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Q. 【国内SaaS決算】事業の健全性を示す3つの主要KPIが急回復した企業はどこ?

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ヒント:消費需要が徐々に回復傾向にあることを背景に、有料契約が回復してきた企業です。

この記事は"DXnote"を書いているWatanabeさんとの共同制作です。

今回の記事では、国内のSaaS企業を、事業の健全性を示すKPIとして用いられる次の3つのKPIを中心に見ていきたいと思います。

・40%ルール
・CAC回収期間
・LTV/CAC

また、上記3つのKPIの算出に関連する指標として、次の2つのKPIについても、合わせて比較していきます。

・ARPA(顧客当たりの月次収益)
・CAC(顧客獲得費用)

3月11日に前Q(主に2020年10〜12月)のKPI分析をした際に、事業の健全性を示すKPIである「40%ルール」「CAC回収期間」「LTV/CAC」において、すべての基準値を満たしていた唯一の企業は「ラクス」でしたが、今回はどのような結果になるのでしょうか?

前回の記事でも書いたように、SaaS企業の決算は、企業単体の数字を見てもなかなか良い悪いの判断が難しいですが、複数の企業を横比較で見ていくことで、定量的に企業の状態を捉えることができます。

今回の記事を参考に、是非ご自身でも、SaaSのKPI分析にチャレンジしてみてください。

『KPIデータベース』は、日米のネット企業の業績・各種KPIをまとめて提供しているサービスです。法人向けのサービスとなりますが、興味のある方は、以下の記事をご覧ください。


SaaSの「40%ルール」を達成している企業は?

まずは、「40%ルール」から見ていきましょう。

「40%ルール(Rule of 40%)」とは、SaaS企業の成長の健全性を示す指標で、売上成長率と営業利益率の和が40%を超えていると健全であるという1つの目安に用いられます。

数式は、以下のようになります。

売上成長率 + 営業利益率 ≧ 40%

数式を見ても分かるように、こちらの指標では、売上成長率と営業利益率のバランスが重要となってきます。

例えば、売上成長率が+80%と高い水準であれば、営業利益率が-40%であってもOKです。一方で、売上成長率が+20%と成長が鈍化してきた際には、営業利益率は+20%の水準まで引き上げる必要があります。

さて、この「40%ルール」ですが、国内SaaS企業の決算(2020年5月14日時点で公開されている直近の決算。以下、同様)から算出すると、下図のようになります。

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このように、SaaSの40%ルールをクリアしている企業は、「ラクス」「スマレジ」「プレイド」「マネーフォワード」「ユーザベース」「rakumo」の6社になります。

前回の分析でクリアしていたのは「ラクス」と「rakumo」の2社のみでしたが、この四半期で新たに40%ルールをクリアした4つの企業を詳しく見てみたいと思います。
40%ルールの計算に用いられる売上成長率と営業利益率を表形式で数字を整理すると、次のようになります。

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スマレジは、コロナ前の売上までは回復していないものの、休業していた店舗の月額契約が徐々に回復してきました。それにより、売上成長率が前Qの-27.4%から今Qに18.7%と大幅にプラスに転じたため、結果として48.1%となりました。今Qのサブスク解約率も過去最低となっているため、今後さらに伸びるのか次の四半期に注目です。

ユーザベースは、動画広告が好調で売上成長率が大きく上昇したため、結果として43.7%となりました。

上記の2社は売上成長率の向上が主要因でしたが、一方で、営業利益率の成長によって40%を超えてきたのが、プレイドとマネーフォワードです。

プレイドは、今Qに予定していた販管費投資の一時未実行により営業利益率が上昇、営業利益率が前Qの1.1%から今Qに9.1%となったため、結果として47.6%となりました。

マネーフォワードは、前Qと比較して広告宣伝費を抑制し販管費が減少したことで営業利益が黒字化し、前回15.2%から今回47.2%へ大幅に上昇しました。

2社とも販管費のコントロールによる数値の改善が主な要因です。売上拡大のために事業投資した場合には、営業利益率が大きく変動する可能性があるため、その動向にも注目です。


ARPAが最も高いのはどの企業?

続いて、ARPA(顧客当たりの月次収益)について見ていきましょう。

ここでは、顧客のサービス導入時に得られる初期収入を除いた「毎月継続的に発生する売上」を対象にしています。

ARPAを高い順に並べると、下図のようになります(※サイボウズ、ユーザベースは公開数字より算出不可のため除外)。

画像3

前四半期と同様に、チャットワークの673円からプレイドの85.8万円まで、企業毎で大きく異なっています。

他社と比較して、プレイドのARPAが圧倒的に高く、前回同様トップとなっています。

無料アカウントが含まれるチャットワーク以外の企業ををざっくり分類すると、次のようになります。

・10万円未満:フリー、マネーフォワード、スマレジ、Retty、rakumo
・10万円〜30万円:チームスピリット、カオナビ、Sansan、ラクス
・30万円超〜:ヤプリ、プレイド

ARPAが10万円未満のサービスは、個人事業主や中小企業向けが中心のサービスとなっています。

10万円~30万円のレンジは、コーポレート部門向け商材が中心となっています。企業側からすると、例えば月給30万円で人員を一人増やすよりも毎月一定のツールコストを払った方が安い場合には導入が進みやすいため、そのようなARPAの水準になっているのかもしれません。

プレイドは約86万円(年換算すると約1,030万円)とかなり高い水準です。前Qが79.5万円だったので更に単価は上がっています。クロスセル商材を複数リリースし、1社あたりの顧客単価上昇を狙っています。

株式会社プレイド 2021年9月期 第2四半期 決算説明資料

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上図にあるように、顧客単価は毎四半期増加しており、YoY+20.9%と引き続き成長しています。主力製品であるKARTEに加えて、KARTE Datahub、KARTE Blocksなど新たなプロダクトをリリースし、顧客単価の向上に取り組んでいます。

一方、新規顧客数が2社しか増加しておらず顧客社数の増びが鈍化しています。次の四半期に販管費投資して顧客社数がどれくらい増加するのか、今後の動向に注目したいと思います。

ここまでは、SaaS企業の成長の健全性を示す「40%ルール」と「ARPA」を俯瞰して見てきました。記事の後半では、顧客獲得や投資効率において重要な「CAC」や「LTV」について詳しく解説しています。

この記事は、SaaSビジネスに携わっている方、SaaS企業のビジネスモデルに興味がある方、決算情報からKPIを読み解く分析に関心がある方に最適な内容になっています。


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アメリカ・日本のネット企業(上場企業)を中心に、決算情報から読みとれることを書きます。経営者の方はもちろん、出世したいサラリーマンの方、就職活動・転職活動中の方になるべく分かりやすく書きます。