見出し画像

Q. ARPUが大きい企業と小さい企業、時価総額が高いのはどちら?(生データダウンロード特典あり)

新着記事をTwitterやLINEでお届けします。下記URLからご登録ください。
Twitter: https://twitter.com/irnote
LINE: https://line.me/R/ti/p/%40pap3801g

----------------------------

ヒント:米国SaaS企業はPSRが全体的に高く、売上やARR成長率が高い企業ほど、PSRは高くなる傾向があります。

この記事はゆべしさんとの共同制作です。

2021年6月に、米国SaaS企業を対象に、PSR(Price Sales Ratio:売上対比時価総額)が30倍超の企業の特徴を考察しましたが、今回は、アメリカに上場するSaaS企業を対象に、”ARPU”という軸で、高ARPU企業と低ARPU企業の時価総額とPSRを比較してみます。

また、時価総額やPSRといった指標に加えて、SaaSビジネス特有の以下の指標についても、ARPUの大小に応じてどのような傾向があるのか、比較していきます。

・ARR(Annual Recurring Revenue:年間経常収益)
・CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得コスト)
・CAC回収期間

”特定の企業”という視点ではなく、“ARPUの大小”という視点で、これらの指標を俯瞰して見てみると、意外な事実が4つ見えてきました。もしよろしければ、皆さんもどのような事実や特徴があるのか、考えながら読み進めてみてください。

※今回の特典であるExcelデータはnoteでのみダウンロードできますので、ご希望の方はnoteから購入・購読をお願いします。

この記事では、1ドル=100円($1 = 100円)として、日本円も併せて記載しています。


SaaSで最も大事なことの一つ = 営業・マーケの効率性

特に日本の読者の皆さんの中には、「SaaSはACV(Annual Contract Value:1顧客あたりの平均年間契約額)が大きい大企業にフォーカスすべき」という話を聞いた事がある方もいるかもしれませんが、これは本当に正しいのでしょうか?

このような考え方が広まっている背景の1つとして、以下のような実情があるでしょう。

●大企業向けにフォーカスするSaaS企業の流れ(※あくまでも、一例です)
(1) 製品リリース時には、低価格でセルフサーブ型(顧客自身が商品やサービスの購入や契約について検討・判断する営業手法やプロセス)で販売する

(2) セルフサーブ型では売れない or セルフサーブ型で売れたとしても解約率が下がらない

(3) 営業人員による提案やサポートにフォーカスせざるを得ない

(4) 営業コストを正当化させるために、ACVが大きい大企業向けにフォーカスする

これが必ずしも悪いというわけではないのですが、「SaaSはACVが大きい大企業にフォーカスすべき」という主張が絶対的に正しい、という考え方には大きな違和感を覚えます。

※念の為の補足ですが、「SaaSはACVが大きい大企業にフォーカスすべき」は正しいケースもあります。SaaSは導入企業数とARPUで売上が決まるビジネスモデルで、一般的にARPUの高い顧客は解約率が低いため、ACVの大きい顧客の獲得は経営の安定性に繋がります。

しかしながら、今回の記事で解説するように、「SaaSはACVが大きい大企業にフォーカスすべき」は”絶対的な公式やルール”というわけではありません。

この記事は是非、SaaSはACVが大きい会社にフォーカスすべきという考え方に疑問を持ったことがない方にこそ、読んで頂きたいと思います。


分析対象となる上場企業

それでは、シバタが提供しているKPIデータベースから、アメリカで上場するSaaS企業のうち、ARPUが算出可能な企業を見ていきます。

画像1


●この記事で対象とするアメリカで上場するARPUが算出可能なSaaS企業
・Zoom Video Communications Inc.
・Twilio Inc.
・Dropbox Inc.
・DocuSign Inc.
・Atlassian Corp. Plc
・CrowdStrike Holdings Inc.
・Okta Inc.
・HubSpot Inc.
・Zscaler Inc.
・MongoDB Inc.
・New Relic Inc.
・Elastic NV
・Paylocity Holding Corp.
・Cloudflare, Inc.
・Smartsheet Inc.
・Momentive
・Fastly Inc.
・Bill.com Holdings, Inc.
・PagerDuty Inc.
・Agora, Inc.

上図は2021年2Q(2021年4-6月)の四半期業績と当該期間の時価総額・PSRを記載したもので、これらの企業をARRで降順に並び替えると、Zoom、Twillio、Dropbox、Docusignの順番でARRが大きいです。(※各企業が定める決算期により、対象期間が前後している可能性があります)

記事の後半では、これらのデータで高ARPU企業と低ARPU企業の時価総額やARR、CAC等の指標を比較することで分かった4つの事実を解説します。

この記事は、SaaSビジネスに携わっている方だけでなく、アメリカの株式市場やSaaSビジネスに興味・関心がある方にもおすすめの内容となっています。

----------------------------

ここから先は、有料コンテンツになります。このノート単品を500円、あるいは、初月無料の有料マガジンをご購入ください。

有料マガジンは、無料期間終了後、月額1,000円となりますが、1ヶ月あたり4〜8本程度の有料ノートが追加されるため、月に2本以上の記事を読む場合には、マガジン購読がお得です。

月末までに解約すれば費用はかかりませんので、お気軽に試してみてください。

有料版をご購入いただくと、以下のコンテンツをご覧いただけます。

・Q. ARPUが大きい企業と小さい企業、時価総額が高いのはどちら?の答え
・月間ARPU $●●をしきい値にして分類してみる
・事実#1:低ARPU企業の方が●●も●●も高い
・事実#2:高ARPU企業の方が●●は10倍高いが、●●はもっと高い
・事実#3:低ARPU企業の中には●●がとても短い企業もいる
・事実#4:時価総額もPSRも●●の方が高い
・まとめ

ここから先は

4,250字 / 12画像 / 1ファイル

¥ 500

ツイッターで決算に関する情報を発信しています。ぜひフォローしてください!