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ソフトバンク・ビジョン・ファンドが異次元である理由

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今日の記事では、ソフトバンク・ビジョン・ファンドが、普通のベンチャーキャピタルファンドと比べてどのように違うか、というのを書いてみたいと思います。

以前にこのような記事を書いて、大変好評だったので、まだご覧になっていない方はこちらもご覧ください。

ソフトバンクビジョンファンドの仕組み解説が超絶勉強になったので詳説

まずは決算の概要を、簡単に見てみたいと思います。

ソフトバンク 2019年3月期 第2四半期決算説明会

このスライドが端的に表す通り、ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業の営業利益が大きく伸び、他の事業から生み出される営業利益とほぼ同じレベルで、営業利益が出るまでになっています。

現時点で67社により投資が行われており、世界中のユニコーン企業に最も多く投資しているファンドが、ソフトバンクビジョンファンドであると言えるのではないでしょうか。


ソフトバンク・ビジョン・ファンドの仕組み

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの仕組みを、簡単におさらいしておきましょう。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの仕組みは、投資家向けの決算説明会資料に詳しく書いてありますので、ファンドビジネスに興味がある方は、ぜひこちらを一読することを強くお勧めします。

ソフトバンク 2019年3⽉期 第2四半期決算 投資家向け説明会

ソフトバンク・ビジョン・ファンドと呼ばれるものには、現時点で二つのファンドが存在します。

本体のソフトバンク・ビジョン・ファンドと、もう一つ、デルタファンドと呼ばれるものも存在しており、合計約$97.7B(約9兆7,700億円)という、非常に巨大なファンドサイズになっています。

このスライドにある通り、投資期間は原則として2017年から5年間となっており、ファンドそのものは12年間継続することになっている、という点を覚えておきましょう。

ファンドへの出資コミットメントが$97.7B(約9兆7,700億円)とあるわけですが、そのうちすでに投資が行われたのは$29.9B(約2兆9,900億円)となります。従って、二つのファンドを合わせると、現時点でまだ$66.3B(約6兆6,300億円)分の、投資余力が残っていることになります。

ベンチャーキャピタルにおけるファンドビジネスの一般的な流れは、出資コミットメントの全額をファンドに預けるのではなく、ファンドが投資するタイミングでキャピタルコール(※)が行われ、LPからファンドに資金が送金され、ファンドから投資先のスタートアップに資金が入金される、というものです。

※「キャピタルコール」というのは、「この会社に投資をするので、以前コミットした金額のうち●円分を振り込んで下さい」という依頼をファンドからLP(ファンドの出資者)へ対して行うことです。


ソフトバンク・ビジョン・ファンドの特異な構造

ウォールストリートジャーナルに、非常に興味深い記事があったので、そちらを紹介したいと思います。

SoftBank CEO Denounces Khashoggi Killing But Says Firm Will Keep Saudi Partnership

Around 60% of the money promised to the Vision Fund by investors other than SoftBank takes the form of debt like securities that earn a 7% fixed return annually. That is an unusual structure for a fund that backs young, unprofitable companies, where it is unclear when—or if—investors will make money.

以前の記事でも書きましたが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドの資金のうち約60%は、いわゆる成功報酬ではなく、債権で投資されています。

この債権部分は、ファンドからリターンが出ても出なくても、年間7%のリターン(利息)をLPに対して返す必要があると言われています。

このように成功報酬ではなく、固定利回りでの返済が義務付けられる形で、LPから投資を受けるベンチャーキャピタルというのは、非常に稀だと言えるでしょう。

プライベートエクイティであれば、固定利回りでの債権でファンドを募るというパターンは一般的かもしれませんが、ベンチャーキャピタルとしてはかなり異例の構造です。


ソフトバンク・ビジョン・ファンドが借金をしている?

On top of that, the Vision Fund and its affiliate have been borrowing money: They had around ¥636 billion ($5.6 billion) in debt as of the end of September, up 28% in the past six months, according to SoftBank filings. That money has partly been going to pay the returns promised the funds’ investors, the filings say.

そしてソフトバンク・ビジョン・ファンドは、2018年9月末時点で約6,360億円もの借入を行っています。そしてこの約6,360億円の利用目的の一部は、上で述べた、債権で出資している LPへの利息の支払いに利用されている、とされています。

And SoftBank is planning to have the Vision Fund borrow an additional $9 billion or so to boost the fund’s returns further and make more investments, Mr. Son told The Wall Street Journal after the press conference.

さらに今回の決算発表で、追加で$9B(約9,000億円)もの借入をソフトバンク・ビジョン・ファンドが行うとの発表がなされました。

既存借入と合わせると、$98B(約9兆8,000億円)のファンドが、$14.6B(約1兆4,600億円)の借入を行っていることになります。そしてその借入の目的は LP への利息の支払いに(も)利用されている、というわけです。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドは、比較的レイターステージのユニコーンに投資をする事が多いため、$98B(約9兆8,000億円)を投資して$14.6B(約1兆4,600億円)の利息分を取り返すことができないということはないかと思いますが、ファンドが、LPへの利息の支払いのためにさらに借り入れをする、という構造は異例なのではないでしょうか。

こうしてみると、ソフトバンク・ビジョン・ファンドというのは、

・構造的には、LPから、成功報酬と固定報酬を混ぜた形で資金調達をしているという点で 、ベンチャーキャピタルとプライベートエクイティのハイブリッドのような構造になっている
・LPへの固定報酬を支払うために、ファンドとしてさらに借り入れを行い、非常にアグレッシブに資金を調達、そして出資し続けている

という点で、これまでのベンチャーキャピタルとは全く違う、新しい生態系だと言えるのではないでしょうか。

投資実績や投資リターンも凄まじい規模になりつつありますが、ソフトバンク流のアグレッシブな資金調達方法にも、日本の会社が学ぶべきことが多いかもしれませんので、今後も注目していきたいと思います。


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