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Q. 新規上場したIoT管理のSamsara、設立6年でARR(年間継続課金売上)400億円超のSaaS経営戦略とは?

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ヒント:
Samsaraは、3つの経営戦略を組み合わせて、短期でARRを急成長させてきました。
戦略その1:●●契約でSaaSを販売
戦略その2:効率的な●●と●●
戦略その3:●●顧客にフォーカス


この記事はmasmさんとの共同制作です。

2021年11月19日、IoT管理サービスを提供するSamsara Inc.が、新規上場申請書(S-1)を提出しました。IoT(モノのインターネット化)は、浸透してきていると思いますが、Samsaraという企業名を聞いたことがない人も多いかもしれません。

2015年にアメリカで設立してからたった6年ということを考えると、日本での認知度が低いことは頷けます。しかしSamsaraはそのたった6年で、ARR(年間継続課金売上)を$400M(約400億円)以上に成長させたモンスターSaaS企業なのです。今回は、その急成長しているSamsaraについて解説、分析をしていきたいと思います。

記事の前半では、Samsaraの企業概要やビジネスモデル、業績を見ていき、記事の後半では、ユニークで非常に参考になるSaaS経営戦略を解説しながら、短期でARRを急成長させた要因を深掘りしていきます。

Samsara S-1

また、今回の記事では、決算等の分析記事を公開しているRedPointのベンチャーキャピタリストのトーマス氏とマルコス氏の以下の記事を引用しながら解説していきます。

Samsara S-1:How 7 Key Benchmarks Stack Up(Tomasz Tungz)

Samsara IPO breakdown-the continuous cycle of an entrepreneur’s journey(Marcos Bento)

この記事では、1ドル=100円($1 = 100円)として、日本円も併せて記載しています。


IoT管理のSamsaraとは?

まず最初に、Samsaraのサービスについて解説していきます。簡潔に言うと、トラックなどのハードウェアをモニターするクラウドサービスを提供しています。そのようなサービスは、ハードウェア管理DXとも言えるでしょう。

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もう少し具体的に解説すると、Samsaraが提供するセンサーを管理したいハードウェアに装着するだけで、センサーからハードウェアの情報(残燃料、温度、GPS情報など)がクラウド上に送信され、管理・モニターできるという仕組みです。

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このスライドのように、ハードウェア故障検知がわかりやすく可視化されます。この場合、「Excavator(掘削機) 102」に赤い文字で「ERROR DETECTED」=「エラー検出」と表示されているので、左側のショベルカーに異常が発生していることがわかります。「Van928」白いバン928号は緑の文字で「異常なし」と表示されています。

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上図は配送トラックの遅延状況の一元管理の例です。Samsaraが取得しているデバイスの位置情報などを元に、渋滞状況が可視化されており、これらのデータを活用することで、1年間で速達便の生産性が76%も向上したというデータも出ています。

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こちらの図は、Samsaraの顧客の産業別割合を示しています。上位顧客は、運輸業が23%、卸売・小売業が17%、建設業が13%、フィールドサービス(現場に赴いて行う点検・工事・修理など)が12%、物流業が9%となっていますが、どこかの業界に偏り過ぎることなく、幅広い業界で利用されています。


設立6年でARR $400m超のSaaS決算

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続いて、Samsaraの業績データを見ていきます。

FY2022Q3(2021年8-10月期)は、売上が$114M(約114億円)、YoY+72%と急成長しています。売上総利益は$82M(約82億円)、売上総利益率は72%ですが、研究開発費$30M(約30億円)、営業・マーケティング費$59M(約59億円)などのコストがかかっているため、営業利益は-$32M(▲約32億円)の赤字となっています。

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次に、SaaS企業の最も重要なKPIであるARR(年間継続課金売上)の推移を見ていきます。ARRの算出方法は、決算期末時点でのサブスクリプション契約を算出根拠として、1年間に見込める収益を表しています。

直近のFY2022年Q3(2021年8-10月期)では、ARRが$493M(約493億円)で、$500M(約500億円)に迫る勢いです。

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FY2021年(2020年2月-2021年1月)の通期決算データを整理すると以下のようになります。

ARR:$342M(約342億円)
売上:$250M(約250億円)
売上YoY(前年同期比):+108%
ACV(1顧客平均年間契約額):$35.2K(約352万円)
キャッシュフロー(対売上比率):-69%
純利益率:-84%

上表には記載されていませんが、純損失が$210M(約210億円)で純利益率-84%と、まだ赤字が大きいですが、売上はYoY+108%と1年で2倍以上になっており、凄まじい成長率となっています。

年間の平均顧客売上であるACVは352万円と、toB向けのSaaS企業として高額とはいえませんが、それ自体が必ずしも悪いという訳ではありません。その根拠については、2021年10月に公開して好評だったこちらの記事で解説していますので、ぜひ合わせてご覧いただければと思います。


ここまで、Samsaraの事業内容と、決算概要を見ていきました。
記事の後半では、Samsaraがいかにして設立6年という短期で、この急成長を成し遂げたのか、経営戦略の特徴を3つ紹介していきます。

この記事は、IoTサービス企業に従事している方や興味がある方、海外の急成長企業の事例について知りたい方、成長戦略について知りたい方に最適な内容になっています。


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・Q. 新規上場したIoT管理のSamsara、設立6年でARR(年間継続課金売上)400億円超のSaaS経営戦略とは?の答え
・戦略その1:●●契約でSaaSを販売
・戦略その2:効率的な●●と●●
・戦略その3:●●顧客にフォーカス
・上場時の売上マルチプルは?
・まとめ

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