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Q. 2022年、GAFAの広告ビジネスはどうなる?

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A. 2021年4QのGAFAの広告事業は、Alphabet(Googleの親会社)とAmazonは堅調に成長、AppleはApple Search Adsが急成長している一方、MetaはAppleのプライバシー保護の影響や競合環境の激化等で向かい風の状況と言える。
2022年は、AlphabetとAmazonの堅調な成長が続くのか、Apple Search Adsはどこまで一人勝ちを続けるのか、Metaは独自の高精度なターゲティング広告の開発やReelsの収益化を進められるかが注目ポイント。

この記事はゆべしさんとの共同制作です。

2021年10-12月のGAFAの決算発表では、Amazonが初めて広告事業の売上を公開したことや、Metaの株価が歴史的な大暴落を記録したこと等が話題となりました。これらのニュースを耳にした方も多いのではないでしょうか?

そこで、本日はGAFA(Google、Apple、Meta、Amazon)の広告事業にフォーカスして、2021年10-12月までの動向を整理し、2022年の注目ポイントを考察しています。

GAFAの広告事業がどのように推移しているのか、GAFAの広告事業の規模感の比較等もまとめているため、広告ビジネスに従事している方や興味がある方、世界の中心であるGAFAの広告事業を短時間で簡単に整理したい方には、特におすすめの内容となっています。

また、Metaの株価大暴落の理由が気になる方は、先週公開したこちらの記事をご覧ください。

この記事では、1ドル=100円($1 = 100円)として、日本円も併せて記載しています。


GAFAの広告事業四半期決算

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上図のように、GAFAの2021年10-12月の決算内容をもとに、各社の全体売上および広告売上を整理しました。
(注:Appleの広告売上は非開示のため、以下の記事のアナリスト予想である年間$5B(約500億円)を四半期換算して記載しています。)

広告売上の割合を見ると、Alphabet(Googleの親会社)とMetaは広告事業が全体の大半を占めている一方、AppleやAmazonの広告事業はまだ全体の1割以下という構成です。

また、Amazonの全体売上の成長率はYoY+9.44%である一方、広告事業はYoY+32.19%と好調に推移していることが分かります。

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次に、各社の四半期広告売上の規模を見ると、Alphabetが$61.24B(約6.12兆円)で最も大きく、Meta:$32.64B(約3.26兆円)、Amazon:$9.72B(約9,720億円)、Apple:$1.25B(約1,250億円)という順番になっています。

また、Amazonの広告売上の規模はMetaの約1/3の規模まで成長しています。ちなみに、規模感の参考のために日本の代表的なメディア企業であるリクルートと比較してみると、同社のメディア事業の四半期売上は1,685億円で、Amazonの広告売上の1/6以下の規模感です。

これらのことから、Amazonの広告事業の規模の大きさがよく分かるでしょう。更に、それでもAmazonの広告事業は主要事業とは言えない規模感であることから、Amazonという企業の全体売上は驚異的な規模を誇る、ということが分かります。

次章からは、GAFAの広告事業の動向を順番に解説します。


Alphabetの広告事業

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Alphabetの広告売上は、(1)Google検索その他、(2)YouTube広告、(3)Googleネットワークの売上の3つのセグメントで構成されており、2021年10-12月の各セグメントの売上は以下の通りです。

●2021年10-12月のAlphabetの広告売上の内訳
(1) Google検索その他:$43.30B(約4.33兆円)、YoY+35.8%
(2) YouTube広告:$8.63B(約8,630億円)、YoY+43.6%
(3) Googleネットワーク:$9.31B(約9,310億円)、YoY+36.9%

Alphabetの広告売上の大半は「Google検索その他」ですが、いずれのセグメントもYoY+30%超と、高い成長率で推移しています。


Appleの広告事業

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Appleは「Apple Search Ads」という、Apple Store内の検索連動型広告を運営しています。

広告主はApple Search Adsを利用することで、上図のようにユーザーの検索結果に広告主のアプリを表示することができ、新規インストールを促すことが可能です。

こちらの記事でも書いた通り、AppleはiOS14.5以降、プライバシー保護の強化を進めたことで、ターゲティング広告の精度を落とし、ユーザーの検索意図にマッチする広告出稿が可能な「検索連動型広告」の需要を高めて、アプリインストール広告においてAppleの一人勝ちの状況を作ることに成功しました。

このような点を踏まえて、アナリストによると、Appleの広告事業の売上は2021年に年間$5B(約5,000億円)、今後3年以内に年間$20B(約2兆円)にまで拡大すると予想しています。


Facebook(Meta)の広告事業

Metaの広告事業のセグメント別の売上は開示されていませんが、FacebookやInstagramなどのSNSメディアによる広告売上が該当します。

そこで、以下のように、広告売上をDAU(Daily Active Users:1日あたりのアクティブユーザー)と広告単価に分解すると、以下のようになります。

広告売上 = DAU × DAU当たりの広告単価

まず、FacebookのDAUは、TikTok等との競合環境の激化などにより、QoQで減少しています。

次に、Facebookの広告単価は、Appleのプライバシー保護の影響やインフレ・サプライチェーン問題による広告主の広告予算縮小、為替レートの変化などで低下することが懸念されています。

