Q. コロナ以後「トリバゴ」が回復しきれていないのは何故?
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本日は、オンライン宿泊施設予約サービスを手掛けるトリバゴについて、コロナ以後も売上が回復せずに低迷している理由を解説します。
トリバゴといえば、旅行業界でグローバルに事業展開する企業です。日本でもTVCMを展開していたことから、一度は聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
旅行業界はコロナの影響を強く受けた業界の1つで、外出自粛によって、多くの企業で売上が激減しました。トリバゴももれなくこの影響を大きく受けており、比較的コロナが落ち着いた現在(2023年10月時点)でも同社の売上は低迷しています。
この売上低迷はそもそも旅行業界全体の傾向なのか、もしくはトリバゴ固有の事象なのか。
大手旅行サービスを手掛けるトリバゴ、エクスペディア、Booking.com、Trip.comの各社の決算から読み解いていきます。
トリバゴとはどんな会社?
トリバゴは2005年に設立されたドイツの企業で、世界190ヶ国以上の宿泊施設の宿泊料金を比較できるプラットフォーム「trivago」を運営しています。2012年12月に、トリバゴはオンライン旅行会社のエクスペディア・グループに買収されており、2016年12月にNASDAQ上場を果たしました。
trivagoの特徴は「様々なOTA(オンライン旅行会社)や宿泊施設チェーンなどを横断して比較できる」ことです。多数の予約サイトと連携することで、ユーザーは各ホテルの予約サイトを横断して最も安い価格で宿泊施設を予約することができます。
トリバゴの売上はコロナ以降も回復せずに低迷
次に、トリバゴの売上推移を見ると、2019年7-9月以降売上は大きく減少しています。2023年4-6月の四半期売上は$136M(約136億円)と、多少の季節性はあるものの、2021年4-6月からほぼ横ばいで推移し、コロナ前の水準には回復していません。
今回比較する4社を紹介
トリバゴの売上低迷の理由として旅行業界全体が関係しているのか確認するために、トリバゴに加えて、以下の大手旅行系サービスを運営する企業の決算情報を整理し、比較します。
2023年4-6月の各社売上を比較すると、売上規模はBooking.comが$5,462M(約5,462億円)で最も大きく、トリバゴが$136M(約136億円)と最も小さいです。
これは、トリバゴはホテル予約のみであることや、OTA(オンライン旅行会社)の比較という相対的にニッチな市場であることが要因と思われます。
コロナ以前からの売上推移は?
次に、各社の決算から旅行業界のトレンドを把握するために、コロナ前の2019年7-9月の各社売上を100とした指数で売上推移を見てみましょう(※各社売上規模が異なるため、指数化することで業界トレンドを見ています)。
全体のトレンドとして、2020年以降は各社コロナの影響を強く受けたことで売上は大きく減少後、徐々に右肩上がりに回復し、2023年4-6月時点ではトリバゴ以外は概ねコロナ前の売上水準に回復しています。
そのため、トリバゴの売上低迷の原因は旅行業界全体の影響というわけではなく、トリバゴ固有の事情によるものと考えられます。
その他、エクスペディアとBooking.comに対して遅れをとっていたTrip.comは、2023年1-3月から一気に売上が回復しています。また全体の傾向としては夏に活況を迎えて冬は落ち着いているという、業界の季節性が見て取れます。
ここまで、トリバゴの決算と、大手旅行系サービスを運営する企業の決算について、情報を比較し整理しました。記事の後半では、トリバゴの売上が低迷している理由を解説します。
この記事は、旅行系サービスに従事している方や、企業分析の方法に関心がある方に最適な内容になっています。
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