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ヒント：成長率が加速するAsana,Okta,Twilio,Bill.comの特徴は7つで、主な特徴は「NRRが120%超」、「ARPUの成長率がYoY+30%超」、「海外の売上成長が加速」、残りの4つは売上に対する●●の割合などです。

この記事はゆべしさんとの共同制作です。

本日は、米国主要SaaS企業45社の中で「ARR（Annual Recurring Revenue：初期費用などを含まない毎年決まって得られる年間経常収益）の成長率が高く、更に成長率が加速しているSaaS企業」の共通点を7つ解説します。

一般的に上場企業は成長し続けることが求められますが、規模を拡大しながら更に成長率も引き上げるというのは非常に難しく、一般的に規模の拡大に伴い成長率は落ち着いてきます。経営者や役員の方々は、成長率を加速させることの難しさをよくご存知でしょう。

しかしながら、ワークマネジメントツールを提供するAsanaやID管理（IDaaS）を提供するOkta等のごく一部の企業は、SaaSビジネスで一定の規模に成長しても、ARRがYoY+50%以上の高い成長率を維持し、さらに驚くべきことに成長率の向上も見られています。

このような企業に共通する特徴は何なのでしょうか？

この記事では、ARR成長率が加速しているSaaS企業を様々な視点から分析して確認できた共通点を7つ紹介しています。きっと読者の皆さんの実務に役立つ情報だと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事では、1ドル=100円（$1 = 100円）として、日本円も併せて記載しています。

 一定規模のSaaS企業で成長率が加速するのは稀

一般的に、プラットフォームサービスなどのネットワーク効果が期待できる場合や、フードデリバリーサービスなどの勝者総取りの場合などを除いて、売上規模が大きくなると、売上成長率が鈍化する傾向にあります。

例えば、売上成長率が同じYoY+20%でも、前年売上が10億円の場合は+2億円、前年売上が1,000億円の場合は+200億円の売上増が必要となるため、売上規模が大きい企業ほど、その成長率を維持もしくは加速させることが難しくなります。

しかしながら、一定の売上規模を誇る急成長中のSaaS企業の中でも、ARRの成長率が加速し続けている企業があります。

この記事では、米国主要SaaS企業を中心に取り扱っているため、売上ではなく、SaaSビジネスの重要な指標の1つであるARR（初期費用などを含まない毎年決まって得られる年間経常収益）の成長率を中心に記載しています。

上図は、米国の主要SaaS企業45社の四半期ごとのARRの前年同期比成長率を整理したもので、ARR成長率が高くなるほど、セルの緑色を濃く表示しています。

このうち、2021年7-9月のARR成長率が50%以上の企業を抽出すると以下のようになります。

さらに、2021年4-6月及び2021年7-9月のARR成長率が1.2倍以上増加している企業は、次の4社に絞られます。

【米国主要SaaS企業45社のうち、ARR成長率が加速している急成長SaaS企業】
・Bill.com（ビルドットコム）
・Okta（オクタ）
・Twilio（トゥイリオ）
・Asana（アサナ）

【「ARR成長率が加速している急成長SaaS企業」という定義】
(1) 2021年7-9月のARR成長率が50%超
(2) 2021年4-6月及び2021年7-9月のARR成長率がYoY+120%超（= ARR成長率が前年同期比で1.2倍以上増加）

注：この記事では読みやすいように、1月決算のOktaとAsana「2021年8-10月」四半期決算の数字を「2021年7-9月」のように滝行の決算期に統一して記載しています。

多くの企業が成長率を維持、もしくは加速させることが困難な一方で、急成長しながら成長率を加速させている4社には、どのような共通点があるのでしょうか。

分析対象の4社のご紹介

まずは、各社の共通点を見ていく前に、Bill.com、Okta、Twilio、Asanaの4社の主要事業とARRを簡単に紹介します。

・Bill.comは、2006年に設立された中小企業向けにクラウドベースの企業間決済ソフトウェアを提供する企業で、2021年7-9月時点のARRは$462M（約462億円）です。

・Oktaは、2009年に設立された会員登録やシングルサインオンなどのIDaaS（Identity as a Service）事業を展開する企業で、2021年7-9月時点のARRは$1,347M（約1,347億円）です。

