内乱にも関わらず絶好調のクックパッドに潜む3つのリスク要因とは

今日は、内乱(?)があったクックパッドの2016年4-6月期の決算を見てみます。


内乱にも関わらず、YoY +44.3%の成長を維持

一部報道には、幹部社員が大量離脱したためサービス運営が困難、という報道もありましたが、実際に決算がどうなっているのかを見てみたいと思います。

売上が89.1億円(YoY +44.3%)、営業利益が41.3億円(YoY +57.6%)とこれまでの急ペースでの成長が続いています。

レシピサービスの売上内訳を見てみると、会員事業・広告事業共に、急成長が続いており、内乱が全く業績に影響していません。

クックパッドは、既にブランドが確立されているだけではなく、ネットワーク外部性が非常に強いサービスであるため、担当する社員が変わったくらいでは(短期的には)びくともしないレベルのサービスになっている、とも言えるでしょう。

実際に決算の質疑応答では、

【Q11】
マスコミが面白おかしく記事を書いていますが、どういう経緯で、なぜ人材が流出しているのか教えてください。また、今後、優秀な人材が採用できる目途は立っているのでしょうか。
【A11】
昨年度末と比較して、人数は減っておりませんし、離職率に著しい変化もありません。また、社員の退職に伴い、事業運営に影響があるとは考えておりません。新しく採用しており、十分に事業運営はできている状態です。ただ、今後の成長のためには、まだまだ海外含めて人員の採用が必要だと思っています。

という回答がなされています。

以上のように、短期的には盤石に見えるクックパッドですが、新経営陣に変わってから、大きな方針変更がなされています。

それは、「国内での多角化」戦略から「料理単品勝負での海外展開」ということで、具体的には、

・100カ国で1位になるレシピサービスを作る
・そのために、エンジニア・デザイナを毎年200人ずつ増やす(投資する)
・広告事業のウェイトを下げていく

ということが言及されています。

(繰り返しますが、短期的には盤石だと思いますが)今後、リスク要因になり得る要素を3つ挙げておきたいと思います。


不安要素1: プレミアム会員の純増数が減速

クックパッド最大の事業である、会員事業を見てみましょう。

このグラフのように、プレミアム会員の純増数が減速しています。これまでの減っていた四半期もありますが、図に記載されている通り何かしら明確な理由があって減っていたわけですが、今回は理由なく大きな減速です。

決算の質疑応答でも、以下のような記載がありました。

【Q30】
国内のレシピサービスのファンの増加について、月次利用者数に占めるプレミアム会員の比率が3%程度で上昇していないと思いますが、この比率を4%等に上げていくことを目指すのでしょうか。それとも、それよりはC to Cの新規事業の方がこの先数年においては成長ドライブになっていくのでしょうか。
【A30】
プレミアムサービス会員数を増やしていきたいということはゆるぎないです。これまでは無料サービスの上にどうやって新しい付加価値を付けてプレミアムサービスを伸ばしていくのかを検討していました。一方で、現状を見ていると、たくさん使ってくださっているファンと言えるようなユーザーが少ない状況で、そういうユーザーを増やすためには、既存の無料サービスの上に有料サービスを作る方法では限界があり、無料のサービスの含めて変えていかないといけないと考えています。そのため、開発体制も今までは会員事業と検索事業とで分けていましたが、これを一緒にして、サービス開発の土台ごと変えていきたいと思っています。

フリーミアムモデルで行く限り、有料化率を劇的に上げるのは難しく、そのため、最初から有料、というサービスも検討している、との発言があります。

短期〜中期の業績を占う意味では、プレミアム会員の純増数がどのようなペースになるのか、というのをしっかり見極めていく必要があると思います。

長期の業績を占う意味では、日本以外の国で、レシピサービスにお金を払うユーザーが本当にどのくらいいるのか、というのは大きな未確定要素だと思います。日本は、ガラケー時代から、コンテンツ課金が最も成立しやすい国の一つでしたが、海外で同じようにいくのか、というのは全く読めません。


不安要素2: 広告事業のウェイトを下げていく予定

広告事業に関しては、今年度は前年比プラマイゼロくらいの着地になるというガイダンスが出ています。質疑応答からも抜粋します。

【Q2】
広告を見直すということですが、これまで好調に伸びてきた広告をなぜこのタイミングで見直すのでしょうか。
【A2】
広告を見直す一つの大きな理由はサービス開発のスピードをあげるためです。広告は枠が設定されているため、サービス開発をする度に、事前に広告主との間で、「広告枠をずらしても大丈夫か」と等の調整が多く必要になります。今、ユーザー数を大きく伸ばしていく必要がある中で多くのことに挑戦してくため、サービス開発のスピードを上げる必要がありますが、その中で上記の調整に時間を取られすぎることのないようにするため、広告枠の見直しをしています。また一部、広告の対象商材でレシピサービスにそぐわないものがあることを認識しているので、その点の改善も進めていきます。

要は「広告をたくさん入れると、広告枠の調整コストが大きくて、サービス改善のスピードが遅くなる」ため、広告枠を見直していく(=減らしていく)ということです。

これは、短期的には売上成長を毀損しますし、ましてや「毎年200人のエンジニア・デザイナー追加」と併せると、減益要因になります。従って、「不安要素1: プレミアム会員の純増数が減速」とも関連しますが、短期的には減益も厭わない、という覚悟をしているということを理解しておくべき、と思います。


不安要素3: 新規事業(C to Cプラットフォーム)はどうなるのか?

2017年12月期から5年間の集中領域の一つとして、「料理に関連するCtoCプラットフォームの開発」が挙げられています。

具体的に、質疑応答から見てみましょう。

【Q3】
既に「クックパッド」そのものが良質なコミュニケーションの場という認識ですが、ここにさらにC to Cプラットフォームを新しく作るのは、どのようなサービスを志向しているのか、ユーザーのニーズをどう反映させたものを作ろうとしているのか、もう少し具体的に教えてください。
【A3】
C to Cのプラットフォームについては、これからどんどんアイディアを募って進めていきたいと考えています。既に存在しているものとして、料理教室のサービスがあります。料理を教えてほしいユーザーと教えたいユーザーを我々がマッチングし、フィーをいただくビジネスモデルです。また、例えば、器を作って多くの人に販売したいという個人事業主を助けるようなサービスや、料理に関するクラウドファンディングを通して料理に関する新しいアイディアがあるユーザーや、農業をこういう風に変えていきたい、という思いのあるユーザーとそれを支援したいユーザーをマッチングしてフィーをいただくようなサービスを作っていきたいと考えています。
【Q27】
C to Cプラットフォームの話は大変興味深いと思いますが、具体的に動いているプロジェクトが何件程度あるのか教えてください。
【A27】
いくつか議論しているものはありますが、既にあるものとしては料理教室はC to Cビジネスそのものです。


要は、「C2C料理教室」をまずしっかり立ち上げるということのようです。これは、ネットサービスとは違い、実際に人とモノと場所が必要なビジネスなので、ネットサービスほど素早く立ち上がらないことは間違いありません。どのくらいのタイミングで事業として立ち上がってくるのか、注目しておく必要があるでしょう。


以上、(繰り返しますが、短期的には盤石だと思いますが)今後、リスク要因になり得る要素を3つ挙げておきました。


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