Q. コロナ禍で日米のECビジネスの売上はどの程度押し上げられる?
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A. アメリカのEC化率は3ヶ月で約17%から約34%と2倍へ成長。
取扱高の成長率はEC企業ごとに異なり、YoY成長率は数10%〜100%超となっている。
この記事はYusuke Gotoさんとの共同制作です。
本日は、日米ECビジネスがコロナウイルスの影響をどの程度受けているのか?決算で開示された数字をベースにまとめていきます。
アメリカのEC化率のコロナ前後での変化
McKinsey Quarterly The quickening
マッキンゼーが出しているレポートによると、EC化率は直近10年間では+10%程度だったものの、コロナウイルスの影響により直近3ヶ月で約17%から約34%と、2倍の成長となりました。
コロナウイルスが、ECビジネスに与えた影響の大きさが一目でわかるデータとなっていますね。
では、個別の企業で取扱高が2倍になっている企業はどのような企業なのでしょうか?
Amazon: 取扱高YoY +50%程度
まずは、EC業界の絶対王者であるAmazonから取り上げます。
AMAZON.COM ANNOUNCES SECOND QUARTER RESULTS
こちらは取扱高ではなく、Amazonの事業セグメント別のネット売上になりますが、Online Storesという直販型ECがYoY+49%、Third-party seller servicesというマーケットプレイス型ECがYoY+53%となっています。
テイクレートが短期間で大きく変わっていないとすると、取扱高も同様の伸びをしており、前述のEC化率の2倍成長には及ばないものの大きく成長していることが分かります。
また、過去1年間の四半期毎の伸びを見ると、成長の加速度も以前よりも早くなっており、コロナウイルスの影響が確かに作用していることが見てとれます。
Shopify: 取扱高YoY +119%
次に、Shopifyについて確認してみましょう。
Q2 2020のGMVはYoY+119%と非常に大きく成長しています。こちらは、アメリカのEC化率と同程度の2倍成長となっています。
eBay: 取扱高YoY +29%
次にeBayの決算書を見てみましょう。
eBay Q2 2020 FINANCIAL HIGHLIGHTS
USセグメントがYoY+35%、Int’l(International)セグメントも合わせた合計でみると、YoY+29%となっています。
AmazonやShopifyと比較すると、見劣りしますが、直近1年はほぼ横ばいに推移していた中で伸長していることがとても印象的です。
楽天: 取扱高YoY +15.2%
次は国内の代表的なECの一つである楽天です。
国内ECセグメントのGMVは、YoY+15.2%成長となっています。米国企業の伸長具合と比較すると少し見劣りするものの、1兆円近くの取扱高で推移している中、さらに成長しているのは圧巻の一言です。
楽天の成長理由についてもう少し細かい情報掲載されていたのでご紹介します。
こちらのスライドを見ると、楽天市場のGMV(楽天資料内ではGMS)が向上した要因の一つとして、新規及び復活購入者数が向上し、注文件数が向上したためのようです。
コロナによってEC需要の面が広がったことが見えてきますね。
ヤフー(ショッピング事業): 取扱高YoY +85.9%
次は、ヤフーの中でもショッピング事業に焦点を当ててみましょう。
Zホールディングス株式会社 決算説明会 2020年度 第1四半期(4-6月期)
ショッピング事業取扱高YoYは、なんとAmazonよりも大きく、YoY+85.9%となっています。スライド上にも記載のある通り、力強く成長していると言えるでしょう。
成長要因としてはコロナによる外部環境の変化により、新規購入者がQ1時点でYoY+54%、新規出店者がYoY+37%と広がったことが大きいと考えられます。
メルカリ(日本): 取扱高YoY +40%次はメルカリの国内事業の数字です。
FY2020.6 4Q PRESENTATION MATERIAL APR.2020-JUN.2020
メルカリの国内事業はYoY+40%の成長となっています。利用者数の成長率より早いペースで伸びていることも特徴の一つではないでしょうか。
利用者数の成長より早いペースでGMVが加速しているということは、ARPUが向上しているということになります。
その答えが上記スライドに記載されていました。結論、取引単価が大きくなったのではなく、取引回数が多くなったことでARPUが向上したようです。
巣ごもり消費が増えている中で、納得感のある数字であると感じます。
メルカリ(US): 取扱高YoY +183%
国内事業が好調なメルカリですが、投資フェーズにある米国事業はどのようになっているのでしょうか?
FY20206月期を「勝負の年」と位置づけていたメルカリの米国事業ですが、GMVのYoY+183%と大きく成長し、来期以降も事業を継続する方向のようです。
直接的な要因ではありませんが、コロナの影響に加えマーケティング施策により認知度が約1.8倍になった実績も寄与していると考えられます。
BASE(BASE事業): 取扱高YoY +196.5%
最後にBASEを取り上げます。
本日取り上げたどの企業よりも高い、YoY+196.5%という驚異的な成長が公表されました。巣ごもり消費の影響で食べ物、飲み物カテゴリが大きく伸長するなど、コロナによる良い影響が出ています。
BASEの成長要因として最低限おさえておくべき点は、このスライドにまとまっています。GMVは店舗数と1店舗あたりのGMVで構成されているのですが、両方が大きく跳ね上がっており、結果として3倍近いGMVを記録したと言えます。
まとめ
以上、日米の主要なECビジネスのGMVの成長率に絞って見てきました。
個人的には、国内はずっと順調であってもUSではどうなのか?と懐疑的な見方もあったメルカリのUS事業が、ここまでの伸びを見せている事は印象に残りました。
以下に簡単にまとめましたので、振り返りにご活用ください。
・取扱高のYoY成長率が+100%以上の会社
Shopify
メルカリ(US)
BASE
・取扱高のYoY成長率が+100%に近い会社
ヤフー(ショッピング事業)
・取扱高のYoY成長率が約50%程度の会社
Amazon
・取扱高のYoY成長率が50%を下回る会社
eBay
メルカリ(国内)
楽天(国内EC)
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