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SalesforceはSlackを買収してMicrosoftに対抗できるのか?

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私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。

この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。


Salesforce 2021年度第3四半期決算の印象は?

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ーー(東海千尋)皆さん、こんにちは。今日は、Salesforceの2021年度第3四半期の決算書を読みながら、Slack買収のニュースを中心にシバタさんに解説していただきたいと思います。シバタさん、よろしくお願いします。

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ーーまずは決算書から見ていきます。上図が決算のサマリーのページになります。

ーー前期(第2四半期)も決算動画をつくっていまして、そのときは、GAAPで見ても、Non-GAAPで見ても、売上は前年同期比+29%だったと思います。

ーー前期と比べると若干落ちているものの、今期もかなり好調な決算だと言えます。シバタさん、今回の決算全体の印象はいかがでしょうか?

(シバタナオキ)今回も圧倒的にすごい決算だと思います。次に8ページを見てみましょう。

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上図(8ページ)は、四半期の売上が棒グラフで、オペレーティングマージンが折れ線になっています。前回の動画を撮った時(第2四半期)は、その前に実施したM&Aの分が足し算された分が乗っていたのでYoYが少し高くなっていました。

この1年はあまり大きなM&Aを実施していないと思うので、今回は実質の実力で売上が前年同期比20%伸びているということです。やはりすごく底力があるなという感じです。


高成長を続けるSalesforceの強みとは?

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ーーこの点に関してコミュニティから質問です。「この規模になってもなお高成長を続けるSalesforceの強みはどういう点でしょうか」ということです。前回の決算でもM&Aがうまい、SaaSのお手本のような経営をしているとのお話がありましたが、改めていかがでしょうか?

もちろん、M&Aがうまいというのもありますが、やはり今回の決算を見て皆さんも分かる通り、四半期で売上が$5B(約5,000億円)を超えていて、20%成長できるオペレーションがしっかりあります。

そこに関しては、基本的にもともとは営業の方向けのソフトウェアを売るという会社ですが、売り方をかなりモデル化して、サイエンスでやっていて、要はすごく仕組み化されています。ものを売っていく力、ソフトウェアを売っていく力がすごいのではないかと想像します。

日本的に言う「体育会系の営業」というイメージではなくて、きちんと方法論化されたリピータブルなセールスのプロセスが社内にしっかりあるのだと思います。そういう仕組みがある点が一番強い理由だと思います。

その上にアグレッシブでかなり確度の高いM&Aをしてくる形でどんどん乗ってくるのです。

強みが何だと聞かれれば、特に営業周りのオペレーションの力と、このM&Aなどの戦略的な話の掛け算でこういう大きな伸び方をし続けていると思います。


Slack買収の意図は?

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ーー後者のM&Aの話をしていきたいと思います。SalesforceがSlackを買収したというニュースは、1週間ぐらい前からウォールストリートジャーナルが「Slackを買収するらしい」と報じ、ざわざわしていました。遂に、Salesforce本人から「買収します」という発表が出たというのがこちらのニュースになっています。

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ーー上のスライドにも記載があように、買収金額が日本円にして$27.7B(約2兆9,000億円)と、かなり大型の買収になっています。このSalesforceによるSlackの買収の意図について、シバタさんはどのように考えていらっしゃいますか?

まず、買収が基本合意には至っているようですが、関係当局の審査があるので、2021年中盤頃まではクローズしないという予想が今のところ出ています。そのため、100%M&Aが起こったのではなく、M&Aをすることで合意はできていますが、これからいろいろな審査が入るということです。

今回の買収の意図がどういうことかという話ですが、おそらくSalesforceから見ると、コラボレーションやコミュニケーションのところに関しては全く今までやっていませんでした。そこで一番強いのは、当然、MicrosoftのTeamsですよね。そのため、Microsoftの一番得意としているところに入っていきたいというのが最大の意図だと思います。

金額的にもSalesforceの歴史の中で過去最大規模のM&Aなので、かなり大きな賭けをしたと思います。


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