相思相愛だったテスラとパナソニックの電池事業がすれ違い始めたのはナゼ?
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私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。
この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。
決算全体の印象は?
ーー(Risa)皆さんこんにちは、Risaです。今回は、コロナ禍でも過去最高益の3億3,100万ドル(約331億円)を叩き出したテスラの強みをシバタさんに聞こうと思いましたが、「決算が読めるようになるノート」で分かりやすく解説していただくので、テスラの強みを知りたい方はそちらを是非チェックしてみてください。
テスラの話はよく聞きますが、実はパナソニックが彼らの電池を作っていることはあまり知られていないように思います。そこで今回は、パナソニックの2020年度第2四半期の決算を見ながら、シバタさんとお話しできればと思います。よろしくお願いいたします。
パナソニックの2020年度第2四半期の業績は、売上高が前年同期比15%の減収となったものの、営業利益が11%増の928億円、税引前利益が10%増の901億円、当期純利益が15%増の587億円という結果でした。
前期はコロナの影響が直撃し、当期純利益が98億円の赤字でしたが、そこから急回復をしたと言えると思います。パナソニックの決算全体の印象はいかがでしょうか。
(シバタナオキ)4ページを見てもらうのが一番分かりやすいです。
これは売上の折れ線グラフですが、3月途中~5月にコロナの影響があり、売上が大幅にマイナスとなり、6月と7月~9月もマイナスです。
コスト削減をして、なんとか利益を前年と同じ水準まで持ってきています。5ページを見ていただくと、固定費削減でどうやって利益を上げているかが見えてきます。
前年度の2Qは839億円の営業利益がありました。そこから経営体質強化や構造的赤字事業の収益改善など、色々と実行した結果、コロナの影響によるマイナスもありましたが、なんとか営業利益を前年度と同じくらいに持ってきたという決算だと思います。
売上高はコロナの影響があって非常に苦しいものの、なんとか経営努力で利益を減らさないようにした、という点がサマリーだと思います。
テスラ事業の黒字化について
ーーパナソニックといえばアプライアンスや家電のイメージでしたが、今回決算を見て様々な事業をしていることに驚きました。今回の決算で営業利益が大きくプラスになっているのが、いわゆるナノイーで有名なアプライアンスを扱っている部門と、オートモーティブの部門でした。
オートモーティブは車載電池事業で黒字達成とあり、いわゆるテスラ事業が含まれていると思いますが、何故ここにきて黒字化したのでしょうか。
売上は全ての事業で減っていて、利益が増えているのがアプライアンスとオートモーティブということを覚えていてください。次に7ページを見ましょう。
アプライアンス(AP)は減収はしています。一方、コロナの影響で、家電は売れなくなるはずが、一部売れるものも出てきました。家に皆長くいるようになったことで、冷蔵庫や空調等の家で使うものが売れるようになり、増益になりました。
オートモーティブ (AM)は資料に書いてある通り、基本的には固定費削減や電池工場の合理化など、要はコストカットをして黒字になったということです。
同じ黒字といっても、アプライアンスの黒字とオートモーティブの黒字は性質が違います。オートモーティブの方は基本的にコストカットで黒字に、アプライアンスの方はコロナによる特需によって黒字になったというイメージです。
テスラのバッテリーデーについて
ーーテスラといえば「バッテリーデー」がありますが、これは実際何をしている集会なのでしょうか。パナソニックとテスラの電池事業の話をする前に、バッテリーデーについて教えてください。
これは元々ずっとやっているわけではなく、テスラが株主向けの説明会(インベスターデー)で、9月22日にバッテリーの話をしたんです。それをたまたまバッテリーデーと呼んでいるだけで、基本的にこれはシェアホルダーミーティングです。株主総会ではないですが、株主向けの説明会です。
この資料がとてもよく出来ているので、バッテリーに興味のある人のために、いくつか簡単に見ていきたいと思います。テスラが、製造単価がとても安く、かつ長持ちするバッテリーを作る計画があると発表したんです。この資料が非常に面白いのでいくつか見ていきましょう。
まず6ページを見てください。
テスラから見ると、バッテリー関連で世の中には問題が2つあると言っています。1つ目は、まだバッテリーが全然足りていないということです。世の中にある車を全て電気自動車にしようとすると、今あるバッテリーの100倍必要だとしています。
次の7ページでは、電気自動車だけでなく、さらに大きな話をしています。世の中にある必要な電気を全て再生エネルギーで賄おうとすると、バッテリーが今の1,600倍くらい必要になるというんです。
ーーさっきの100倍でも驚きましたが、1,600倍とはそれどころではないですね。
1,600倍くらいの製造キャパシティが必要だと書かれています。
テスラにはギガファクトリーという、パナソニックも最初出資をしていた大きな装置を作るための工場があります。それが135個分必要だと言っています。
ーーギガファクトリーというだけあって巨大なのだと思いますが、それでもまだ全然足りないということなんですね。
そうですね、全く足りないということです。つまり、製造方法や製造コストを相当変えなくては、今のまま作り続けていると、ギガファクトリーを135個も作るまで再生エネルギーで電気を賄えないことになるので厳しい、という話をしています。以上が問題の1個目です。
次のスライドにGoal Twoというのが示されています。彼ら曰く、問題の2つ目はバッテリーの価格が高すぎるということです。価格も下げなくてはいけないということで、新しいバッテリーの作り方をテストして、できるようになったので、今後そういうものを作っていくと発表したのが、いわゆるバッテリーデーと呼ばれる日でした。
ーーすごいですね。自分たちがやっている開発の内容やゴール、問題まで、こんなに詳しく、こういった集会でお話しされるんですね。
そうですね。後でも少しお話ししようと思いますが、見ている先が違いすぎるんです。
ーー並外れた考えがあるけれども、着実にマイルストーンを作っていて、進化を遂げているというところがすごいですよね。イーロン・マスクは、ただ型破りなだけではないんだなと、今の話を聞いて思いました。
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・テスラとパナソニックがお互いにパートナーとして選んだ理由は?
・テスラは黒字化した一方でパナソニックは赤字になっている理由とは?
・調整後営業利益は何を見せようとしている数字?
・パナソニックの営業利益率とソニーの営業利益率の違いとは?
・まとめ
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