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【web3】ブロックチェーンの中で、どこが一番盛り上がっている?

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A. TVL(Total Value Locked)のシェアで見ると、イーサリアムが圧倒的だが、複数の指標で比較すると、他にも今後盛り上がる可能性のあるブロックチェーンが複数存在する。

このnoteを読んでいる人の中でブロックチェーンとはそもそも何かが分からないという方は少ないと思います。

しかし、ビットコインやイーサリアムやソラナなど、あらゆるブロックチェーンがある中で、一体どのくらいの数が存在していて、どのブロックチェーンが盛り上がっているのかを知っている人は少ないのではないでしょうか?

今日はあらゆる観点からブロックチェーンを比較してみます。L1ブロックチェーンを見るときに参考となる指標を紹介します。


L1ブロックチェーンとは?

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ブロックチェーンとは「複数のコンピュータで取引情報などのデータを同期して記録する方法」のことです。取引履歴を参加者間で共有し、参加者が相互に監視をすることで、データの改ざんが出来ないようになっています。

さらにL1ブロックチェーンとは、ベースとなるブロックチェーンの総称です。L1は「Layer 1」の略称で、「Layer 2 = L2」のブロックチェーンと区別するために用いられます。

L2ブロックチェーンは、メインのL1ブロックチェーンの上に別のブロックチェーンを構築し、主にL1ブロックチェーンのスケーラビリティの課題を解決するために、L2上で取引尾を行いその結果のみをL1に記録するといった手法がとられています。

また、ブロックチェーン上の取引手数料の支払いや同ブロックチェーンの開発方針の投票などに使用される独自のネイティブトークンを持っているというのもL1ブロックチェーンの特徴です。

当初はスケールできないことが課題として挙げられていましたが、PoS(Proof of Stake、コンセンサスアルゴリズムの一つでPoW(Proof of Work)の改良版)移行により、解決されつつあります。

初期に実装されたブロックチェーンの多くは、PoWを採用しています。例えばビットコインもPoWで、ブロックをブロックチェーンにつなぎこむのに適したパラメータをマイナーが計算します。

その計算の競争に勝ったマイナーが貢献者として、暗号資産(この場合はビットコイン)を貰えるというものです。このようなPoWの手法は、膨大な計算リソースを要します。そのため、PoWを用いたブロックチェーンが増えるにつれて、TPS(Transaction Per Second、トランザクション処理数)が大きくなり、混雑度によって手数料が大きくなることや、大量の電力を使用するため環境負荷が問題となりました。

そこで生まれたのがPoSで、暗号資産の保有割合(Stake)でブロックの承認の割合を決めることを基本としており、環境負荷が比較的小さくなっています。


L1スケーリングの方法としてのL2ブロックチェーン

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上記でPoWの改良版としてPoSが誕生しました。これはコンセンサスアルゴリズムを変更することで、スケーラビリティの問題を解消した例です。

他にも記録するブロックサイズを大きくし、1ブロックでより多くのトランザクションを処理できるようにするという方法もあります。

​また、シャーディング(トランザクションの検証技術)を実装するという方法もありますが、いずれも大掛かりな改善で、実行には時間がかかっています。

そこで活躍するのがL2ブロックチェーンです。L2ブロックチェーンは、L1ブロックチェーン以外のブロックチェーンあるいはオフチェーンでトランザクションを実行します。ブロック生成に必要な処理を行い、その結果のみをL1ブロックチェーンに戻して記録することで、L1チェーン上のトランザクション数を減らすことができます。

L2ブロックチェーンは、それぞれの仕組みによりますが、ネイティブトークンを必ずしも持っているわけではありません。


ブロックチェーンの種類

ここから、具体的に各指標でブロックチェーンの比較をしてみたいと思います。

その前に、ブロックチェーンがいくつあるかを確認してみましょう。主要チェーンのデータをダッシュボードで提供しているDeFi Llamaを見てみると、チェーン一覧の掲載数だけでも139個が存在しています(これが全てとは限りません)。


指標1: TVL、プロトコル数から見る盛り上がり

ここから、具体的に各指標でブロックチェーンの比較をしてみたいと思います。ブロックチェーンを比較する上で外せないのは、TVL(Total Value Locked)でしょう。

TVLとは「プロトコルに預けられた暗号資産の価値​の総量」のことです。

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上図は2022年8月27日時点のTVLのシェアを表した図です。
オレンジがイーサリアムで、全ブロックチェーンのTVLの57.6%を占めて、圧倒的1位です。

DeFi Llamaのデータをもとに、TVLの上位10ブロックチェーンを見てみましょう。

1. Ethereum (ETH) : $33.89B
2. Tron (TRON) : $5.84B
3. BSC (BNB) : $5.34B
4. Avalanche (AVAX) : $2.06B
5. Polygon (MATIC) : $1.84B
6. Solana (SOL) : $1.46B
7. Arbitrum : $931.01M
8. Cronos (CRO) : $900.86M
9. Optimism (OP) : $860.84M
10. Fantom (FTM) : $547.5M

上記の中でArbitrumはネイティブトークンがありません。これで気づく方もいるかと思いますが、Arbitrum​​はL2ブロックチェーンで、イーサリアムのスケーリング問題を解決するものです。

