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あなたにピッタリの携帯キャリアは? キャリアの差別化戦略を読み取る

3大携帯キャリア(NTTドコモKDDIソフトバンク)の2015年10-12月決算が出揃いました。今回は、3大携帯キャリアが差別化戦略をどのように行おうとしているのか、決算から読み取れる内容を考察し、みなさんにピッタリの携帯キャリア選択のお役に立てればと思います。


復習: 携帯キャリアのビジネスモデル

前回のnoteの復習です。携帯キャリアの1ユーザーあたりの売上・利益等は大雑把に以下のようにります。

  売上(割引前): 約5,500円/月
  売上(割引後): 約4,500円/月
  EBITDA: 約1,500円/月
  営業利益: 約900円/月
  キャッシュフロー: 約800円/月

つまり、1契約を取ると、毎月約900円ずつ営業利益が出るビジネスで、規制産業であることにプラスして、2年ロックがあるために、非常に高収益なビジネスであるということを書きました。

なぜ2年ロックがなくならないのか、という点を少し考えてみましょう。規制産業で新規参入がない、というのは大きな要因ですが、それ以外にも、差別化が困難だ、という点もあり得ると思います。自社が競合に対して、将来に渡って差別化できると確信できるプレーヤーがいれば、米T-mobileのように、このような理不尽な契約形態を止めるプレーヤーが出てきても良さそうです。

携帯キャリアの経営陣がこのようなユーザー利便性に欠ける契約形態を続けているということは、差別化戦略がまだ十分ではない(だから顧客をロックしておこう)と考えている可能性は十分にあります。


放っておくと「土管化」しかねない携帯電話キャリア

悪い言い方をすると、スマホ時代において、携帯電話キャリアは、(何もしないでいると)「土管化」し、差別化がどんどん困難になって来ています。

第一に、従来は自分たちでコントロールできていた、端末とOSのコントロールを失い、3社ともほぼ同じ端末を販売せざるを得なくなっています。恐らく、大きな違いは(Android端末での)プリインストールアプリくらいではないでしょうか。

第二に、ネットワークの「質」(通信速度)です。これも、今の日本においては、(各社とも「うちが一番つながる・速い」と言いますが、)もうどのキャリアでも十分つながる・高速になっているかと思います。各社とも主要な周波数帯を与えられ、4G/LTEの人口カバー率が90%を超え、ネットワークの「質」での勝負というのが非常にしにくくなっている、というのが現状かと思います。

これを言うと「いや、あのキャリアはこのエリアではダメだ」という日本の方が居ますが、アメリカに住んでいる著者からすると、完全に「誤差」のレベルです。そのくらい日本の携帯通信の「質」は圧倒的に高いです。

こちらは、ドコモが発表している資料ですが、ダウンストリームの中央値で58〜71Mbpsも出ているのであれば、現状でこれ以上速くしても体感速度は変わらないと思いますし、データプランには上限がありますので、通信速度を速くするメリットが(現時点では)ユーザーにはあまりありませんね。

(余談ですが、2016年後半から、アメリカでは5Gへの投資を各社始めるようです。5Gへの移行期間の間は、ネットワークの「質」が差別化要因になるかもしれません。)


スマホ時代になって「入り口」を失った携帯キャリア

ここで少し、ガラケー時代との比較をしてみましょう。

ガラケー時代は、i-modeに代表される「携帯キャリアが提供するポータル(入り口)」が全てを牛耳っていました。要はこの「入り口」を経由しなければ、ネットにもつながらない、アプリも探せないという、ある意味で自社ユーザーを独占できた時代でもありました。

他方、スマホ時代になり、メール、ポータル、アプリの3つの全ての「入り口」をOSレイヤー(Apple, Google)に取られてしまうという形になっています。

それでもまだ「自社ポータル」に多くのユーザーを抱えるのが日本の携帯キャリアでもあります。海外のキャリアはスマホ以前に「入り口」を持つという発想さえ無かったわけですから、当然スマホ時代においても、Apple, Googleにやられっぱなしです。


スマホ時代のユーザー行動

スマホ利用時間のうち85%がアプリである、という数字を聞いたことがある方は多いと思います。(つまりウェブは利用時間の15%しかないということです。)

では、どのようなアプリが使われているのでしょうか?

アメリカのデータではありますが、スマホユーザーのアプリの利用時間をカテゴリー別で表したものです。上位から順に

1) SNS: 14%
2) テレビ・ビデオ・電話: 9%
3) コミュニケーション: 7%
4) ゲーム: 6%
5) 地図: 6%
6) 音楽: 6%
7) ショッピング: 5%
8) ユーティリティ: 5%
9) メール: 4%
10) 天気・ニュース・スポーツ: 3%
11) ビジネス系: 3%
12) 書籍・マガジン: 2%
13) ファイナンス・銀行: 2%

という順番です。

携帯キャリアのポータルが(ガラケー時代ほどではないにしろ)まだユーザーに使われていると仮定して、そのポータルにはどういったコンテンツ(アプリ)を配置するのがより良いのでしょうか?

これこそがスマホ時代の差別化戦略です。ヒントは決算資料にありますので、各社それぞれ見ていきます。


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・NTTドコモのサービス特色
・KDDI/auのサービス特色
・ソフトバンクのサービス特色
・携帯キャリア各社のサービス売上
・まとめ: 携帯キャリア別の差別化戦略

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