供でき、住信SBIネット銀行はアカウント手数料によるサブスク収益を得ることができます。
このような銀行業務のプラットフォームを他社に提供するBaaS事業は、他のネット銀行にない特徴的な事業です。
直近の決算
次に、同社の決算内容を見ていきましょう。
第3四半期累計期間(2022年4-12月)の連結の経常収益(概ね、一般的な企業の売上に相当)は711.4億円、経常利益は218.1億円です。
次に、2021年4月〜2022年3月(12ヶ月間)の業務粗利益(概ね、一般的な企業の売上総利益に相当)は、デジタルバンク事業が556.5億円、BaaS事業が17.6億円で、全体の業務粗利益の95%以上をデジタルバンク事業が占めています。
デジタルバンク事業との相対評価では小さく見えてしまうものの、BaaS事業の業務粗利益は2022年4-12月(9ヶ月間)で既に前期(2021年4月〜2022年3月)の約2倍となる30億円規模まで急成長しており、十分な規模のビジネスと言えるでしょう。
主要ネット銀行はメガバンクと比較して高収益体質
ここで、2022年4-12月(9ヶ月間)における主要ネット銀行3社(住信SBIネット銀行・楽天銀行・PayPay銀行)、メガバンク3社(MUFG・みずほ・SMBC)の経常収益・経常利益率を比較します。
まず、経常収益の規模で比較すると、ネット銀行よりも事業領域が多岐にわたるメガバンクのほうが圧倒的に大きいです。
次に経常利益率を見ると、住信SBIネット銀行(30.7%)・楽天銀行(32.0%)であり、10〜20%代前半のメガバンクよりもネット銀行のほうが高収益体質であることが分かります。(PayPay銀行の経常利益率は非開示)
また、ネット銀行内で比較すると、経常収益は楽天銀行が891.4億円と住信SBIネット銀行の711.4億円を上回りますが、経常利益率に大きな差は見られません。
ここまで、住信SBIネット銀行の会社概要や事業内容、競合との決算比較をしてきました。次章からは、主要ネット銀行の比較にフォーカスして、住信SBIネット銀行が他のネット銀行に大差をつけている主要な指標を解説します。
この記事は、FinTech・金融事業に従事されている方や企業の比較分析に関心がある方に最適な内容となっています。
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