Q. 建設・農業機械クボタが絶好調である理由とは?
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Q. 建設・農業機械クボタが絶好調である理由とは?

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A. 主に北米で、コロナ禍に郊外移住が進み、建設需要が大きく高まっているため。

この記事では、建設・農業機械を販売しているクボタの2021年12月期第3四半期の決算を詳しく見ていきます。

クボタ 2021年12月期第3四半期 決算資料

この記事は、日興フロッギーへの寄稿記事(2021/11/26公開)の転載です。


クボタの2021年12月期第3四半期

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まずは、クボタの今期第3四半期までの累計の数字を見ていきましょう。

売上は1.64兆円で、YoY+21%と好調に推移しています。特に海外ではYoY+29.8%と絶好調です。

営業利益は2,115億円で、YoY+62.8%と更に好調です。

建設機械や農業機械といえば、コロナ禍で大きなマイナスのダメージを受けたという印象をお持ちの方も多いと思います。1年前の2019年の決算と比較して見てみましょう。


今回の好調決算は、コロナ禍のマイナスを取り戻しただけなのか?

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上のスライドは、1年前の2020年12月期第3四半期の決算資料です。

一昨年、2019年12月期第3四半期の決算では、売上 1.46兆円、営業利益 1,662億円でした。

2020年12月期第3四半期の決算は、コロナ禍の影響もあり、上で書いたとおり2019年と比べてマイナス成長になっています。

一方、2021年の同期間で見ると、コロナ前の2019年と比べても、売上は+12%、営業利益は+27%も多く伸びていることが読み取れます。

つまり、コロナ禍での一時的な落ち込み(2020年)を取り戻しただけではなく、それ以上の大きな成長を2021年に実現しています。

では、クボタは、なぜコロナ前よりも好調になっているのでしょうか。


なぜクボタはコロナ前よりも好調なのか?

クボタの最大の事業セグメントは、建設機械や農業機械を販売する「機械セグメント」です。

この写真にあるような農業機械を販売しています。

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では、機械セグメントにおける売上増の要因を見てみましょう。

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国内と海外の内訳で見ると、売上増の大半が海外における成長から来ていることが読み取れます。

さらに北米部分に注目すると、建設機械が特に不足しており、コロナ禍で多くの人が郊外に移住したことで、住宅や建築のニーズが急増していることが分かります。

そんな中で、新しい建築物を作るための機械需要が、今回のクボタの北米における急成長に繋がっていると言えます。

さらに、インドの農機大手エスコーツを約1400億円で買収するという発表もありました。報道によると、インドを中心に、低価格帯のトラクターを得意とする同社の買収を通じて、アジアでの市場シェアを更に高めていく戦略です。

世界の低価格トラクターの最大の市場はインドですが、人口増に伴いアフリカや南米でも成長が見込まれています。そのような成長マーケットに対して、好調時に積極的なM&Aで次の成長の仕込みをしている攻めの姿勢が特徴的です。

こうして見ると絶好調に見えるクボタですが、リスク要因としてはどのようなものがあるのでしょうか。


クボタの短期的なリスク要因とは?

クボタのリスク要因の一つ目は、サプライチェーン問題です。

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こちらの営業利益の増減要因を見てみると、マイナスの影響が最も大きかったのは「原材料費」です。

売上がこれだけ成長しているので、原材料費が上がるのは当然ではありますが、サプライチェーン問題は、現在グローバルレベルでもあらゆる産業で影響が出ており、クボタにも今後原材料費の高騰という形で影響を及ぼしてくる可能性があります。

二つ目のリスク要因は、上の事業セグメント別売上高のスライドにも書いてある通りですが、

卸売は前年⽐⼤幅増ではあるが、港湾の混雑や⼈⼿不足による生産・出荷の遅れが改善せずディーラー在庫水準は2Qより悪化

とあるように受注は好調にできても、在庫が無く出荷や販売が遅れてしまうということです。

今後、サプライチェーン問題は2022年まで続くとされており、受注は出来ているのに製造・出荷ができず、売上が計上できないという状況が続く可能性があります。

決算上は受注をしても、製造・出荷をして発送されない限りは売上計上ができません。サプライチェーン問題が長続きすると、その分、出荷が遅れ、売上計上も遅れる可能性が出てきます。


クボタの中長期的で期待できる戦略事業とは?

ここまで短期的なリスクについて触れましたが、中長期的に見た場合にクボタの機械セグメントが最も大きく成長できそうな要因はどこにあるのでしょうか。

それは、一言で表すと「農業の自動化」です。

2020年にクボタは、米国大手半導体メーカーのNVIDIAとの協業により、先進技術で未来の農業を拓く、完全無人電動のコンセプトトラクターを発表しています。

農業といえば、日本のような先進国では常に人材不足で、後継者不足に悩まされている農家が多いというのはご存知かと思います。

今回の取り組みでは、天候や生育状況などのデータから必要な農作業を判断し、自動的に無人で作物の収穫作業まで行うという野心的な試みが行われています。

もしこれらの無人農業トラクターが実現できれば、クボタのビジネスだけではなく、世界の農業にとっても様々な問題を解決できる大きな礎になるのではないでしょうか。


まとめ

今回の記事では、クボタの2021年12月期第3四半期決算を詳しく読み解いてきました。まとめると以下のようになります。

始めに、短期的にはコロナ禍による機械需要によってクボタにとっては好景気が続くと言えるでしょう。

最大のリスクはサプライチェーン問題で、現在この問題が解消されるのは、2022年とされていますが、それまでに実際に、需要を満たすだけの生産・納品ができるかがポイントになります。

中長期的に見れば、「農業の自動化」すなわち、人工知能を使った無人農業機械トラクターを開発し、現在農業が抱える人材不足・後継者不足を解決するソリューションを提供できれば大きな成長ドライバーになりうると考えられます。

今後のクボタの決算では、是非このような点に着目してみていただければと思います。

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