Q. 【ライブ配信比較】ふわっちのjig.jpが新規上場、ツイキャス、Pococha、にじさんじと比較した強みとは?
新着記事をTwitterでお届けします。下記URLからご登録ください。
Twitter: https://twitter.com/irnote
この記事は沼幹太さんとの共同制作です。
ライブ配信サービス「ふわっち」を運営する株式会社jig.jpが2022年12月22日に上場します。そこで今回は、ライブ配信サービスに注目し、「ふわっち」を他サービスと比較していきます。
主要なライブ配信サービスは、jig.jpの「ふわっち」を始め、モイの「ツイキャス」、DeNAの「Pococha」があり、VTuberに特化したサービスを運営しているANYCOLORの「にじさんじ」もあります。今回は、この4つのサービスを比較していきます。
ライブ配信という観点では、YouTubeやInstagram、TikTokにもライブ配信機能がありますが、有名人や既にフォロワーを多く獲得している人が中心に利用している印象です。
一方で、今回紹介するサービスはライブ配信専門のプラットフォームで、無名の素人がクリエイター(発信者)として一から知名度を向上させファンを増やしており、YouTubeなどと一線を画しているのが興味深い点です。
なぜクリエイター(発信者)を生み出していくことができるのかという点にも注目しながら、ライブ配信サービスを比較し、深掘りしていきます。
jig.jpおよびライブ配信サービス「ふわっち」
jig.jpは2003年に創業し、2004年より当時の携帯電話(ガラケー)からインターネット上のページを閲覧するブラウザ「jigブラウザ」の提供を開始しました。
その後、2014年に子供向けのプログラミング専用パソコン「Ichigojam」、行政向けオープンデータ化支援サービス「オープンデータプラットフォーム」の提供を開始しました。
そして、2015年よりライブ配信サービス「ふわっち」の提供を開始しています。
現在は、一般消費者向けのセグメントとして、「jigブラウザ」「ふわっち」等、自治体・企業向けのセグメントとして、「Ichigojam」「オープンデータプラットフォーム」という区分で事業を展開していますが、一般向けセグメントが売上の99%以上、人員も90%近くを占めており、「ふわっち」が主力事業であることがわかります。
類似サービス:モイのツイキャス、DeNAのPococha、ANYCOLORのにじさんじ
次に、ふわっちの類似サービスについて見ていきましょう。
1.ツイキャス(モイ)
まず、モイ株式会社が運営している「ツイキャス」です。
モイは2012年に設立された企業で、設立当初からライブ配信サービスを提供しており、2022年の4月に上場しています。
円滑で様々なコミュニケーションをとることができることがサービスの特徴で、配信者にアイテムを送ったり、「メンバーシップ」という月額会員限定のオリジナルコンテンツやコミュニケーションが楽しめるプラットフォームを提供しています。
2.Pococha(DeNA)
次に、株式会社DeNAが運営している「Pococha」です。
DeNAは、ゲーム、ライブストリーミング、スポーツ、ヘルスケア・メディカルというセグメントで事業を展開していますが、Pocochaはライブストリーミングセグメントに属しています。
グローバルにも進出しており、2021年に買収したVTuberライブ配信アプリ「IRIAM」もダウンロード数を伸ばして成長しています。
また、Pocochaの採用候補者向け資料の解像度の高さが話題となっており、積極的に人材採用も進めています。
3.にじさんじ(ANYCOLOR)
続いて、ANYCOLOR株式会社が運営しているVTuberプロダクションの「にじさんじ」です。
ANYCOLORは2022年6月に上場し、9月には時価総額が3,000億円を突破し、TBS、日本テレビなど日本のすべての在京キー局の時価総額を抜くなど注目度が高い企業です。
にじさんじは、YouTubeを主戦場としている点、ライブ配信以外の売上が大きい点、VTuberがライブ配信を行う点など、ふわっち、ツイキャス、Pocochaと比べると特殊であると言えます。
また、他3サービスのように不特定多数が配信側になれるサービスではなく、運営側がプロデュースしている点でも異なっており、独自路線で成長しているサービスです。
ライブ配信事業の主要KPIとは?
ここまで、各社のライブ配信サービスの特徴を見てきましたが、ライブ配信事業の主要KPIには何が挙げられるでしょうか。
ライブ配信事業は、視聴ユーザーからのアイテムの購入など、コンテンツ販売が主な収益源です。
そのため売上の方程式は以下のようになります。
また、
と分解が可能です。
また、配信者が増加しプラットフォームが活性化することが課金UUの安定的な確保にも繋がるため、配信UU数も重要な指標となります。
売上はPococha、成長率はANYCOLORが最大
では、ライブ配信サービス各社の業績の比較を見ていきましょう。
上のグラフは、jig.jpの2022年度(2021年4月〜2022年3月)の売上と同時期の4サービスの業績を1枚のスライドにまとめたものです。(※DeNAはPococha、キャラライブアプリ「IRIAM」の合計)
売上規模ではDeNAのライブ配信事業が売上347億円と最も大きく、売上成長率ではANYCOLORが前年同期比(YoY)+81%と最も高いことがわかります。
jig.jpは売上90億円、YoY+34%となっており、モイと比較すると規模、成長率ともに高い状況です。
DeNAのライブストリーミング事業は、正確な数値は出ていませんが、当該期間のIRIAMの売上は約10~15億円程度、またグローバルのPocochaも売上は少額のため、国内Pocochaの売上が大半の約300億円超を占めていると推察されます。
2021年度に、巣ごもり需要によって爆発的に売上・ユーザー数を増やしたことが上のグラフから伺えます。
こちらの取材記事にあるように、Pocochaのメンバーは「売上の伸びに比して、事業をドライブさせるための有効な投資が追い付かず、結果、想定よりも早く黒字化してしまった」と反省を述べており、それだけDeNAはPocochaに積極的に投資する姿勢を見せ、成長加速を促しています。
ここまで、新規上場するjig.jpが運営するライブ配信事業「ふわっち」を中心に、類似サービスを提供するモイ(ツイキャス)、DeNA(Pococha)、ANYCOLOR(にじさんじ)の事業概要、業績比較を行いました。
記事の後半では、引き続き4社を比較していきながら、Jig.jp(ふわっち)の強みについて深堀していきます。
この記事は、動画サービス業界に携わっている方や興味がある方、新規上場企業の成長要因に興味関心がある方、競合他社との比較分析の方法について知りたい方に最適な内容になっています。
ここから先は、有料コンテンツになります。このノート単品を500円、あるいは、初月無料の有料マガジンをご購入ください。
有料マガジンは、無料期間終了後、月額1,000円となりますが、1ヶ月あたり4〜8本程度の有料ノートが追加されるため、月に2本以上の記事を読む場合には、マガジン購読がお得です。
月末までに解約すれば費用はかかりませんので、お気軽に試してみてください。
有料版をご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。
ここから先は
¥ 500