このような背景もあり、Metaの2022年1-3月の全体売上の成長率はYoY+3%〜+11%の見通しです。Metaの全体売上の95%超が広告事業であることから、Metaの広告事業は他のGAFAと比較して、向かい風の状況と言えるでしょう。


Amazonの広告事業

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2021年10-12月の決算から、Amazonの広告事業である「Advertising Services」セグメントが開示されました。2021年10-12月の広告売上は$9,716M(約9,716億円)、YoY+33%です。

売上の推移を見ると、2020年と2021年の4Q(10-12月)は売上が大きくなっています。これはAmazonの広告事業が、Amazonに出店している業者によるプロモーションを目的とした広告出稿であることから、ブラックフライデーやクリスマス等の年末商戦において出店業者からの広告出稿が増加しているため、と考えられます。

また、広告売上の成長率(上図折れ線)を見ると、直近で鈍化しています。とはいえ、四半期で約1兆円の売上規模がYoY+33%で成長していることは、十分驚異的と言えるでしょう。

ちなみに、前述したように、2021年10-12月のAlphabetのYouTubeの広告売上は$8.63B(約8,630億円)のため、Amazonの広告事業はYouTubeの広告売上を超える規模となっています。


GAFAを中心とした広告業界の構図

GAFAの広告事業の動向を整理したところで、こちらの記事を参考に、2016年と2022年の広告業界の構図の変化を見てみます。
(注:こちらの引用図は必ずしも正しいデータというわけではなく、あくまでも解釈であるという点にご注意ください。)

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上図は横軸に広告の用途(アプリ広告かコマース広告か)を、縦軸に広告の形態(検索広告かディスプレイ広告か)を取ることで、この4象限のうちにGAFAがどこを主戦場としているかを表しています。

2016年時点の広告業界の構図は上図の通りで、Alphabet(Google)とMetaが中心と考えられます。

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次に、2022年の広告業界の構図は上図の通りで、

・左上のCommerce×Search領域にAmazon
・右上のApps×Search領域にApple
・左下のCommerce×Display領域にTikTok

が台頭してきたと考えられます。

こちらの図は、ブランディング広告等が含まれていないため、MECEとは言えませんが、広告業界という大きな一括りで見るのではなく、広告の用途や形態等に応じて細分化して見ると、各社がどの領域で広告事業を展開しているのか整理しやすくなります。

例えば、Appleのプライバシー保護の強化は、ターゲティング広告の精度を低下させたことで、「右下のApps×Display領域から、Appleが展開する右上のApps×Search領域へ、広告主の需要を移した」と言えるでしょう。


2022年のGAFAの広告事業の注目ポイント

ここまで、GAFAの広告事業の現状を中心に整理してきました。以下では、ここまでの内容をもとに、2022年のGAFAの広告事業の注目ポイントをまとめていきます。

【Alphabet(Google)】
・検索広告やYouTubeなど、堅調な売上成長を継続できるか

【Apple】
・Appleのプライバシー保護の強化により、Apple Search Adsは他社のアプリインストール広告の売上をどこまで吸収して成長するのか
・広告事業において、Appleが保有しているデータをどこまで活用するのか(注:AppleはFacebook等のサードパーティーが取得できていないCVデータ等も保有している)
・今後、Metaが展開しているApps×Display領域に進出するのか

【Meta(Facebook)】
・Appleのプライバシー保護の強化を受けて、Metaは高精度なターゲティング広告の開発に注力しているため、この向かい風の市場環境でどのように推移するのか
・TikTok等との競合環境がどのように変化するのか
・注目集まる短尺動画(Reels)による、新しい広告の収益化をどこまで進められるか

【Amazon】
・Appleのプライバシー強化の影響は受けないため、今後の広告事業の成長がどこまで続くのか
・一方で、直近の売上成長率は鈍化しているため、成長率がどのように推移するのか


まとめ

ここまで、GAFAの広告事業の現状と、2022年の注目ポイントを整理しました。この記事の要点を3つに絞って、以下に整理します。

・2021年10-12月の広告事業の四半期売上は、Alphabetが$61.24B(約6.12兆円)、Metaが$32.64B(約3.26兆円)、Amazon:$9.72B(約9,720億円)、Apple:$1.25B(約1,250億円)という順番で大きい

・2021年10-12月のAlphabet及びAmazonの広告事業は堅調に推移しており、Appleはプライバシー保護の強化でApple Search Adsの需要を高めることに成功した一方、MetaはFacebookのDAUの減少や広告単価の低下が懸念されている

・2022年は、AlphabetとAmazonの堅調な成長が続くのか、Apple Search Adsはどこまで一人勝ちを続けるのか、Metaは独自の高精度なターゲティング広告の開発やReelsの収益化をどこまで進められるかが注目ポイント

以下の記事によると、世界の全広告費のシェアはGoogle、Meta、Amazonの3社で、2020年は39%、2021年は47%を占めており、2022年は50%超と予想されています。

世界の広告市場においても中心とも言えるGAFAですが、各社の広告事業が今後どのように推移するのか、引き続き注視していきたいと思います。

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