また、Optimismはネイティブトークンを発行していますが、イーサリアムのL2ソリューションになります。

また現時点のTVLで比較するとイーサリアムが圧倒的ですが、以下の図を見ると、また違った視点も見えてきます。

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上図はTVLシェアの推移で、オレンジがイーサリアムです。
イーサリアムが圧倒的であることに変わりはありませんが、2021年以降、徐々に他のブロックチェーンのTVLが増えていることがわかります。

特筆すべきは、2022年5月に薄いパープルのテラが急に激減したことです。これはテラのネイティブトークンであるUST(ステーブルコイン)が、米ドルとのペッグ(連動)離れが原因で、暴落したことが背景にありました。


指標2: ユーザー数(アクティブアドレス)から見る盛り上がり

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続いて、アクティブアドレス数からブロックチェーンを見てみましょう。

アドレスとは、暗号資産を保管するウォレットに紐づく文字列のことです。アクティブの定義は、24時間以内に送受信のいずれかをした人の数で、2022年8月27日時点のデータを使って比較してみます。

Messariのデータをもとに、アクティブアドレスで上位10ブロックチェーンを比較してみましょう。

1. TRON (TRX) : 1,950,142
2. Bitcoin (BTC) : 937,226
3. Tether (USDT) : 637,182
4. Ethereum (ETH) : 488,294
5. Litecoin (LTC) : 266,872
6. Steller (XLM) : 82,577
7. Dogecoin (DOGE) : 59,845
8. Cardano (ADA) : 58,561
9. Bitcoin Cash (BCH) : 53,005
10. Algorand (ALGO) : 47,105

TRONが桁違いで、圧倒的な結果でした。TRONは中国の起業家が立ち上げた財団によって公開され、クリエイターが動画や音楽などのコンテンツ配信のプラットフォームを目指しています。


指標3: プロトコル数から見る盛り上がり

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続いて、各ブロックチェーンで構築されているアプリケーション数を見てみましょう。盛り上がっているブロックチェーン経済圏ではすでに多くのアプリケーションが開発されているはずです。

DeFi Llamaのデータをもとに、2022年8月27日時点のアプリケーション数上位のブロックチェーンを見てみると、以下のようになります(DeFi LiamaのProtocols列を参照)。

1. Ethereum (ETH) : 542
2. BSC (BNB) : 446
3. Polygon (MATIC) : 294
4. Fantom (FTM) : 257
5. Avalanche (AVAX) : 249
6. Arbitrum : 109
7. Cronos (CRO) : 78
8. Solana (SOL) : 77
9. Optimism (OP) : 66
10. Harmony (ONE) : 60

イーサリアム、バイナンススマートチェーンが圧倒的に多くのアプリケーションが開発されています。また5位以下は大きく差がついており、当然ながら経済圏は集中していることがわかります。


指標4: 1アプリケーションあたりのTVL見る盛り上がり

1アプリケーションあたりのTVL(=TVL/プロトコル数)が大きければ大きいほど、今後ブロックチェーンが盛り上がる可能性があると考えることができます。

DeFi Llamaのデータをもとに、2022年8月27日時点の1アプリケーションあたりのTVL上位10ブロックチェーンを計算してみました。

1. Tron (TRON) : $583.00M
2. DefiChain (DFI) : $209.84M
3. Osmosis (OSMO) : $198.92M
4. Elrond (EGLD) : $146.91M
5. Thorchain (RUNE) : $130.09M
6. Fusion (FSN) : $71.25M
7. Mixin (XIN) : $67.05M
8. Ethereum (ETH) : $62.45M
9. Waves (WAVES) : $54.70M
10. Ronin (RON) : 34.64M

トロン、イーサリアムはここまでの上位10ブロックチェーンにも登場していましたが、他は初登場となっています。

TVL上位10プロトコルには出ていないブロックチェーンが登場しており、今後盛り上がる可能性があるとも考えられます。

もちろんOsomosisやElrondのようなDappsプラットフォームではないブロックチェーンについては、アプリケーション数が1となっているため、これら全てにおいて単純に比較できるわけではありませんが、今後これらのTVLがどのように推移するか注目です。


まとめ

他にも、一定期間内のトランザクション数、アクティブな開発者数といった指標で見ることができます。

今日ご紹介したTVL、アクティブアドレス数はすでに盛り上がっているものを表しており、プロトコル数や1プロトコルあたりのTVL(=TVL/プロトコル数)は今後盛り上がるであろうブロックチェーンを想像することができると思います。

アスターネットワークの渡辺創太さんは、自身のnoteで以下のように記載しています。

アスターネットワークはイノベーターとして戦うというフェーズから、世界中にたくさんあるプロジェクトの中で如何にパフォーマンスを改善し、ライバルを抜き去るかということに注力するフェーズに入ってきています。

そういう意味で、さまざまな観点から比較する重要性は大きそうです。
オンチェーンデータは全て公開されているので、web2サービスと異なり、データの入手が可能です。引き続き、web3マガジンでも分析記事をご紹介していきたいと思います。


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