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Q. 2020年Q1のアメリカSaaS上場企業の上位10%の成績とは?

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A. 上位10%のSaaS上場企業は以下を満たしています。
・売上成長率: YoY +53%
・Net Revenue Retention: 130%
・Sales Efficiency: CAC回収期間13ヶ月位内

今日の記事では、SaaSのアメリカでの上場企業の主要なKPIを詳しく見ていきたいと思います。

以下の記事に、Redpoint Venturesという、SaaSに非常に強いベンチャーキャピタルが公開しているデータがありますので、これらの数字を詳しく見ていきたいと思います。

A Look Back at Q1 Public SaaS Earnings


バリュエーション: 将来12ヶ月売上の12倍

初めにSaaS企業のバリュエーションはどのように決まるのでしょうか、という、毎度おなじみの質問です。

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縦軸のマルチプルは、NTM (Next Twelve Months)と呼ばれる、将来の12ヶ月の売上予測に対してのマルチプルです。

2020年の6月時点ではこのマルチプルが上昇しており、12倍にまで上っています。非常に高い水準と言えます。

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続いて、上位5社の中間値(青)と全体の中間値(赤)を見てみると、上位5社の方がマルチプルが非常に大きくなっていることが読み取れます。

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上位5社というのはShopify、Datadog、Zoom、Coupa、Bill.comの5社であり、NTMのマルチプルが30倍を超えている会社もあります。

これまでSaaSのバリュエーションに関しては様々な議論がありましたが、NTMの売上マルチプルが30倍を超えるというのは過去にない水準で、非常に高いマルチプルがついているというのが現状だと言えるでしょう。


売上成長率

続いて売上成長率も見てみましょう。

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売上成長率が高い会社は上から順番にZoom、Datadog、CrowdStrike、Twilioとなっています。

全体としては以下のようになります。

the median growth rate was 31%,
a top quartile growth rate was anything >42%, and
a top decile growth rate was anything >53%.

売上成長率の中間値は31%、上位25%の会社の成長率が42%、上位10%の会社の成長率が53%となっています。


成長率 vs バリュエーション

続いて成長率とバリデーションの関係を見たくなると思いますが、ここでは SaaS企業を三つのグループに分けています。

High Growth as >30% projected NTM growth, (赤)
Mid Growth as 15%-30% and (青)
Low Growth as anything <15%.(グレー)

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皆さん想像されていた通りだと思いますが、成長率が高いほどバリエーションのマルチプルが高くなります。


Net Revenue Retention

次いで、Net Revenue Retentionを見てみましょう。

Net Revenue Retentionというのは、Net Dollar Retentionと呼ばれることもありますが、「一度獲得した顧客からの売上が将来にわたって増えていくのか、減っていくのか」を表した指標です。

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こちらもNet Revenue Retentionが高い企業としては、Twilio、Slack、Smartsheet、Fastlyなどが挙げられています。

Net Revenue RetentionでSaaS企業を三つに分類すると、以下のようになります。

anything >130% as best in class,
115% - 130% as good, and
anything less than 115% as subpar.

最高クラスはNet Revenue Retentionが130%を超えているSaaS企業、次が115%から130%の間に位置する企業、三つ目が115%以下の企業になります。

グラフを見て頂ければ分かると思いますが、100%を割って企業というのはほぼありません。従って、成功するSaaS企業にとって必要な要素の第1番目としては、この「ネットレベニューリテンションが100を超えている」ことだと言えるのではないでしょうか。


Sales Efficiency: Gross Margin Adjusted CAC Payback

次にSales Efficiencyを見ていましょう。Sales Efficiencyというのは、「営業マーケティングに費やし費用がどの程度の期間で回収できるのか」を表したものです。

このKPIは年々少しずつ進化しており、最近のトレンドとしては、以下の式で表される数字を計算することが多いです。

(Previous Q S&M) / (Net New ARR x Gross Margin) x 12

ここでのポイントは、グロスマージン率が掛け算されているという点であり、マージン率が低いビジネスはSales Efficiencyが悪くなるように設計されています。

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実際に見てみると、Sales efficiencyが良い企業としては、Zoom、Datadog、AppFolio、CrowdStrikeなどが挙げられます。

Zoomに至っては営業マーケティング費用を3ヶ月で回収してしまうという、驚異的なSales Efficiencyを誇っています。

こちらも三つのグループに分けるとすると以下のようになります

the median gross margin adjusted payback was 29 months,
a top quartile gross margin adjusted payback was anything <20 months, and
a top decile gross margin adjusted payback was anything <13 months.

営業マーケティング費用の回収期間の中央値は29ヶ月、上位25%の企業は20ヶ月、上位10%になると13ヶ月、という回収期間になります。


まとめ

まとめるとこのようになります

YoY売上成長率 
 
・中央値: +31%
 ・上位25%: +42%
 ・上位10%: +53%

Net Revenue Retention
 ・Aクラス: 130%以上
 ・A-クラス%: 115-130%
 ・Bクラス: 115%以下

CAC回収期間
 ・中央値: 29ヶ月
 ・上位25%: 20ヶ月
 ・上位10%: 13ヶ月

SaaSを一度でも担当されたことがある方には、全てとても達成するのが難しい数字であることがご理解頂けると思います。

これらはアメリカの上場企業という、メジャーリーグの中でのさらにトップクラスのSaaSのプレイヤー達の成績です。これからSaaSビジネスをはじめる方、既にSaaSビジネスを担当されている方は、このメジャーリーガーたちの成績に、少しでも追いつけるように頑張りましょう。


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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方になるべく分かりやすく書きます。

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