Q. AI事業のエクサウィザーズ上場、競合企業を圧倒する指標とは?
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Q. AI事業のエクサウィザーズ上場、競合企業を圧倒する指標とは?

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A. YoY+132%の売上成長率。第7期に入り一気に売上成長ペースが加速しています。

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今回は、2021年12月23日に上場が予定されているエクサウィザーズの有価証券報告書をサマリー形式でお届けしていきます。

エクサウィザーズといえば、AIソリューション提供企業として、上場済みの企業としてはPKSHA Technologyやニューラルポケット、未上場企業としてはPreferred NetworksやABEJAなどと比較されることも多く、注目度も高い企業と言えるでしょう。

それでは、早速見ていきましょう。


エクサウィザーズの会社概要

エクサウィザーズは、2016年に創業され、現在7期目に入っています。

ソフトバンクグループの孫正義氏にも認められるとされるソフトバンクアカデミア卒業生の石山洸氏が創業代表を務め、AI技術の専門性を活かし、関連領域へと事業を展開しています。


エクサウィザーズの新規上場情報

エクサウィザーズは、今回の上場により、​​400万株の新規発行及び官民ファンド(INCJ)と春田会長の売出しを行います。

想定価格(1株1050円)の場合、上場時の発行済み株式数で計算した時価総額は約832億円と新規上場企業としては非常に高い時価総額が付くことが予想されています。

なお、時価総額の妥当性については、AI領域の類似企業とのPSR比較を後半にご用意しているので、そちらをご覧ください。


エクサウィザーズの提供サービス

エクサウィザーズでは、自社のAI技術をコアとして、次のような2つの事業を展開しています。

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・AIプラットフォーム事業:個別企業を顧客とし、そのデジタル・AI化を推進し産業・社会革新を図る

・AIプロダクト事業:広範な顧客向けに、業務プロセスに簡易に導入・活用可能なAIソフトウエアを提供する

さらに、これら2つの事業を通じて、独自のAIアルゴリズムと業界や業務に関するデータをAIプラットフォーム「exaBase」に蓄積することで、さらなるサービスの効率化を図っている構図です。

端的にいうならば、個別企業向けのAIプラットフォーム事業、広範な企業への汎用的なサービス提供を行うAIプロダクト事業、それらを支えるexaBaseというサービス群を提供しています。


エクサウィザーズの業績

それでは、そんなエクサウィザーズの業績はどのようになっているのでしょうか?

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まず、通期実績が出ている第6期(2020年4月〜2021年3月)の実績を見てみましょう。

売上:26.1億円(YoY+26.6%)
営業損失:▲4.1億円(前年同期+0.6億円)
当期純損失:▲5.9億円(前年同期-1.2億円)

売上はYoY+26.6%の26.1億円。営業利益が赤字の新規上場企業としては、売上成長率がやや低い水準とも言えるでしょう。

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次に、セグメント別の実績を見ると、第6期においては全体の売上のうち86%が「AIプラットフォーム事業」、残りの14%が「AIプロダクト事業」から発生していることが分かります。

また、AIプラットフォーム事業単体では5.6億円の利益が発生している一方で、AIプロダクト事業は10.7億円の赤字となっており、売上・利益共にAIプロダクト事業への大規模な投資を行っていると言えるでしょう。

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第7期の実績としては、第2四半期終了時点でセグメント合計の売上が19.7億円となっており、この売上を単純に2倍して通期の売上とした場合に、YoY+50.9%の成長率となります。

第2四半期のみの比較では、第6期の4.9億円に対して第7期が11.3億円とYoY+132%という驚異的な成長率になっています。

当社グループの顧客企業は新年度である4月に向けて、3月末 までに当社グループのサービス提供を求める例が多くみられます。そのため、当社グループの売上高は、当社グ ループの第4四半期(1月から3月まで)、特に3月に偏在する傾向があり、特定の四半期業績のみをもって当社グループの通期業績見通しを判断することは困難であります。

上記の引用のように、第4四半期に売上が偏る傾向にあるということから、第7期の売上成長率はYoY+100%超えとなることも十分に考えられるでしょう。


エクサウィザーズの注目ポイント:オールインワン型のプラットフォーム

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まずは、オールインワン型のプラットフォーム提供により、コンサルティングファーム、BPO、AIスタートアップ等の各種競合に対して優位性を構築できている点です。

課題の特定からはじまり、PoC、そして保守運用まで全てを含むことにより、顧客への価値提供はもちろんのこと、労働集約型ビジネスではなく効率的なAIサービスの提供ができるモデルを目指しています。

AIプラットフォーム事業の売上総利益率は75.2%と高い水準であり、今後の行方に注目です。


IPO時時価総額の類似企業との比較

最後に、同じくAI領域の競合企業と簡単に数字を比較してみましょう。

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AI関連企業ということで、PKSHA Technology、ニューラルポケット、ALBERT、HEROZの4社の業績と時価総額を比較してみました。

他社と比較してみると、新規上場企業ながら、売上規模としてはPKSHA Technologyに次い2位となっており、売上成長率については他社を圧倒する数字になっています。

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上図は、縦軸にPSR、横軸に売上成長率をとり、各企業をマッピングしたグラフです。バブルの大きさは、各企業の売上規模を示しています。

これを見ると一目瞭然。エクサウィザーズは売上成長率で圧倒していますが、そのわりに想定時価総額から算出したPSRは、控えめな水準であることが分かります。

一般的に、PSRは売上成長率と正の相関関係にあることから、エクサウィザーズの時価総額が1,000億円を超えてくることも十分にありうるでしょう。直近は市況がそこまで良くないため、その影響を受ける可能性がありますが、潜在的な評価は高いと考えられます。


まとめ

今回の記事では、2021年12月23日に上場するエクサウィザーズの有価証券報告書を簡単にサマリー形式でお伝えしてきました。

AI各社の中では、PKSHA Technologyが「AI SaaS」事業への転換を図り、ニューラルポケットもAIライセンスの提供から自社SaaSの提供へと舵を切っており、SaaS強化の動きが見られています。

エクサウィザーズも事業ポートフォリオとしてSaaSを組み込んでいますが、今後同領域がどのように立ち位置になっていくのかも楽しみなところです。

引き続きエクサウィザーズの動向、AI業界の動向にも注目していきたいと思います。


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