ユーザーは1日に●時間、音楽を聞く!ストリーミング音楽配信市場を徹底解剖
先週は、ストリーミング動画配信を特集しましたが、今週はストリーミング音楽配信を見ていきたいと思います。
日本でも2015年にLINE Musicや、サイバーエージェントによるAWAなど複数のストリーミング音楽配信サービスが誕生しましたが、この市場はいったいどのようになっていくのでしょうか?
日本市場のデータは非常に少ない上に、日本市場はアメリカから数年遅れでやってくるということもあり、Activateが公開しているアメリカのデータを主に見ていきます。
音楽業界の2つの転換点
音楽業界はこの20年くらいの間に2つの大きな転換点があったと言えるでしょう。
一つ目は、CDからダウンロード型への転換、二つ目は、ダウンロード型からストリーミング型への転換です。
この図を見れば分かる通り、音楽ビジネス(デジタル)は、2008年にはダウンロード型(紫)が主だったわけですが、2014年にはストリーミング型(水色=有料課金型と緑=広告型)が増えてきて、2020年にはストリーミング型がダウンロード型を超えるという予測になっています。
平均ユーザーは、1日4時間音楽を聞く
上の円グラフは、音楽配信サービス種別ごとの、1日あたりの利用時間を表します。
アメリカの平均的なユーザーは、1日あたり4時間5分音楽を聞いています。そのうち、半分以上がラジオなどの「アナログ」、それ以外がダウンロード型、ストリーミング型などの「デジタル」です。
デジタルの内訳を見てみると、以下のようになっています。
ダウンロード型: 49分/日(約20%)
ストリーミング型: 29分/日(約12%)
ポッドキャスト: 5分/日(約2%)
1日4時間も音楽を聞いていると言うと、とても大きな数字に見えますが、一体どんな状況・場所で音楽を聞いているのでしょうか。
こちらにあるように、「運転中」「仕事中」「運動中」など多くのケースで何かをしながらの「ながら」視聴が多いことが分かります。
ちなみに、上の図にあるように、スマホアプリで音楽を聞いている時間は39分/日です。音楽を聞いている4時間5分/日に比べると小さいですが、1日あたりのスマホ使用時間が3時間25分/日なので、「スマホ内シェア」は非常に大きいと言えるでしょう。
売上規模では未だに「アナログ」強し
アメリカの音楽業界全体の売上は、2014年で約$26B(2兆6000億円)。うち、ダウンロード型、ストリーミング型の「デジタル」は、たった$4.5B(4500億円)で、売上規模では未だにラジオなどの「アナログ」が大きいことが分かります。
ストリーミング型は若者世代に侵食
これは全く違和感ない話だとは思いますが、若者ほどストリーミング型をよく使う傾向にあり、年配になるほどラジオをまだ使っているという傾向が顕著に出ています。
デジタル音楽市場の成長予測
デジタル音楽市場はまだまだ伸びると予想されています。
売上シェアで見た場合、以下のようになります。
種別: 2014年売上シェア => 2020年売上シェア
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ダウンロード型: 53% => 40%
ストリーミング型(有料課金): 23% => 35%
ストリーミング型(広告): 9% => 23%
要は、ダウンロード型からストリーミング型への移行が更に進む、という流れは今後も加速しそうです。それに伴い、市場規模も2014年の$6.9B(6900億円)から、2020年には$10B(1兆円)に増えるとされています。
ストリーミング型に関しては、上述の通り、大きく分けて「有料課金」と「広告」の2つのビジネスモデルがあります。
広告型の方は、2014年の1.25億ユーザーから2020年には2.6億ユーザーへと倍以上に増え、有料課金の方も4100万ユーザーから7500万ユーザーへと増えると見られています。
売上は、右側のグラフにあるように、ユーザー数とは反対に「有料課金」の方が多くなります。
次回は、今後、一番伸びが予測される「有料課金」と「広告」の2つのビジネスモデルの違いを詳しみ見てみたいと思います。
追記: 「音楽配信ビジネスの1ユーザーあたりの売上いえますか? Spotifyの次のビジネスモデルが誕生?」を公開しました。
音楽ではなく、動画配信ビジネスに関しては先週詳しく下記ましたので、まだご覧になってない方は是非!
・世界最大の動画配信サービスNetflixの5つのここが凄い
・アメリカのテレビ・動画市場の5つのトレンド
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