Q. 販売台数絶好調のTesla、売上が減少しているのはナゼ?
A. Model 3のリース販売が増えたため。
今日の記事ではTeslaの決算を取り上げたいと思います。
タイトルにも書いた通り、販売台数が絶好調な決算でした。
Tesla, Inc. Q3 2019 Financial Results(2019/10/23)
ちなみに、これまで株主へのレター形式だった決算資料が、今回の決算からスライド形式に変更になっており、今まで以上に読みやすくなっています。
車種別の生産・納車台数
はじめに、車種別の生産台数と納車台数を見てみたいと思います。
Model SとModel Xという高級車は生産が約1.6万台、納車が約1.7万台という数字が出ています。安い価格帯のModel 3は生産も納車も約8万台となっています。
納車台数でみるとModel 3が前年同期比+42%で増える一方で、高額な価格帯のModel SとModel Xは-37%と減少しています。
さらにここで注目すべきは、Model 3の納車数は前四半期ベースで3%しか増えていないのに、リースによる販売数が前四半期と比べて+50%で大きく伸びているという点です。
いかにリースの割合が大きくなったかご理解いただけると思います。
売上・営業利益・キャッシュフロー
売上は自動車関連が$5.4B(約5,400億円)で前年同期比-12%となっています。
全体の売上は$6.3B(約6,300億円)で、こちらも前年同期比-8%、営業利益は$261M(約261億円)で、営業利益率が4.1%になっています。
営業利益がしっかり出るようになったことの最大の要因は、営業費用が$930M(約930億円)と、前四半期そして前年同期と比べても削減されている点です。営業費用はModel 3の生産を開始してから最も低い数字に収まっていると報告されています。
今回の決算で一番注目すべきは、中央の図に記載されている赤と青の棒グラフです。設備投資を加味した赤色のグラフが示す営業キャッシュフローが$371M(約371億円)のプラスになっているという点でしょう。
Model 3の生産を大きく加速させ、且つリースでの販売を開始して、2四半期連続でキャッシュフローがプラスになっているという点は、投資家から見るととても安心できる材料なのではないかと思います。
営業黒字とプラスの営業キャッシュフローを生み出せずになかなか苦労していたTeslaですが、ようやくここに来てしっかり利益とキャッシュフローを生み出す会社になってきています。
Gross Marginが驚異的な高さを維持
廉価版のModel 3を発表したことでマージン率が心配されていましたが、今回の四半期においては22.8%という非常に高いマージン率を維持しています。
Despite reductions in the average selling price (ASP) of Model 3 as global mix stabilizes, our gross margins have strengthened.
3.5万ドル(約350万円)というこれまでのModel SとXに比べて圧倒的に低い価格に設定したにもかかわらず、全体で見るとマージン率が落ちなかったというのはTeslaの自動車生産のコスト管理も含めたオペレーションの強さを物語っていると決算資料に記載されています。
生産・納車台数が絶好調にも関わらず、売上が減少している理由とは?
ここまでにほとんど理由を書いてしまいましたが、「生産納車台数は絶好調にもかかわらず売上が減少している理由は、リースによる納車が増えた」ことによります。
Compared to Q3 of 2018, the percentage of leased vehicles has tripled and alone has impacted revenue by the majority of the YoY decrease.
リースによる販売が前年同期比で3倍以上に増えており、売上の減少はこのリースの増加によってほとんど説明できると書かれています。
特にアメリカでは現金一括で自動車を購入するケースはまれで、ローンを組んだりリースを活用して自動車を入手する人が多いため、これまで不可能だったリースによる購入が可能になったことで、一時的に売上が落ちているように見えるのが今回の四半期だと言えるでしょう。
逆の言い方をすれば、リースの売上は今後積み上がっていくので、中長期的に見ればあまり大きなダメージがないと思います。
以下ではTeslaの今後を占う上で注目すべき三つのポイントを整理しておきたいと思います。
Teslaのロードマップを見ると、自動車に限らずハードウェアスタートアップが描くべきロードマップが、見事なまでに綺麗に描かれているというのが個人的な感想です。
この記事は、自動車業界自動車関連業界に携わっている方、ハードウェアビジネスに携わっている方、ソフトウェアとハードウェアの融合に関心がある方に最適な内容になっています。
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