Q. 新規上場Rettyの売上、SaaSと広告どちらが大きい?
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ヒント:Rettyの事業はSaaSと広告のハイブリット型のビジネスモデルですが、実は一方の売上が3倍も大きいです。
今日の記事は、2020年10月30日にマザーズに上場予定のレストラン向けサービスを提供する「Retty」の決算を取り上げていきたいと思います。
Rettyの大きな特徴としては、実名でレストランのレビューを投稿していること、点数評価ではなく言葉によるレビューの投稿であること、そしてユーザーが信頼できると思ったレビュー者から店舗を検索することができるという3点が他のレストランレビューサイトと大きく異なる特色です。
Rettyのビジネスは、レストランなどの飲食店のレビューを掲載し、ユーザーを大量に獲得してそこに広告を掲載する事業と、レストラン向けに送客サービスを提供するSaaS型のFRM事業の二つのビジネスが混在しています
Rettyの事業規模や、二つの事業が売上にどのような割合で貢献しているのかなどを詳しく見ていきたいと思います。
Retty株式会社 新規上場申請のための有価証券報告書(2020/9/28)
Rettyの直近の2020年4月-6月の四半期決算を見てみると、売上は4.2億円で前年同期比(YoY)-27.9%、営業利益は−9,600万円の赤字と、コロナの影響を受けていることが分かります。しかし、その前の2020年の1月-3月の四半期を見ると売上は約6.5億円でYoYは+21.8%、営業利益は7,800万円でYoY+114.7%としっかり黒字になっているのが特徴的です。
売上の成長率としては若干物足りないかもしれませんが、営業利益の成長率が高いので、収益率を高めることに重きをおいているのではないでしょうか。
株主名簿を見てみると、最近では珍しくありませんが創業社長(武田和也氏)の持分が29.4%と、30%を下回っています。
戦略的パートナーであるヤフー(YJ 2号投資組合)が13.2%、それ以降もベンチャーキャピタルが多数、名を連ねていることが分かります。
Rettyの2つのビジネス
冒頭でも少し書きましたが、Rettyには2つのビジネスがありますので、ここで詳しく見ていきましょう。
一つ目は「FRM」と呼ばれるセグメントです。FRMは、Fun Rerationship Managementの略です。SaaS型(月額課金)で顧客管理システムや集客ツールを提供し、顧客基盤を構築したり送客したりするサービスです。
FRMのFは、Funではなく、Fans?と思ったりしましたが、目論見書のP3にも「※1 FRMはFun Relationship Managementの略称です」と記載されているので、Funのままにしておきます。Happyにしたい会社だからFunなのでしょうか。
二つ目は「広告コンテンツ」です。Rettyに集まるユーザーに対して広告を配信しその対価を得る事業が中心です。併せてRetty上の口コミや写真などのデータを飲食業界以外の企業に提供し、飲食業のトレンド分析や、旅行プラン策定のためのデータとして活用してもらう「Food Data Platform」という新しいビジネスもこのセグメントに含まれます。
繰り返しになりますが、Rettyのビジネスは一つのプラットフォームを使い、SaaS型と広告型の二つのビジネスが混在しているモデルです。
Rettyは「弁護士ドットコム」などに非常に近い、ハイブリッド型のメディアであると言えると思います。
「FRM」と「広告」の両方のビジネスにとって大切なのは、Rettyのサービスの利用者が増えることです。利用者が増えれば増えるほどRettyのプラットフォームの価値が高まるため、レストランから売上を得やすくなります。
従ってサービス運営上で一番重要なポイントは、「いかに利用者に愛されるコンテンツを作れるのか」という点に尽きます。
そういった目線で、今回の目論見書で開示されている2つの大事なKPIを見ていきたいと思います。
以下の2つのKPIは、メディアビジネスを運営する上では鉄板と言える教科書的なKPIであり、メディアビジネスを担当されている方にとってはぜひベンチマークとして押さえておくべき数字です。
KPIその1: 月間利用者数
最初のKPIは、「月間利用者数」です。2020年8月の時点で月間利用者数が4,393万人となっています。ピーク時は4,814万人でしたが、コロナで一旦落ち込んだ後に再度回復してきているので、利用者数に関しては安心して良いのではないでしょうか。
月間利用者数が伸びていることがRettyのビジネスにとっての屋台骨なので、メディアビジネスとしてはこのKPIは必ず押さえておくべきものだといえるでしょう。
ちなみに2020年の月間利用者数のトレンドは、このグラフのようになっています。3月・4月と大きく落ち込みましたが、そこからは回復してきていることが読み取れると思います。
このペースでいけば、コロナの影響が完全に無くなれば、元通りの成長基調に戻るのではないでしょうか。
KPIその2: 有料店舗数
次に大事なKPIは、実際にお金を払ってくれている「有料店舗数」です。2020年の8月時点の有料店舗数は、9,678店舗です。
こちらもコロナが発生したタイミングで落ち込んでいるように見えますが、例えば「ぐるなび」などと比べると、落ち込みが圧倒的に小さく、すでに右肩上がりのトレンドになっているように見えますので、中長期的にはあまり心配ないのではないかと思います。
記事の後半では、Rettyの「FRM=SaaS」と「広告」の二つのビジネスのそれぞれの売上、営業利益、そしてユニットエコノミクスを詳細に見ていきます。
この記事は、メディアビジネスを担当されている方、SaaS型と広告型のハイブリッドなメディアビジネスに関心がある方に最適な内容となっています。
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・Q. 新規上場Rettyの売上、SaaSと広告どちらが大きい?
・2つのビジネスの売上・営業利益
・ユニットエコノミクスその1: 店舗あたりの売上
・店舗あたりの売上の向上施策
・ユニットエコノミクスその2: 月間利用者あたりの広告売上
・月間利用者あたりの広告売上の向上施策
・まとめ
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