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Q. コロナ禍のTwitterで爆増したKPIと新たなビジネスモデルとは?

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A. mDAUが前年同期比+34%も増加(一方で、売上は前年同期比23%のマイナス)

* mDAU(Monetizable Daily Active Usage=広告表示可能な収益につながるアクティブユーザー)

今日の記事では、コロナ禍の決算が続々発表されている中から、Twitterの2020年4月-6月の決算を見ていきたいと思います。

mDAUが爆増していますが、売上は減少している背景と、売上減少に対してTwitterが今後どのような手を打っていこうと考えているかについて決算説明会資料から読み取っていきます。

*Q2 2020 Letter to Shareholders (Twitter: 2020/7/23)


mDAUが前年同期比+34%も増加して、1.86億人へ

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Growth in mDAU continued to accelerate in Q2, with average mDAU of
186 million, up 34%. This marks the highest quarterly year-over-year
growth rate we’ve delivered since we began reporting mDAU growth.
Growth continued to be broad-based, with double-digit growth rates in
all top 10 markets. We grew US mDAU by 24% and international mDAU
by 37%.

まず最初に、Twitter社が最も重視しているKPIであるmDAU(Monetizable Daily Active Usage=広告表示可能な収益につながるアクティブユーザー)に注目してみましょう。

上図の通り、グローバルのmDAUは1.86億人になりました。前年同期比+34%の成長となっています。この成長率はmDAUを決算で発表し始めて以来、最高の成長率ということです。

アメリカでのmDAUは1.5億人で前年同期比+24%、アメリカ以外のmDAUは3,600万人で前年同期比+37%、Twitterのユーザー数上位10カ国の全ての国で二桁の成長率を記録しました。


売上・営業利益

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このグラフは、Twitterの2020年4月-6月の四半期売上の前年同期比較のグラフです。

今四半期の売上高は$683M(約683億円)で前年同期比較で▲19%のマイナスとなりました。売上の多くを占める広告売上は$562M(約562億円)で前年同期の$727M(約727億円)から▲22.5%のマイナスとなっています。

これは、コロナによって業績が低迷している広告主が広告費用を削減した影響を受けたことによります。

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このグラフは、Twitterの2020年4月-6月の四半期営業利益の前年同期比較のグラフです。

前年同期の四半期営業利益は$76M(約7,600万円)で9%の営業利益率でしたが、この四半期営業利益は、-$124M(▲約1.24億)で、営業利益は18%のマイナスとなりました。

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地域別の売上を見てみると、アメリカの四半期売上は前年同期の$386M(約386億円)から今四半期は$319M(約319億円)と約18%のマイナスになっています。アメリカ以外の地域の売上は前年同期の$455M(約455億円)から今四半期は$365M(約365億円)と約20%の売上減となっています。

アメリカ以外の地域でもほぼ同様の売上下落率となっているのは、世界的に広告ビジネスがコロナウイルスの影響を受けていると言えるでしょう。


広告単価(ARPU)の下落率は?

ここまで、mDAUの急増と広告売上の下落について決算資料の数字をご紹介してきました。

広告売上を分解すると以下の式のように表せます。

広告売上 = mDAU x mDAUあたりの広告売上(ARPU=広告単価)

広告売上の減少に伴い、広告単価(ARPU=Average Revenue Per User)がどのように推移しているかみてみましょう。

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上の表の広告単価(ARPU)の推移を見てみると、最盛期の19年第4四半期時点の5.82ドルから、今四半期は3.02ドルとほぼ半減(約48%減少)しています。mDAUは伸びているのに、コロナの影響で広告売上が減少しているため、mDAU一人当たりの広告単価が半減しているということは、逆に言えば広告の需要が戻った際に、以前のような単価に戻すことができれば、広告売上が大きく伸びる可能性があるとも言えます。(短期的には広告売上の回復は難しいと思いますが。)


広告関連の主要KPI

Twitterの決算説明資料の中で広告事業の主要なKPIについて、以下のように説明されています。

Total ad engagements increased 3%, resulting primarily from audience growth offset by a mix shift to ad formats with lower clickthrough rates.

広告のトータルエンゲージメント率は前年同期比3%増加しました。mDAU数の増加に対して低い成長率となっているのは、クリックスルーレート(広告をクリックする率)が低い広告フォーマットにシフトしたためです。

Cost per engagement (CPE) decreased 25%, driven by like-for-like price decreases across most ad formats and lower demand. As a reminder, CPE is an output of our ads auction process, and will vary from one period to another based on geographic performance, auction dynamics, the strength of demand for various ad formats, and campaign objectives.

CPE(1エンゲージメントあたりの広告コスト=コスト÷エンゲージメント数)は25%減少しました。

CPE、エンゲージメント型の広告は、設定した指標(クリックレートや視聴数、申込数)が達成した場合に広告費用が発生します。つまり広告やキャンペーンの目的によって様々な指標を設定できます。

広告の需要が減少したことによって、同じようなエンゲージメント条件の価格が全体的に低下したことによって、TwitterのCPEも低下したと説明されています。


ジャック・ドーシーCEOが新ビジネスモデルについて言及

Twitter says it's looking at subscription options as ad revenue drops sharply(CNN:2020/7/23)

"You will likely see some tests this year" of various approaches, Dorsey told analysts

「今年は様々なテストを行うことになるだろう」とTwitter社のジャック・ドーシーCEOは語っています。

"We want to make sure any new line of revenue is complementary to our advertising business," Dorsey said. "We do think there is a world where subscription is complementary, where commerce is complementary, where helping people manage paywalls ... we think is complementary."

ドーシーCEOは、広告ビジネスの急激な売上減少を補完するために新たなビジネスモデルを構築したいと語っています。

新しいビジネスモデルは、サブスクリプションや、Eコマースなど、広告ビジネスとの補完関係にあるビジネスを展開することが大切だと語っています。一方でTwitterの一部の機能を利用する際にユーザーに料金を支払うように求めるサブスクリプションモデルには高いハードルがあるとも語っています。


まとめ

・コロナ禍でTwitterのmDAU数は前年同期比+34%と急増し、1.86億人に。
・売上の大半を占める広告売上は広告主の経費削減の影響で前年同期比▲22.5%の$562M(約562億円)と低迷。
・mDAUの増加と広告売上の減少によってmDAUあたりの売上は約半減。
・広告単価の下落を招いている大きな要因は、CPEの25%もの減少。
・広告売上を補完するために、サブスクリプションやEコマースなど、新ビジネスを今年中にいくつかテストする。

コロナ禍でのステイホーム時間が増えたことで、ユーザー数を大幅に伸ばしたTwitterですが、広告モデル中心のビジネスだったため、広告主である企業の業績不振に伴って広告売上が減少しています。前四半期の決算時に「3月から広告売上が低下している」とTwitter社のCFOが語っていましたが、この四半期はまさにコロナによって広告売上が大きな影響を受けた決算となりました。

SNSの先駆けであるTwitterが今後、広告ビジネスを補完するためにどのような新ビジネスを立ち上げるのか楽しみです。


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