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Q. 楽天モバイルの黒字化への最短ルートは?

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ヒント:楽天モバイルは、2021年2Q時点で四半期あたり約1,000億円の赤字が発生しています。そのため、赤字金額以上の売上を創出する必要があります。

この記事はゆべしさんとの共同制作です。

2021年8月11日に、楽天の2021年2Q決算情報が公開されました。2021年2Qの楽天の事業セグメント別売上と営業利益は以下の通りです。

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従来から楽天はモバイル事業への積極投資を行っており、セグメント単位で見ると、2021年2Q累計(6ヶ月間)で▲1,973億円もの赤字となっています。

インターネットサービスやフィンテックといった既存事業は好調に推移している一方で、この楽天モバイルへの積極投資により、2021年2Q累計の全社の営業利益は約▲1,000億円の赤字となっていることから、楽天モバイル事業の今後の業績が非常に注目されています。

この記事では、そんな注目の楽天モバイルをピックアップして、2021年2Q累計時点で約▲2,000億円もの赤字状態から、黒字化するための戦略を考察していきます。


顧客獲得は絶好調

楽天グループ株式会社 2021年度第2四半期 CEOグループ戦略プレゼンテーション資料

楽天グループ株式会社 2021年度第2四半期 ビデオプレゼンテーション資料(2021年8月11日)

楽天グループ株式会社 2021年度第2四半期 決算スライド補足資料(2021年8月11日)

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まず、楽天モバイルの顧客獲得状況を見ていきます。2021年6月時点で楽天モバイルの累計契約申込数は442万件で、上図の契約者数の推移を見ると、「1年間利用料無料キャンペーン」の影響もあり、楽天カードよりも4倍以上早いペースで顧客獲得が進んでいます。

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次に、楽天モバイルの会員の内訳を見ると、これまで楽天サービスの利用がない楽天新規ユーザーが約19%、既存の楽天会員が約81%という構成です。

楽天は、消費者の生活に寄り添う多数のサービスを展開し、いわゆる楽天経済圏を築いていることから、楽天モバイルをきっかけに楽天の新規ユーザーを獲得することで、他の楽天サービスへの送客も期待できます。

また、反対に楽天モバイルの契約者のうち、81%が既存の楽天会員であることから、多くの楽天サービスによる楽天モバイルのクロスセルが見事に機能していることが伺えます。


「割安プラン」における楽天モバイルのシェア

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次に、楽天モバイルの競争力を見ていきます。2021年6月実施の総務省の調査によると、2020年冬以降に各携帯キャリアで発表された割安プランへ移行した契約者のうち、53%が楽天モバイルを選択しているとのことです。

TVCM出稿等の効果もあり、UN-LIMIT VIの割安プランの認知度獲得は大成功していると言えるでしょう。

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次に、楽天モバイルの通信品質について、上図のような第三者機関による調査結果や、2021年のグローバルモバイルアワードで2件の受賞を果たすなど、楽天モバイルの通信技術と品質は、世界基準で高く評価されています。


収支は大きくマイナス: 重たくのしかかるローミングコスト

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ここで、楽天モバイルの四半期ごとの財務状況を見ていきます。2021年2Q単体の売上は515億円(YoY+17.0%)、営業利益は▲997億円と、四半期で約1,000億円の赤字となっています。

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この赤字の主な原因は、自社ネットワークエリア拡大の前倒しに伴う減価償却費等のネットワーク関連費用の増加にあります。

現在急ピッチで進めている基地局建設により、2021年6月時点で4G回線エリアの人口カバー率は90%超ですが、目標であったカバー率96%は未達であることから、まだまだ投資が必要なようです。

なお、三木谷氏はローミングについては、10月と3月のタイミングでエリアの見直しを行うといった趣旨の発言をしており、「正直に言うとローミングコストは本当に高い。(ローミング)見直しのタイミングで、ローミングコストがかなり下がることが期待されているので、これに合わせて(新規顧客の獲得を)加速していきたい。新規顧客獲得コスト自体は安定しているが、それにあわせてローミング費用が短期的にかかってしまうため、(獲得スピード)はちょっと我慢してスピードをコントロールしていかなければならない」と説明した。

引用:楽天決算で三木谷氏「ローミング費用が本当に高い」、通信事業・RCP・エコシステムの「一石三鳥」を狙う

ここで、コストについて一歩踏み込んでみると、基地局整備等の設備投資の他に、KDDIへの高額なローミングコストが発生しています。

楽天モバイルは、自社がカバーできていないエリアでは、KDDIの通信網を活用することで賄っており、そのエリアでユーザーがデータ通信を行った場合、楽天からKDDIに対して、ユーザーの通信量に応じた使用料(≒ローミングコスト)を支払っています。

楽天モバイルの契約件数の増加に伴いローミングコストが多額に発生しており、4G回線の人口カバー率が目標未達となっていることから、設備投資費用とローミングコストの2つで赤字が膨らんでいるようです。

ここまで、楽天モバイルの現状として、顧客獲得状況や市場シェア、財務状況を見てきました。記事の後半では、この記事のタイトルでもある「楽天モバイルが黒字化するための最短ルート」について考察していきます。

この記事は、楽天モバイルの黒字化等の楽天のビジネスに関心のある方、情報通信事業に従事している方はもちろん、マネタイズ戦略に関心がある方にもおすすめの内容となっています。

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・Q. 楽天モバイルの黒字化への最短ルートとは?の答え
・楽天モバイルの短期的な黒字への道=BtoBからの売上で
・携帯キャリアの費用構成と楽天RCPによる費用削減とは?
・はじめて明かされたRCPのTAM(市場規模)とは?
・楽天モバイルの黒字化への最短パスはこんなイメージ!?
・黒字化までに必要な現金はどの程度か?
・まとめ

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