メルカリの上方修正は、どの事業の好調さが要因なのか?
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私のYouTubeチャンネルでは、決算読み解き実況中継をしています。おかげさまでYouTubeの方も多くの方にご覧いただいているのですが、特に忙しいビジネスパーソンの方たちから「YouTube動画の内容を知りたいが、動画を見る時間が無い」というお声を多数いただいています。
この記事では、上の動画の内容をスクリーンショット付きで文字起こししてあります。動画を見る時間はないけれど、内容を短時間でおさらいしたいという方に最適です。
今回の決算の印象は?
ーー(伊佐山真里)皆さんこんにちは。今回は、メルカリの2021年第3四半期の決算をシバタさんと一緒に読んでいきます。
ーーまず、今回の結果を見ていきましょう。連結での売上成長率はYoY+41%で286億円、営業損益が+1億円と、Q1Q2に続いて黒字となっていました。
ーーメルカリJP、メルペイ、メルカリUS、全ての事業が好調だなという印象を受けたのですが、シバタさんの今回の全体的な印象はいかがでしたか。
(シバタナオキ)全部が3つとも好調かというと疑問符が付きます。まず連結で、YoY+41%の成長というのは、そこそこ良いペースです。
多分黒字にすることを決めて、コミットしてやっているのだと思いますが、黒字になっているのもすごいです。
「そこそこ良い」の理由としては、やはりコロナ禍で他のコマース系の企業はすごい追い風で成長しています。
そんな中で、41%という数字は決して悪い数字ではないですが、規模感が楽天ほどではありません。
メルカリの規模感が相対的に小さいことを考えると、成長率はもっと高いほうが良かったのではないでしょうか。
メルカリの成長スピードが早い理由は?
ーーまずメルカリJPの実績を見ていきましょう。MAUが1,900万人を超えていて、取扱高もYoY+27%と、順調に成長しています。
ーーまた、出品者と購入者のバランスを最適化していると書かれており、購入者だけではなく出品者も増えているのかなという印象を受けました。
ーーマーケットプレイスの形として良いサイクルなのかなと思ったのですが、手数料が他のフリマアプリと比べても高いです。
ーーメルカリがこのスピードで成長を続けられるのは何故だと思いますか。
まず取扱高が27%というのは、コロナ禍においてはかなり物足りない数字です。他のコマースの会社はもっとすごいスピードで伸びているところがたくさんあります。
これが平常時であれば、+27%はすごい数字です。しかし、やはりコロナの追い風があるという前提で考えた場合、他の会社に比べると割と見劣りする数字でしょう。
先ほどの、何故メルカリは手数料が高くても売れるのかという話ですが、ネットワーク外部性という言葉があります。どういうことかというと、売り手と買い手が集まると強い重力が働くのです。
例えば真里さんが何かモノを売るとして、買い手が全くいないフリマに出品したくありませんよね。逆も然りで、真里さんがフリマで何か買おうとしたときに、売り切れ状態のフリマには行きたくないじゃないですか。
特にフリマのようなモデルであれば、売り手と買い手が両方集まる場所はネットワーク外部性が強くなるのです。
そうなると、少し手数料が高くなってしまってもユーザーが離れなくなります。とにかく、「ネットワーク外部性」という言葉を覚えておいてください。
メルペイの数字について
ーー続いて、メルペイについて見ていきたいと思います。
ーー今年、利用者が1,000万人を突破しました。去年の600万人から1年間で400万人増加したということで、とても順調に伸びています。
ーーしかし、メルペイについては売上や利益などが書かれていない点が気になりました。何故詳しい数字が書かれていないのでしょうか。
恐らく、可能な限りステルスで数字を出さないようにしているのでしょう。Yahoo!とLINEが合併したことで、PayPayとLINE Payのいわゆるペイメント系の2強がくっついてしまいました。
そことの競争を考えると、メルペイは数字を出して刺激したくないのでしょう。
PayPayとLINE Payの裏にいるソフトバンクのことも考えると、正面から競争するのではなく、メルカリ・メルペイらしい差別化軸をしっかり出して戦っていこう、ということなのだと思います。
ーーなるほど。そういう戦略もあるのですね。
はい。決算を読む側からすると、数字を出してほしいのですが、競争戦略上はそのような戦略も十分あり得ます。
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