・Twilioは、2008年に設立されたSMS配信サービスを提供する企業で、2021年7-9月時点のARRは$2,961M（約2,961億円）です。

・Asanaは2008年に設立されたプロジェクト管理SaaSを提供する企業で、2021年7-9月時点のARRは$401M（約401億円）です。

次章からは、この4社に共通する7つの特徴を解説します。

特徴#1：NRRが120%超えで既存顧客からの売上が増加

ARRの成長率が加速している4社に共通する1つ目の特徴は、「NRRが120%超で、既存顧客からの売上が増加している」という点です。

NRR（Net Revenue Rate：売上継続率）は、「既存顧客からの売上がどれだけ継続しているのか」を表す指標で、100%以上の場合はアップセルやクロスセルなどで既存顧客からの売上が増加、100%未満の場合は解約やダウングレードなどで既存顧客からの売上が減少していることを意味します。

そのため、この4社のNRRは120%超であることから、既存顧客からの売上が大きく増加していることが分かります。特に、Asanaの年間契約額が$50K（約500万円）以上の大型顧客におけるNRRは140%〜150%以上と、驚異的な数値を誇っています。

NRRが90%（=既存顧客からの売上が減少し続ける）の企業と、NRRが120%（=既存顧客からの売上が増加し続ける）の企業では、仮に新規顧客獲得数が同じでも、全体の売上成長率が大きく異なるため、SaaSビジネスにおいて、NRRは重要な指標とされています。

これらのことから、「NRR120%超」という特徴が、4社の成長率が加速している1つの要因と見て間違いないでしょう。

特徴#2：ARPUの成長率がYoY+30%超えの企業が多い

2つ目の特徴は、「ARPU（Average Revenue Per User：平均顧客単価）の成長率がYoY+30%超」という点です。

上図を見ると、Oktaを除いて、ARPUがYoY+30%以上と大幅に成長していることが分かります。Bill.comは、ユーザー数の多い大企業での利用が特に進んだことで、ARPUがYoY+105.49%と1年間で2倍以上に成長しています。

一般的に、ARPUを高めるには、顧客からの信頼や愛着といったロイヤリティの構築が欠かせないのですが、ARPUがYoY+30%超で成長していることから、4社は顧客との間に強固なロイヤリティを構築していることが伺えます。

ARR = MRR（Monthly Recurring Revenue：毎月決まって得られる収益） × 12ヶ月
MRR = 課金顧客社数 × 平均顧客単価（ARPU）

ARRを上記のように単純に分解して考えると、ARRを成長させるためには、課金顧客社数とARPUのいずれか又は両方を伸ばす必要があります。

詳細は省略しますが、4社の課金顧客社数は増加傾向であることから、課金顧客社数とARPUの両方の指標を伸ばすことで、飛躍的にARRを高めていることが分かります。

特徴#3：海外の売上成長が成長を加速させている

3つ目の特徴は、「海外（米国以外）での売上成長が著しく、全体の売上成長を牽引している」という点です。

OktaとTwilioの海外売上の成長率は、米国内の成長率の約2倍を誇っており、全体の売上成長を牽引していることが分かります。
（注：Bill.comは国別売上は非開示、Asanaは過去四半期まで海外売上の成長率の方が大きい）

市場で一定規模を獲得したSaaS企業が更に成長を加速させるためには、より多くの顧客を獲得するためのグローバル戦略や海外進出が重要となります。

ここまで、米国主要SaaS企業45社のうち、ARR成長率が加速する急成長SaaS企業のBill.com、Okta、Twilio、Asanaの共通点を3つ解説しました。記事の後半では、4社の残りの共通点を4つ解説します。

この記事はSaaSビジネスに従事する方や、企業の成長戦略に関心がある方におすすめの内容となっています。

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・Q. Asana, Oktaら成長率が加速している稀有なSaaS企業の7つの特徴とは？の答え
・特徴#4：●●は50%以上
・特徴#5：●●は30%以上
・特徴#6：●●は必ずしも満たしていない
・特徴#7：●●は長期での回収
・まとめ

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