Q. PayPayの7つのマネタイズ戦略が公開、楽天経済圏に勝てるのか?
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この記事はゆべしさんとの共同制作です。
先日、Zホールディングス(以下、ZHD)の決算説明にて、PayPayがサービス開始から約3年9ヶ月で、決済取扱高・決済回数が市場全体の約3分の2を占めていることが発表され、非常に話題となりました。
また、ここまで爆発的な成長を見せているPayPayが、遂にマネタイズフェーズへ移行するとして、PayPayの7つのマネタイズ戦略が公開され、PayPay経済圏の今後のより一層の成長に期待が集まっています。
それを受けて、本日は日本の代表的な経済圏を運営する楽天とPayPayの比較を行い、PayPayの今後の戦略についてご紹介します。
PayPay経済圏 vs 楽天経済圏(フィンテック)
Zホールディングス株式会社 決算説明会2022年度 第1四半期(2022年8月3日)
まずは、PayPay経済圏と楽天経済圏の規模感を整理しましょう。
上図の通り、PayPayの親会社となるZHDと楽天のフィンテック事業の四半期売上を比較すると、ZHDが305億円、楽天が1,627億円で5倍以上の差をつけており、現時点ではまだ大きな差があることが分かります。
次に、それぞれのフィンテックセグメントの内訳を比較してみましょう。
FinTech事業の収益の柱は?
まず、ZHDのフィンテックセグメントの内訳は上図の通りで、PayPayカードが45.6%、PayPay銀行が27.7%、その他金融が26.8%という構成です。
楽天のフィンテックセグメントの内訳は、楽天カードが44.6%、楽天銀行が17.3%、楽天証券が14.4%という構成です。
ZHDも楽天も、フィンテックセグメントの売上の約50%弱をクレジットカード事業が占めており、次いで銀行事業の割合が高いことが共通点です。そのため、別企業であっても売上の構成比は大きく変わらないことが伺えます。
カード事業を比較してみると?
ここで、両社の売上の構成比が最も大きいクレジットカード事業について、両社のKPIを比較してみましょう。
まず、カード売上はPayPayが139億円、楽天が725億円で約5倍の差があり、取扱高はPayPayが8,420億円、楽天が4.5兆円で約5倍の差があります。そのため、テイクレート(決済手数料)もほぼ同程度であることが伺えます。
ここで、カード事業の取扱高を因数分解すると、以下のようになります。
カード発行枚数はPayPayが870万枚、楽天が2,670万枚で3.1倍の差、カード1枚当たり売上はPayPayが1,601円、楽天が2,780円で1.7倍の差があり、この2つの指標の差が、取扱高及び売上の差に直結しています。
そのため、PayPayカードが楽天カードに追いつくためには、(1)カード発行枚数と、(2)カード1枚当たり売上の双方のKPIを改善する必要があることが分かります。
ここまで、ZHDと楽天のフィンテック事業の売上や売上構成比、両社のフィンテックセグメントの中心であるカード事業について、定量的に分析しました。記事の後半では、今回の決算で開示されたPayPayのマネタイズ戦略を紹介します。
この記事は、フィンテック事業に従事する方や企業のマネタイズ戦略に関心がある方に最適な内容となっています。
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