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【web3】Q. CoinbaseとUniswapのどちらが高い売上マルチプルを得るのか?

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A. Coinbaseは株式を上場させている上場企業、Uniswapはトークンを発行するweb3プロジェクト。
多くの点で類似するが、大きな違いは「配当の有無」。
配当が重要だと考えるのであれば、Coinbaseの方が売上マルチプルが大きくなるであろうし、そうでなければ同じような売上マルチプルに落ち着くはず。

今回の記事はいつもと少し違った切り口で、似たような機能を持ちつつ全く異なるweb3サービスを比較しました。

Coinbase & Uniswap: How 7 Key Benchmarks Stack Up

比較対象にするのは、Coinbase(コインベース)とUniswap(ユニスワップ)の二つです。ともに暗号資産を取引するExchange(取引所)と呼ばれるサービスを提供しています。


CoinbaseとUniswapの違いとは?より速く成長しそうなのは?

はじめに、この二つのサービスの違いを明確にしていきましょう。

Coinbaseは、ユーザーの資産を預かる中央集権的なExchangeです。

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他方、Uniswapは、ユーザーの資産を直接は預からない、Decentralized Exchange (DEX)です。

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2022年の第1四半期(1-3月)において、Coinbaseは$7.5B(約7,500億円)もの売上を上げ、純利益率は34%にも至っています。

同じ期間で、Uniswapは$1.7B(約1,700億円)の売上を記録しています。

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上のグラフはアクティブユーザー数を表すMTUの推移です。ユーザー数自体は、CoinbaseがUniswapの約4倍の規模です。一方、Uniswapのユーザー数は前年同期比366%で成長しておりCoinbaseの前年同期比307%を大きく上回ります。

したがって規模の違いはあれども、成長率という点ではUniswapの方が早く成長していると言えるでしょう。


違い#1: CoinbaseとUniswapの従業員あたりの売上

CoinbaseとUniswapの大きな違いの一つは、従業員数あたりの売上になります。Coinbaseの従業員数は約5,000人の一方で、Uniswapはわずか100人以下で運営されています。

1従業員あたりの売上を比べてみると以下のようになります。

Coinbase: $1.38m(約1.38億円)
Uniswap: $14.9m(約14.9億円)

よって、両社の1従業員あたりの売上は10倍以上も違うという結論になります。

ここから推測されるのは、Uniswapの純利益率はCoinbaseの33%よりもはるかに高いという点です。

The difference is starkest in headcount: Coinbase employs more than 5,000 people while Uniswap counts fewer than 100. Consequently,, a 10x difference in efficiency. This implies Uniswap’s net income margin exceeds Coinbase’s (33%) by quite a large margin.


違い#2: アクティブユーザーあたりの取引額

次にアクティブユーザーあたりの年間取引額を比較してみましょう。

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このグラフから分かる通り、アクティブユーザー単位で見ると、2020年には、UniswapではCoinbaseよりも12倍以上の金額が取引されています。

2021年にはギャップが小さくなったとはいえ、まだUniswapのユーザーの方が取引量が多いのが特徴的です。


違い#3: 株式とトークンの違い

冒頭にも書きましたが、Coinbaseは株式会社として運営されており、株主は議決権を保有するだけではなく、将来配当が発生してる場合に配当を受け取る権利も有しています。

Uniswapはweb3プロジェクトとしてトークンを発行していますが、トークンの保有者は議決権を有するものの、将来発生するかもしれない配当に関しては今のところ受け取る権利がありません(これは変更になる可能性もあります)。


CoinbaseとUniswapのどちらが高い売上マルチプルを得るのか?

本記事のテーマでもある「CoinbaseとUniswapのどちらが、より高い売上マルチプルや時価総額を獲得していくのか」という点に関してですが、二つの見方があると言えるでしょう。

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Uniswapの方が、アクティブユーザー当たりの成長率は高くなるでしょうし、少人数の従業員で運営できるため、より高い利益率が得られるのは間違いないと考えられます。

しかし、株式とトークンの違いで見られるように、Uniswapのトークン所有者は現在のルールでは、将来発生するかもしれない配当を受け取ることができません。

したがって、将来発生するかもしれない配当を重視するのであればCoinbaseの方が売上マルチプルが高くなりそうな気もします。

一方、配当がそこまで重視されることが無ければ、CoinbaseもUniswapも同じような売上マルチプルに落ち着いていくのではないでしょうか。


今回の記事はいかがでしたでしょうか。

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