Q. SlackのKPIのうち、AtlassianやZoomに劣るのは?
Q. SlackのKPIのうち、AtlassianやZoomに劣るのは?
A. Sales Efficiency。各社のSales Efficiencyは以下の通り。
Slack: 111%
Atlassian: 256%
Zoom: 180%
私の記事を昔からご覧になって頂いてる方はご存知の方も多いかもしれませんが、「Sales Efficiency」(直訳すると、営業効率)というのは、現四半期で営業・マーケティングコストを100投下した場合に、この先1年の間にどのぐらいの売上が上がるのかという比率を表したものです。
数字が大きいほど、効率が良いことを示しています。
前回に続き、最近IPOを発表したSlackを取り上げたいと思います。前回の記事をまだご覧になっていない方は、こちらをご覧ください。
Q. Slackの1社あたりの平均ユーザー数は?
今日の記事では、SlackのSaaSビジネスとしての強みと弱みをSaaSビジネスで世界最高レベルの成長率を誇るAtlassianやZoomと比較して分析していきたいと思います。
今回も、FORM S-1(日本の上場時の目論見書のような書類)と、140社以上のIPOに成功しているRedpointのベンチャーキャピタリストのTOMASZ TUNGUZさんのブログから数字などをピックアップしていきたいと思います。
FORM S-1 Slack Technologies, Inc.
BENCHMARKING SLACK'S S-1: HOW 7 KEY METRICS STACK UP
Slackを利用している方であれば、このサービスがいかにバイラルで拡散されているかをよくご存知かもしれません。今回の記事では、その「バイラルで獲得したユーザーをどのように有料ユーザーに転換しているのか」という営業マーケティング戦略の部分にフォーカスしていきたいと思います。
Sales Efficiencyは111%
はじめにSlackのSales Efficiency を見てみましょう。
前述の通り、「Sales Efficiency」というのは100の営業マーケティングコストを投下した場合に翌年の1年間でどのぐらいの売上が上がるのかという比率を表したものです。
例えば、現在の四半期で100万円の営業・マーケティングコストをかけたとして、翌四半期から1年間の間に150万円の売上が上がったら、Sales Efficiencyは150%という計算になります。
この数字が大きければ大きいほど営業マーケティング効率が高い、良いということになります。
*図中の左側の表記は、アメリカの証券取引所で使われているティッカーコード(日本の証券番号のような符号)で記載されています。
サービス名や社名を短縮した表記になっていることが多く、TEAM = Atlassian、ZM = Zoom、TWLO = Twilio、SK = Slack、NEWR = New Relicのそれぞれの企業を表しています。
SlackのSales Efficiencyは、111%となっています。SaaSビジネスは100%を超えている場合、非常に営業マーケティングが効率的だという判断をする場合が多いですが、AtlassianやZoomと比べると低い水準であることがわかります。
TOMASZ TUNGUZさんのブログに面白い考察がありました。
One hypothesis to explain the difference: Zoom is externally viral while Slack is internally viral; we send Zoom invitations outside of our companies, but Slack messages to our colleagues.
「Zoomのサービスは社外に口コミが広がるサービスであり、Slackは社内に口コミが広まるサービスである」という仮説が、二社のSales Efficiencyの違いに大きな影響を与えているのではないかというものです。
SlackのKPIは、SaaSビジネスとしては世界トップクラスに優れたものがほとんどです。しかし見方によっては、このSales EfficiencyがZoomやAtlassianの水準に達していない点に引っかかる方もいるのではないかと思います。
Slackの唯一の弱点を見つけろ!と言われたらSales Efficiencyが弱点になり得るかもしれません。
以下では、SlackのSales Efficiencyが、ZoomやAtlassianほど高くない理由を深く探っていきたいと思います。
この記事は、SaaSビジネスを担当されている方、継続課金型のビジネスを担当されている方、メッセージング系のサービスを担当されている方に役立つ内容になっています。
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・まとめ:SlackのSaaSビジネスとしての特徴は?
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