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コロナ後の本格回復はあるのか?!業界最大手のT&G決算から見る結婚業界の潮流とは?

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ヒント:業界最大手のT&G決算から読み取れる結婚業界の潮流は以下の3つ。
#1 ●●の多様化
#2 コロナ後の●●の収益性
#3 新たな●●の模索

この記事はゲストライターとの共同制作です。

2020年初頭から猛威を振るいはじめた新型コロナウイルス(以下、コロナ)により大きな影響を受けた業界の一つに結婚業界があります。

コロナの流行や緊急事態宣言等によって、結婚式の開催が困難になったり、延期せざる得ない状況が発生していました。

一方で2023年5月8日から、コロナの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ5類に移行する等のポジティブなニュースもありました。

コロナ禍は結婚業界にどのような打撃を与えたのでしょうか?またコロナ禍からの回復状況はどのような状況なのでしょうか?

今回は結婚業界最大手のT&Gの決算からコロナ影響について解説し、結婚業界の潮流についても考察していきたいと思います。


結婚業界の概況

上図は、国内の結婚関連の市場規模の推移です。

コロナが流行した2020年の市場規模は約1.2兆円(YoY▲47.5%)と前年比で大きく減少しました。

2021年以降は回復傾向が見られ、2023年にはコロナ流行前(2019年)と比較して、市場規模は約83%まで回復する見込みです。

そのため、コロナ流行前の水準まで回復するにはまだ時間が必要といえるでしょう。

また上図の市場規模は、コロナの直接的な影響を受けた挙式披露宴・披露パーティー以外の分野も含まれている点に注目です。後ほど詳しく述べたいと思いますが、現在は婚姻組数が伸びていない状況で、結婚業界の市場規模が伸びしろがあると考えられます。


業界最大手のT&Gとは?

結婚業界最大手のT&Gは、1998年に代表取締役会長の野尻佳孝氏によって創業され、ハウスウェディングという新しい結婚式の形を創った企業として知られています。

T&Gは、創業事業である「ウェディング事業」と独創的で店舗ごとに異なるコンセプトと高いクリエイティビティをセールスポイントに持ったブティックホテルを運営する「ホテル事業」を中心に行っています。

ブティックホテルは、海外では2000年代以降に拡大してきましたが、日本では、T&Gが新しく市場を創出しようとしているカテゴリーです。

2017年5月に1店舗目を原宿・神宮前に開業していますが、2030年度までに26店舗の新規出店を予定しており、積極的に新規事業への投資を行っています。

このように順調に事業を拡大しているように見えるT&Gですが、先日2023年5月12日に2023年3月期の決算発表後に、T&Gの株価はストップ安になりました。

なぜ、このようなことが起きたのでしょうか?T&Gの決算内容を見ていきましょう。


2023年3月期の業績は好調

2023年3月期(2022年4月〜2023年3月)の売上は約455.3億円(YoY+15.3%)と、計画を上回る成長をしています。

売上の内訳を見ると、婚礼運営に関するコンサルティング・ホテル事業も含んだ国内ウェディング事業の売上は約448.5億円と全体の98.5%を占めています。

ホテル事業の売上は約46.4億円なので、仮に国内ウェディング事業からホテル事業を差し引いたとしても、国内ウェディング事業の売上は約402億円で全体構成比の88.3%です。

つまり、T&Gの売上の大部分は、直営店婚礼・コンサルティング・宿泊・レストラン等の国内ウェディング事業によって占められているといえるでしょう。

上図は、婚礼の取扱組数と平均単価の推移です。

ウェディング事業の売上を因数分解すると、婚礼の「取扱組数×平均単価」となります。

取扱組数は、一般的に気候が良い春や秋が好まれる傾向があるため、5月・10月・11月あたりで増加する季節性があります。

T&Gの実績に話を戻すと、2021年3月期は、コロナ影響で大きく落ち込んでいますが、2022年3月期は10,233件、2023年3月期は10,857件と微増傾向ですが、大きな変化は見られません。

一方、平均単価は継続的に右肩上がりの傾向があり、2023年3月期は386.5万円まで伸びています。平均単価は季節性がない性質のため、T&Gのビジネス成長のきっかけになっていると考えられます。

婚礼の平均単価向上は、招待人数の増加やドレス・食事などで上位クラスへのアップセルで実現します。

背景としては、2020年からのコロナ禍では、親族と親しい友人など比較的少人数での結婚式や、景気後退懸念から平均単価が低くなる傾向があった時期から市況が回復していると考えられます。

上図は、2020年3月期以前の婚礼の平均単価の推移です。

コロナ影響がまだ本格的に見られない2020年3月期の平均単価を見てみると、394.7万円となっています。

つまり、2023年3月期の平均単価である386.5万円は、まだコロナ前の水準までは完全には回復できていません。

また婚礼の取扱組数についても、2020年3月期は12,537件、2023年3月期は10,857件となっており、平均単価と同様に回復できていない状況です。

婚礼の取扱組数がコロナ以前の水準に戻り切っていない件に関しては、コロナ影響の可能性がある一方で、2022年3月期〜2023年3月期で大きな変化が見られないことから、後半で触れる別要因による影響も考えられます。


ストップ安の要因は2024年3月期の予想

2024年3月期(2023年4月〜2024年3月)の売上予想は450億円(YoY▲1.1%)、営業利益予想は40億円(YoY+8.6%)と発表されています。

T&Gは、2023年3月期(2022年4月〜2023年3月)の売上は約455.3億円(YoY+15.3%)と右肩上がりの業績でしたが、売上のマイナス成長である点が不安視されたため、ストップ安につながった可能性が高いと言えるでしょう。

背景としては、T&Gの婚礼の受注残組数の低下が考えられます。T&Gへの新規問合せが前年同月比では改善していますが、コロナ前比80〜90%のため、受注数も減ってしまい、受注残組数は前年比90.3%程度に留まっています。

一方で、国内の結婚関連の市場規模が回復傾向の中で、売上予想がマイナス成長である状況のため、T&Gにとっては、2024年3月期は厳しい局面になると想定されます。

記事の後半では、業界最大手のT&G決算から見る結婚業界の潮流を考察していきます。

この記事は、結婚業界に携わる方や興味がある方はもちろん、事業戦略に関心がある方に最適な内容になっています。


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・Q.コロナ後の本格回復はあるのか?!業界最大手のT&G決算から見る結婚業界の潮流とは?の答え
#1 ●●の多様化
#2 コロナ後の●●の収益性
#3 新たな●●の模索
・まとめ


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