LINEがもし独立系スタートアップだったら...
ついにLINEの上場が承認されました。NYSEと東証への同時上場という点、たった数年の間にこれだけのスピードでこれだけの規模のビジネスを作られた関係者の皆様には改めて敬意を表したいと思います。
他方、株主名簿を見ると、Naver社が圧倒的なシェアを有していて、経営陣等の持ち分が少なすぎる!という声も多く聞こえてきました。
LINE産みの親である慎ジュンホ氏が5.12%、CEOの出澤氏でさえも、0.05%のみ、というのは確かに少なすぎる気もします。
他方、LINEが産まれた経緯を見れば、Naver Japan内のプロジェクトとしてスタートしており、LINE経営陣の誰も自らスタートアップを創業するレベルのリスクは取っていないことも事実です。
これの歴史的なIPOに対して、「たられば」を言うのは御法度かもしれませんが、「もしLINEが独立系スタートアップだったら」というテーマで少し考えたみたいと思います。
個人的にはいろいろ思うところがあるのですが、それはさておき、なるべく客観的にデータを中心に展開してみたいと思います。
スタートアップの資本構成
これは当然ながら、各社いろいろある訳ですが、一般的なケースはHow Startup Funding Worksに詳しいです。
創業者以外の経営陣へのストックオプション
これも各社いろいろですが、シリコンバレーでの一般的なケースは下図の通りです。
大雑把に言うと、
・CEO: 5-10%
・COO: 2-5%
・VPクラス(執行役員クラス): 1-2%
みたいなレベルでストックオプションが付与されるのが通常です。
LINEがもし独立系スタートアップだったら...
「たられば」の話を続けます。しつこいですが、内部事情は私には分かりませんので、各種報道から読み取れる内容を元に、勝手な憶測で話を進めます。(従って、「そりゃ違うよ」という指摘もあるかと思いますが、あくまで、株主名簿のお勉強だと思ってお付き合いください。)
また、日本の一般的なケースではなく、(特に勉強の意味も含めて)シリコンバレー水準に近くなるように、シミレーションをしていきます。LINEはニューヨーク市場に上場することも踏まえて、グローバル・スタンダードな株主名簿はどんな形になりそうか?というのを見てみましょう。
LINEが独立系スタートアップだった場合、創業者は誰とするのが正しいのでしょうか?
日経ビジネスのこの一連の記事を読む限り、最初の創業者は慎ジュンホ氏であることは間違いないでしょう。
もしもう一人創業者がいるとすれば、舛田淳氏でしょうか。
仮にこの2人を、仮想スタートアップの創業者としましょう。「創業者」というのは、最初からフルタイム(専業)でLINEの事業だけにコミットし、その事業を文字通り「創業」した人の意味です。
前CEOの森川氏や、現CEO(当時COO)の出澤氏、その他の執行役員は、創業後、サービスにユーザーがつき始めてからジョインした経営陣とします。実際、経営陣の多くは、LINE事業が軌道に乗るまでは、広義の会社のマネジメントはしていたと思いますが、LINE「専業」では無かったのではないかと思います。
もう一つ重要な点は、LINEが独立系スタートアップだった場合、いくらくらいの資金を調達しなければならなかったのか、という点です。
2011年に61億円という大きな赤字を掘っていることもあり、100億円くらいは必要だったのではないか、と考えるのが正しそうです。(この「100億円」というのは、LINE事業の成長のための資金で、実際にNaver Japanがライブドア買収に使ったお金等は含まないという前提で考えます。)
以上の非常に大雑把な前提のもと、株主名簿を組み立てていきたいと思います。
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・創業時の株式名簿
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・シリーズA直後の株式名簿
・シリーズB直後の株式名簿
・実際にLINEが独立系スタートアップとして誕生することは起こり得たのか
・おまけ: 途中で退任した人へのストックオプションの扱い
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