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Q. 楽天 vs ヤフー: コロナ禍でのEC頂上決戦を制したのは?

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ヒント:取扱高、取扱高の前年同期比は楽天がヤフーを上回っていますが、テイクレートはヤフーが楽天を上回っています。

今日の決算では、コロナが追い風となって成長を続けているECビジネスにおいて、日本の二大EC事業者である楽天とヤフーを比較していきます。直近の2020年10月‐12月の四半期決算を分析し、どちらがEC決戦を制したのか?という視点で詳しく見ていきたいと思います。

楽天株式会社 2020年度通期及び第4四半期 ビデオプレゼンテーション資料(2021年2月12日)

Zホールディングス株式会社 第3四半期決算 プレゼンテーション資料(2021年2月3日)

EC事業全体の取扱高・成長率はどちらが早かったのか?

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まず最初に、両者のEC事業全体の取扱高と成長率を比較していきます。
楽天の2020年10月‐12月四半期の国内EC事業の取扱高(GMV)は1.4兆円、前年同期比(YoY +38.5%)となりました。

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同四半期のヤフーのEコマース事業のGMVは9,182億円で、YoY+33.0%でした。

両者を比較すると、四半期の取扱高は、楽天(1.4兆円)、ヤフー(9,182億円)と楽天の規模がヤフーの約1.5倍、成長率は楽天(YoY+38.5%)ヤフー(YoY+33.0%)と、こちらも楽天がヤフーを上回っていることがわかりました。

ショッピング全体の取扱高・成長率はどちらが早かったのか?

両者の決算資料で発表される「EC事業」には、トラベルやデジタルサービスなどを含んでいるので、ショッピング部分にフォーカスして比較してみます。

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楽天の国内ショッピング事業のGMVは、YoY +45.2%でした。

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ヤフーのショッピング事業のGMVは、3,947億円でYoY+33.7%でした。

ECのショッピング事業の成長率に限っても、楽天(YoY+45.2%)、ヤフー(YoY+33.7%)と楽天の方が成長率が高く、早く成長しています。

テイクレートの比較

次に、両者が取扱高のうち、どの程度を自社の売上にできているかを示すテイクレートを比較してみます。

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まず、楽天の国内EC事業のテイクレートを計算します。

売上収益 = 1,785億円
GMV = 1.4兆円
テイクレート = 1,785 / 14,000 = 12.75%

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次にヤフーのEC事業のテイクレートを計算します。

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ヤフーの場合、EC事業に含まれる「アスクル」は規模が大きく、ユーザーに直販している(売上をグロス計上している)ので除外して、計算します。

(アスクルB2Bを除く)
売上収益 = 2,275 - 707 = 1,568億円
GMV = 9,182 - 707 = 8,475億円
テイクレート = 1,568 / 8,475 = 18.5%

両者のテイクレートを比較すると、楽天(12.75%)、ヤフー(18.5%)と、ヤフーの方がテイクレートが高いことがわかりました。

ヤフーEC事業の取扱高の内訳を見てみると、ショッピング事業(3,947億円)に対して、サービス系(2,111億円)と割合が高いことがテイクレートが高い要因だと考えられます。

サービス系に含まれるトラベルや一休のレストラン予約事業は、「Go To」キャンペーンの影響で、この四半期は特に大きく成長しています。

国内ECの二強対決は、取扱高や成長率については楽天、テイクレートはヤフーと、ここまでは接戦となっています。

以下では、取扱高の因数分解を行うことで、両者の成長要因を詳細に分析していきます。

この記事は、EC事業を担当されている方、EC事業に興味がある方に加えて、EC事業のKPIとその因数分解の仕方について学びたい方にも最適な内容となっています。

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・Q. 楽天 vs ヤフー: コロナ禍でのEC頂上決算を制したのは?の答え
・楽天のEC事業のKPI因数分解
・ヤフーのショッピング事業のKPI因数分解
・まとめ

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